モームリ代表「退職代行サービスの流行は間違っている」…利用者3.5万人が会社を辞めたくなった切実な理由
「自分で退職も告げられない弱気な怠け者」ではない
Profile
退職代行の最大手「モームリ」が注目を集めている。代表の谷本慎二さんは「退職代行を使うのは、退職を自分で伝えられない弱気な怠け者ではなく、むしろ真面目過ぎる人たちだ。退職代行が流行していることは『正しい状態』ではない」という。元日本マイクロソフト業務執行役員の澤円さんが聞いた――。 ※本稿は、マイナビ健康経営のYouTube番組「Bring.」の動画「退職代行サービス経営者だけが知っている、若手社員が会社をすぐに辞めるいくつかの要因」「人手不足時代、大切な社員をどう確保すべきか?退職代行サービス会社が実践する従業員ケア」の内容を抜粋し、再編集したものです。
退職代行の依頼者に「弱気な怠け者」はいない
【澤円】谷本さんが代表を務める退職代行「モームリ」のサービスを使う人たちというのは、どういう人たちなのでしょうか?
【谷本慎二】「自分で退職も告げられない弱気な怠け者」という声が非常に多いのですが、実際はまったく違います。有料サービスですから、「面倒くさい」程度の安易な気持ちで依頼する方はそう多くありません。
例えば、退職を何度も伝えたけれど止められてしまった方や、俗にいう「ブラック企業」に勤めていて、上司からのハラスメントで辞められない方も多くいらっしゃいます。「3回退職を伝えても辞められず、最後は土下座したけど退職を拒否された」ということで依頼が来たこともありました。
【澤円】そんなケースもあるのですか?
【谷本慎二】本当の話です。わたしたちが依頼者の退職意向を企業側に伝えると、逆上して怒鳴り散らされることもありますし、「当社は退職を認めておりません」と返答されて、こちらが驚いてしまうケースもあります。また、退職のお話が進んでいたのに、最後に有給休暇の消化についてお話ししたら、「それは認められません」といわれることもあります。
24時間対応、LINE相談は3分で返信
【澤円】「退職を認めない」もそうですが、「有給休暇の消化を認めない」は法律違反では……?
【谷本慎二】その通りです。相手先が当社をどのように認識しているかわかりませんが、他社の人間に対して堂々と法律違反を口にするわけです。それこそ、依頼者が「自分で退職を伝えたくない」と思った理由なのでしょう。
依頼者の多くは「怠け者」どころか、むしろ真面目過ぎるがゆえに、仕事と会社のシビアなマネジメントに追い込まれてしまった方々であり、助けを求めているのです。なかには、メンタルを病んでしまって病院に通われている方もいらっしゃいますね。
【澤円】「仕事に人生を狂わされてしまった人」にとって、救済処置になり、心を支えてくれる最後の拠り所になり得る場所が、「モームリ」というわけですね。
【谷本慎二】思い詰めている方も多く、だからこそ当社のオペレーターは24時間体制で依頼を受け付けていますし、LINEの依頼・相談には3分以内で返し、未読スルーは絶対にないよう気をつけています。