ダ・ヴィンチでもミケランジェロでもない…万博イタリア館で一番感動を呼んでいる超絶技巧の天才の名前
殺人を犯し38歳で没した「呪われた画家」の傑作を徹底図解
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【前編】これを知らずに6時間並ぶのはもったいない…「万博イタリア館」日本初お目見えの「国宝」を徹底図解 大阪・関西万博のイタリア館にはルネッサンス期などの傑作が来日中。イタリアの美術館でのガイドをしていたヴィズマーラ景子さんは「カラヴァッジョの傑作絵画は所蔵するバチカン美術館で見るよりイタリア館で見たほうがよく鑑賞できる」という――。〈前編〉から続く。
巨大な絵の前に感動で立ち尽くす人が続出
④カラヴァッジョの「キリストの埋葬」
――前編では「ファルネーゼ・アトラス」「ティントレットの伊東マンショ像」「ミケランジェロの『キリストの復活』」について解説しました。しかし、イタリア館に展示されている作品の中でも、芸術として一番すごいのはカラヴァッジョ(1571~1610)の「キリストの埋葬」では? 感動して絵の前に立ち尽くす人がたくさんいました。
【ヴィズマーラ恵子、以下ヴィズマーラ】そうですね。ルネッサンスからバロックへと絵画を進化させたカラヴァッジョの作品の中でも最高傑作といわれています。まさに彼の絵の様式「キアロスクーロ」、明暗法で描かれていて、V字型の構図。絵の中心の位置から見ると、まるで6人の人物が絵の中から飛び出してくるようです。
特別な照明でV字構図と明暗が浮かび上がる
――ミケランジェロの「復活のキリスト」を見て、その奥の仕切られた暗いスペース「スピリチュアル・ゾーン」に入ると、展示されています。高さ3メートル、幅2メートル。たたみ3畳分とデカい! バチカンはよくこの絵を日本に送ってくれましたね。
【ヴィズマーラ】以前、この絵は日本で展示される予定があったんです。そのときはコロナ禍で来日中止になってしまったので、今回の万博で約束を果たしますよということですね。ふだんはバチカン美術館で展示されていますが、今回のイタリア館の展示の方が、ライティングや目線の位置からしても、後ろに下がって全体を見られることでも、よりよく鑑賞できるのではないでしょうか。