だからトランプは習近平に敗北した…「トランプの関税戦争」を収束させた"最大の功労者"は誰か

だからトランプは習近平に敗北した…「トランプの関税戦争」を収束させた"最大の功労者"は誰か

トランプ政権は、中国と関税をそれぞれ115%引き下げることで合意した。強気の姿勢はなぜ揺らいだのか。伊藤忠総研主席研究員の宮嵜浩さんは「トランプ政権は株価が下落を続けても動じることはなかった。しかし、米紙が指摘するように、債券市場や外国為替市場を巻き込んだ金融市場の混乱には配慮せざるを得なかった」という――。

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トランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席

米中合意で日本株は急上昇

4月中旬以降、日本株が急反発している。日経平均株価は4月7日に3万1136円の年初来安値(終値ベース)を記録し、年初来の下落率は▲21%に達したが、その後は上昇傾向に転じ、直近5月13日には3万8183円まで回復した。昨年末の水準(3万9572円)には未だ及ばないものの、安値から約1カ月で+23%という急上昇ぶりである。

一方、日経平均株価よりも採用銘柄数が多く、市場全体の値動きをより反映する東証株価指数(TOPIX)も、日経平均株価と同様に4月7日の年初来安値から急上昇しており、しかも4月22日から5月13日まで13営業日続伸と、2009年以来の長さを記録している。(図表1)

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株価が急反発した最大の理由は、米トランプ関税の見直しである。トランプ米大統領は今年1月の就任以降、経済覇権を競う中国のみならず、日本をはじめとした友好国、同盟国に対しても、安全保障上の懸念を理由に、あるいは米国経済が緊急事態に直面しているとの大義名分の下、自動車や鉄鋼、アルミなど様々な輸入品に対して容赦なく関税引き上げを適用してきた。

中国やカナダなど一部の国々は、トランプ関税に対抗して米国からの輸入品に報復関税を実施し、米国もさらに追加関税を実施するなどの応酬がみられた。

先に悲鳴を上げたのは、米国政府でも中国政府でもない

4月に入ると、トランプ政権はほぼ全ての貿易相手国に対し、最低10%の「相互関税」実施を公表。なかでも高率の「相互関税」を課された中国が激しく反発して報復関税を米国に適用し、米国も対中追加関税で対抗と、米中両国による関税の引き上げ合戦がエスカレートし、4月9日には米国の対中関税が145%、中国の対米関税は125%に達した。

これは事実上、米中間の貿易取引を凍結するに等しい。仮に貿易が行われても高税率品の国内流入は米中両国に激しいインフレをもたらし、消費者に深刻な悪影響を及ぼすことになる。世界景気の悪化懸念が一気に現実味を帯びた。

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2025.05.21

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