「70歳でこんなに大きい段差があるなんて」定年退職者が70代になって直面した心身の衰えより大きな"変化"
「定年後、その後」の重要なカギを握る〈人間関係寿命〉
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充実した老後をすごすには何が重要か。ベストセラー『定年後』で知られる作家の楠木新さんは「60代はまだ現役時代の延長のような感覚で生きられるが、70代になると心身に大きな変化が起こってくる。後半生をより良く生きるための“そなえ”が必要だ」という――。(第1回/全5回) ※本稿は、楠木新『定年後、その後』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
会社員としての生き方、働き方への不安
私が『定年後』を上梓したのは、2017年の62歳の時である。長年勤めてきた生命保険会社を60歳の定年で辞めた少し後だった。
50 歳の頃に、会社員としての生き方、働き方に漠とした不安を感じるようになった。それが執筆を始めたきっかけだった。
50代後半からは定年退職前後の人たちを徹底的に取材し、そこから見えてきた「定年後」の実態を観察して著した。
70代になって起きた「大きな変化」
刊行から10年近く経ち、71歳になった。この間に自分自身が大きく変わったと感じている。
定年後に勤め始めた大学も、体力面から予定よりも少し早く68歳直前で退任した。体力だけでなく、心身の面でも徐々に衰えを自覚するようになった。
中でもいちばん大きな変化は、会社員時代の付き合いが激減してきたということかもしれない。
かつて『定年後』を手に取ってくれた人々の多くが当時60歳前後だったと思われるが、その読者の方々も、この10年ほどで同様の変化を感じているのではないだろうか。





























