高市首相が目指す"日本復活"の邪魔になる…鈴木農水大臣の「おこめ券」が日本人をますます貧しくする理由
国民は負担を強いられ、JAと自民党農林族が得をするだけ
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鈴木憲和農水大臣が提唱する「おこめ券」が配られれば、家計はラクになるのか。キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は、「減反政策で米の生産量を減らして価格を上げて、補助金と高い小売価格の二重負担をさせている。さらに『おこめ券』を配るのは、国民にとって負担増でしかない」という――。
高市総理の下での農政復古
高市総理は食料・農業政策についてほとんど知識も関心もないようだ。
10月31日の朝日新聞によると、訪問した農林水産省幹部との約20分間の面談では、「高市氏は持論である植物工場の推進に意欲を示したものの、コメ政策については特段、指示がなかったという。ある農林水産省幹部はこう胸をなで下ろした」
つまり、農林水産省幹部は、農林族議員・JA農協・農林水産省という農政トライアングルが推進してきた高米価・減反政策をこれまで通り実施できることに安堵したのだ。農政通の石破前総理と違い、高市総理なら横やりを入れられることなく、思うままに彼らの既得権のための農政を展開できる。
農林水産省は、今年産のコメが69万トン、10%増産されたので米価が下落しないようにするため、放出した備蓄米59万トンを買い戻す。また、来年産のコメについては37万トン、5%減産する。今年産の生産が増えても、備蓄米の水準を回復するという名目で、市場から備蓄米として買い入れて隔離するとともに、来年産を減産すれば、供給量はかえって減少する。コメの値段は需要と供給で決まる。つまり、今の米価、コメの値段は下げない、むしろ上げたいということだ。
鈴木新大臣は価格を下げることにはコミットしないが減反を強化して上げることにはコミットするのだ。高米価を維持したい農政トライアングルの一員としての政策推進である。石破前総理や小泉前農相が推進しようとした政策をもとに戻そうとしている。まさに農政復古だ。





























