年間1000件以上の面談をしてきた産業医は知っている…「1年で2人以上のメンタル不調者が出る部署」の共通点

年間1000件以上の面談をしてきた産業医は知っている…「1年で2人以上のメンタル不調者が出る部署」の共通点

「NGワードを言わない」だけでは甘い"部下を潰さない心得"

メンタル不調者が出やすい職場にはどんな背景があるのか。大手外資系企業を中心に年間1000件以上の面談を行っている産業医の武神健之さんは「同じ部署で1年以内に2人以上のメンタル不調者が発生したら、その原因は大きく2つに絞られる」という――。

職場の人間関係ストレスで最も多い原因は「上司」

こんにちは、産業医の武神です。1万人以上の働く人たちとの面談を通じて分かったことは、職場の人間関係ストレスで最も多い原因は上司だということです。「上司が怖い」「あの一言が頭を離れない」と出社前夜から憂鬱になったり、朝の出社をためらう人も少なくありません。特に、新人や復職者を傷つける無自覚な“NGワード”こそ最大の落とし穴だと強く感じています。

今回は実際の2事例をもとに、部下の心を守りつつ成果も高めるべく上司に守ってほしい3つの心得をご紹介します。職場の空気を少しでも柔らかくするヒントになれば幸いです。

数年前、私のクライエントの30代女性Aさんは、不安障害の診断で休職しました。彼女は、主治医とリワークプログラム施設、そして人事との連携の甲斐もあり、11カ月で復職となりました。週3出社・週2在宅勤務からの段階的復帰から始めることとなったAさんは、会社や部門の配慮に感謝し、「もう一度ここで頑張りたい」と前向きな気持ちで出社しましたが、その復職初日に、上司が昼休みに彼女に放ったのは次の言葉でした。

「いいよね、医者は簡単に診断書を書いてくれるから」

原因は職場ではなかったのに上司の一言で…

Aさんは休職中の産業医面談でも、彼女の不安障害の原因はAさん自身の中にあり、特に職場での人間関係ストレスはないと言っていました。それでも、この上司の一言で、「私は甘えているのか」「ここに居場所はないのか」「上司は私の復職を快く思っていないのか」と不安と恐怖が再燃してしまいました。翌週の産業医面談では声を震わせながら「頑張って戻ったのに、初日から居場所がない」と泣いてしまいました。

聞いてみると、会社で仕事中は自分の席では涙は抑えられる。たまに涙が出そうになると、トイレに行って泣いている。先週は帰宅中の電車で涙が頬を流れていたが、今は帰宅するまで我慢できている。出社勤務の前日は夜中に目が覚めてしまう。睡眠薬を飲んでいるので眠ることはできているが、朝、会社に行くのがつらい。という状況でした。幸い翌日に診察とカウンセリングの予定があったので、そこでよく相談するようにお伝えし、面談は終了しました。

カウンセリングを通じて、そのようなデリカシーのない言葉に自分の心が動揺してしまうのは仕方ないが、それを引きずるのはもったいないことを伝えられ、診察では症状が出た時のために、仕事中でも飲める頓服の薬を処方されました。その後、なんとか継続して働くことができ、Aさんは今は普通に働いています。

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2025.07.09

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