だからダイエットや健康に効果あり…ワインとヘルシーに付き合う人が実践する"たった1つ"の飲み方
ワインと健康の関係は「二律背反」の構図
Profile
ワインとの良い付き合い方とは何か。ソムリエの佐野敏高さんは「赤ワインの摂取は心血管疾患のリスクを低減するといった研究結果があるが、アルコールそのものは体に悪影響を及ぼすとされる。リスクが統計的に示されるたびに、私たちは『健康のために飲むべきではない』という結論に行き着くのかもしれないが、それだけがワインの真実ではない」という――。 ※本稿は、佐野敏高『ワインビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
飲食店でワインを飲む本当の意味
ワインという美しい嗜好品を取り扱う人たちは各々の哲学を持っています。レストランやワインバーでもそれぞれの理想を求めて自己研鑽を続けています。これから話すお話は僕の経験をもとにしています。すべての環境に当てはまらないと思いますがご容赦ください。
ワインと向き合うことよりも難しいのが、お客様と一緒に空間を造ること。お客様と同じ目線でワインの世界を共有することは、食を通して生き方そのものを擦り合わせることです。
僕は飲食店でワインを飲む意味を、常に自分自身に問いかけています。経験したものを自分の引き出しに入れ、感性というスパイスを用いて編集をし、何度も反芻して自分の言葉にしていきます。佐野にとってのワインとは? 自分の経験から答えを見出していきます。
僕たち給仕人とパートナーであるワインの個性が手を組むことで、観客であるお客様にとって唯一無二の世界を創造できると思うのです。ワインの味わいは、注ぎ手によって不思議なくらい変わるものです。
そこにはお客様への気配りはもちろん、ワインや料理、そして少しばかり自分自身への配慮も必要です。卓越した技術や経験が加われば、時にワインはただの飲み物を超えて、心に響く瞬間を生み出してくれることがあります。
大切なのは肩の力を抜いて楽しんでいただくこと。そして、その場に特別な喜びが自然と生まれる空気を造ることです。ワインを口にした瞬間、ふと会話が止まることがあります。たぶん、その人の心のどこか深い場所に、ワインが静かに触れたのでしょう。
そんなとき、そっとワインの物語を添えるだけで、そのテーブルの会話は少しだけ豊かになります。