TikTokを見てたら「時間が溶けた」…若者たちが「リール動画」から抜け出せない脳科学的理由
「ユーザーをアプリに閉じ込める」仕組みに特化
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なぜ若者はTikTokにハマるのか。東北大学の川島隆太教授は「次から次へと新たな動画があらわれるのがリール動画の特徴だ。この『宝探し』のような体験の中で好みの動画が出てきた時、脳内でドーパミンが大量に放出されると考えられる」という――。 ※本書は、川島隆太・岡田拓也・人見徹『欲しがる脳』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。
リール動画は「最強の発明」
私たちの脳は、どのように誘導され、利用されているのでしょうか。「ハマる」の裏側を見ていきましょう。
SNSをまったく利用していないという人は、もはやほとんどいないのではないでしょうか。スマホに指を滑らすだけで次々とタイムラインに流れていく投稿から、つい離脱するタイミングを失ってダラダラと見てしまった……なんて経験がある方もいらっしゃるかと思います。
中でも近年の「最強の発明」と呼びたいのがリール動画です(※Instagramが名付けた機能名ですが、ここではTikTokなどの縦型短尺動画全般を含めて「リール動画」)と呼びます)。
スマホに対応した縦型の3~15秒ほどの短い映像が切れ目なく配信され、特に若年層を中心に爆発的な人気を獲得しています。実際、新曲も懐かしの曲も含めてTikTok発でヒットする現象は枚挙に暇いとまがなく、「踊ってみた」動画を撮っている若者の姿は、街中の至る所で見かけます。
手のひらのスマホのアプリ画面から、なぜ目が、そして指が離せなくなるのでしょう。その背後には脳の報酬系ネットワークを狙い撃ちにした巧妙な仕掛けがあります。