トヨタでもサントリーでもない…ハーバード大学経営大学院が教材にする従業員850人の日本の同族経営企業

トヨタでもサントリーでもない…ハーバード大学経営大学院が教材にする従業員850人の日本の同族経営企業

ハーバードが注目するのは日本の「超」長寿企業

【後編】どうやってトランプと「ディール」すればいいのか…ハーバード式交渉術が「正解」を世界に示す要注目の展開 長年、ハーバード大学経営大学院の授業や日本への研修旅行を取材してきた佐藤智恵さんは、「同大学院の学生や教員の間では、近年、日本の長寿企業への関心が高まっている」という。最新の日本研修旅行、授業、教材から見えてきた日本の知られざる強みとは――。

ハーバード経営大学院恒例の「ジャパントレック」

――ハーバード大学経営大学院で一番人気の研修旅行先が日本ということですが、そもそも学生や教員は、日本にどんなことを学びに来ているのでしょうか。

【佐藤智恵、以下・佐藤】ハーバード大学経営大学院恒例の学生主催の日本への研修旅行「ジャパントレック」は毎年5月に実施され、約100~120人もの学生が来日しています。この研修旅行の目的は日本の歴史・文化体験。学生たちは9日間かけて、東京、京都、広島などを回り、神社、寺、ミュージアムから、ドン・キホーテやユニクロの店舗、ゲームセンターまで、日本の文化をまるごと体験します。

研修には、アメリカ人学生に加え、世界各国から来ている留学生も参加しています。「生まれて初めて日本に行く」という学生が多いのが印象的ですね。

参加した学生たちにインタビューしていて、毎回、感心するのが、経営大学院や大学の学部で学んだ知識をもとに、自分なりの観点から日本をとらえているところ。話をしていると、鉄道のオペレーション、駅の構造、店舗の販売方法など、専門的な知識を基に詳しく分析してくれることが多々あります。こうした視点から日本の本質をとらえているのはさすがだと思います。

また学生たちがそれぞれ日本でハマるものが違うのも面白いです。ラーメンばかり食べたという人もいれば、ひたすら「ししとう」の料理を食べたという人もいます。アナログなクレーンゲームの虜になったという人もいれば、駅のスタンプ集めに夢中になったという人もいます。

一方で共通して語ってくれるのが、日本人から親切にされた経験。学生たちの話を聞いていると、「私たち日本人ってこういう良いところがあるんだよな」と気づかされることもしばしばです。こうした日本人との触れ合い体験も含めて、学生たちは日本の文化を学びに来ているのだと思います。

トランプ政権との対立が続く2025年も…

――2025年もジャパントレックは実施されたのでしょうか。

【佐藤】2025年も5月21日から29日までの日程でジャパントレックは実施されましたが、例年と大きく違っていたのは、旅行3日目の5月23日、「米トランプ政権がハーバード大学の留学生受け入れ資格停止を発表した」というニュースが、いきなり飛び込んできたことです。

これを受けて、旅行の幹事をつとめる日本人学生たちは、最新の入国情報を収集したり、アメリカに帰国を希望する学生の数を把握したり、早朝から対応に追われたと聞いています。「多くの留学生が帰国してしまうのではないか」「旅行を続行できなくなるのでは」と不安になったそうですが、翌日にハーバード大学が提訴し、その日のうちにマサチューセッツ州の連邦地裁が一時的に差し止める仮処分命令を出したこともあり、すぐに帰国した留学生は数人で、ほぼ全員がそのまま旅行を継続することを希望したそうです。

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©Natalie Keyssar for Harvard Business School ハーバード大学経営大学院の教室の様子
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2025.07.11

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