高市首相は「日本の救世主」になれるのか…経済政策「サナエノミクス」を点検して経済学者が出した"結論"
まず着手するのは国民待望の「ガソリン減税」
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「女性首相」誕生で日経平均5万円を突破
10月21日、衆参両院の本会議で、高市早苗総裁が女性初の首相に指名された。当日、政治の不確実性低下などで日経平均は過去最高値を更新し、週明けの27日には史上初の5万円を突破したものの、株式市場はやや不安定な展開になっている。
こうした金融市場の動きを見ると、多くの投資家は高市新政権にまだ全幅の信頼をおけない状況とみられる。
アベノミクスの継承者を自認する高市首相の政策で、本当にわが国経済は復活に向かい、私たちの生活は豊かになるのだろうか。経済学者の視点から考えてみたい。
報道などを見ると、高市政権の掲げる経済政策は多岐にわたる。ただ、当面の最大の課題は物価対策とみられる。
その結果として、財政政策面からの取り組みが多い。ガソリン、ディーゼルの価格引き下げ、電気・ガス料金、所得税の基礎控除を見直すとしている。また、給付付き税額控除の制度設計と、家計の負担軽減に努める方針だ。首相は迅速に補正予算を編成し、各種経済対策を実行するという。
「責任ある積極財政」が家計を圧迫する恐れ
高市氏は、歳出を増やして国民の生活を支援するつもりなのだろう。それを「責任ある積極財政」と呼んでいる。確かに、物価上昇率が名目賃金の伸びを上回る中で、ガソリンや電気料金などが下がれば短期的に生活に若干のゆとりは出るだろう。
ただ、深刻なコメ価格の高騰をどう解消するかは定かではない。連立政権を組んだ日本維新の会は生産量を1.5倍にすると主張してきたが、自民党の鈴木憲和農相は慎重姿勢だ。飲食、宿泊、物流、建設、介護などの人手不足を、いかに解消するかも明確ではない。
また、高市首相は日銀の金利引き上げには反対の意向だ。低金利が続くと、為替市場で円安が進みやすくなる。そうなると、輸入物価が上がり、物価上昇に歯止めがかからなくなる。
さらに、積極財政で国債が増発になると、長期金利が上昇しやすくなる。それは住宅ローン金利の上昇などを通して、私たちの生活を苦しめることにもなりかねない。高市首相には、今後、難しい政策運営が必要になることは間違いない。





























