物価高で生活困窮する中で「日本で一番安い都市」が首都圏にあった…湘南新宿ライン停車駅がある都市の名前

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物価高1位=東京は今や昔…横浜・札幌より安い

物価高にあえぐ日本。その対策は参院選の争点になっている。統計データ分析家の本川裕さんは「物価が日本で一番高いのは長らく東京だったが、今は違う。大都市だからといって物価が高いわけではない。各地を細かく調査すると、『家賃を除く一般物価』や『食料品』ともに全国で最も安い地域が首都圏にあることがわかった」という――。

「物価高」全国1位は東京でなく横浜

米や食品をはじめ様々な品目の物価高に日本国中が揺れており、今月行われる参院選(20日投票)においても物価高対策が大きな争点となっている。

米の価格や消費者物価指数をはじめ、物価上昇に関するデータは報道紙面やネット上にあふれているが、最近調査結果が公表され、興味深いファクトが明らかになったにもかかわらず、消費者物価の地域差に関する統計データはほとんど国民の目に届いていない。

今回、このデータで注目される点について紹介することとしよう。

「全国で最も物価が高いのは東京」というイメージを抱く人は多いかもしれない。本当にそうなのかデータで調べてみると、違った。驚くことに、今、最も物価が高いのは「東京」ではなく「横浜」である。

全国を100とした場合の各地域の物価水準を「消費者物価地域差指数」(総務省統計局)というが、東京都区部と横浜市の指数の推移を図に掲げた(図表1)。

図表1には、家賃を含む「総合」と、家賃を除く「総合(一般物価)」の2つの指標で東京区部と横浜の地域差指数の推移を掲げた(いずれも住宅価格は含まれない)。

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バブル経済の余韻を引きずっていた2010年代以前は、全国水準より東京区部は総合で12%前後、一般物価で8%前後、物価が高く全国1だった。ところが、2010年代以降は総合で5~6%高、一般物価で3~4%高と半分の水準にまで下がり、そう極端には高くなくなった。

しかも横浜は、東京ほど物価の低下幅が大きくなかったため、2010年代半ばからは一般物価では、東京を上回ることが多くなった。

先月、公表された2024年の値(一般物価)では、2020年以降、コロナ禍の影響で保健医療品などが高騰した東京区部での高値水準が解消されたためもあって、5年ぶりに、横浜が東京を上回った。あとで見るが、東京は実は横浜に次ぐ2位でもなく、札幌を下回る3位だった。

トータルに判断すると、東京の物価高日本一の地位は横浜に譲り渡したといってよいだろう。後段では、費目別の地域差の状況変化にふれ、ユニクロや100円ショップの展開など東京がトップの地位から陥落したこととの関連を探っている。

なお、日本の物価上昇は海外ほどではないので、こうした東京の物価低下は海外都市と比較すると余計に目立っているはずである。

海外主要都市と比較しても東京の物価が安く、少なくとも若者にとって過ごしやすい都市になっているということを原田曜平氏(マーケティングアナリスト)が指摘している(プレジデント・オンライン記事、2022年1月)(注)。流行の最先端は東京ではなくむしろアジアでは上海やソウルだが、「世界の先進国の大都市部で最も楽(ラク)に暮らせる街」は東京だという。


(注) 同記事には20年間、日本に来ていなかったニューヨークの友人との会話が紹介されている。「東京の物価が高いって言うけど、今、東京でラーメン食べたらいくらくらいすると思う?」。それに対し彼は、「NYで食べると1500~2000円くらいだから、高い東京だったら2500~3000円くらいするんじゃない?」「800~1000円だよ」。私のこの回答に対し、ものすごく驚く彼の顔が大変印象的でした。その後、実際に彼は奥さんと子供と東京旅行を久々に敢行し、「安くて本当に快適だった」と大変満足げでした。このエピソードが象徴するように、この約20年の間に、東京も含めた日本は、欧米先進国の大都市部に比べると、大変物価の安いエリアになった(なってしまった)のです。

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2025.07.10

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