3日で辞めたいと思った会社に10年勤めた…「変人」といじめられた作家の"おもしろさ"を発見するセンス
「好き」とは一線を超えること、来たバスには乗ってみろ
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若者が新卒3年で辞めるどころか、入社早々に退職代行でいなくなる世の中になった。作家・荒俣宏さんは「僕も就職した水産会社を配属3日で辞めようと思ったけれど、4日も頑張ってみたら仕事のおもしろさを発見して結果10年勤務することになった。辞めたければ辞めればいいが、『来たバスには乗ってみろ』は至言だ」という――。(第2回/全3回) ※本稿は、荒俣宏『すぐ役に立つものはすぐ役に立たなくなる』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
「自由」の代償としての孤独
ときどき、「荒俣さんは好きな研究をしているから、自由で楽しそうでうらやましい」といわれることがある。
でも、うらやましがられることなど何もない。幼稚園のときから「変人」だの「アマノジャク」だのとからかわれ、いじめられたから、孤立していた。家で飼っているヤドカリやコオロギだけが友達だった。
ただし、わたしは好きなことだけしているわけでもなかった。正直にいえば、どんな仕事もやってみるとおもしろくなるのだ。
3日で辞めるつもりが10年勤務
大学卒業後、就職は魚類に興味があったから水産会社に勤めたのだが、配属されたのは漁船に資材を詰めこむ部署で、その後は思いもよらぬコンピュータ室だった。
3日で辞めようと思ったが、4日も頑張ってみたら、デジタル機器のおもしろさを発見して10年近く勤務した。
そこで知ったのは、「来たバスには乗ってみろ」という至言だった。やれば、何でもおもしろくなるのだ。