汚部屋で「鍵もスマホも紛失」で右往左往の女性が3カ月後に「失くし物ゼロ」に…玄関わきに置いた最強アイテム
苦手なことの原因は「脳」に隠されている
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部屋の整理整頓やこまめな家事を心がけていても、たびたび大事なものを紛失してしまう。なぜなのか。就労移行支援事業所を運営している柏本知成氏は「片付けや家事が苦手な場合、その要因は“脳の特性”かもしれない」という――。 ※本稿は、柏本知成『ポストが怖くて開けられない! 発達障害の人のための「先延ばし」解決ブック』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。 ※登場する人物の名前はすべて仮名です。個人情報保護のため、一部の属性や状況についても変更しています。
部屋は一向に片付かず鍵も見つからない
「鍵が見つからない! もうすべてが、どうでもいい……」
あなたにも、こんな経験はないでしょうか。
ある土曜日の17時50分。求職中の須田カオルさん(20代女性)は、玄関で硬直しています。19時には、中学時代の友人たちとイタリアンの約束がありました。
けれども、あるはずの鍵が行方不明。リビングを見渡すと、読みかけの雑誌、開封したままの宅配の箱、取り込み途中の洗濯物、昨夜の食器などが雑然と散らばっています。
「あと1時間しかないのに、どうして毎回こうなるの……」
鍵を探し出し、髪も服も整え直し、タクシーで店に滑り込んだのは乾杯直前。笑顔で席に着いたものの、心はざわざわ。
「私って、だらしない大人なのかな……」
こんな経験は、一度や二度ではありません。プライベートばかりか、働いていたときにも同じように「あるはずの物がない」なんてことが度々でした。
このように「片付けるのが苦手」という方は、脳内でどのようなことが起きているのでしょうか。「片付けられない」の脳内メカニズムを見ていきましょう。
片付けられない人の脳内はこうなっている
決断疲労
片付けとは、物を手に取るたびに「いる? いらない?」の小さな決断が必要になります。ADHD・ASDの人の脳は、決断エネルギーのタンクが小さめ。夕方には空になるくらいです。こうした小さな決断の連続に、とてつもないエネルギーを消費します。
そのため、一切何もしないまま、いわゆる「丸ごと放置」が起きるのです。
段取りをつける力の低下
片付けは「分別→移動→収納」の連続タスクです。
頭の中にあるメモ帳のような役割のワーキングメモリ(一時的に情報を保持しながら処理する脳の機能)が満杯になると順序を保持できず、思考がフリーズしてしまいます。
感覚オーバーロード(脳の情報渋滞)
視覚情報が多いほど脳は疲れ、「見るだけでやる気が削られる」状態に。
結果、「今日は無理」と先延ばしになってしまうのです。
このように、「片付けられない=怠け」ではなく、片付けは脳のエネルギーを使う作業が多いため、脳のキャパシティーを超えてしまい、着手できないだけなのです。
これらの脳内メカニズムを踏まえ、カオルさんが行った「片付けをラクに回す仕組み」をご紹介しましょう。





























