街のシンボルだったヨーカ堂、西友はなぜ次々と閉店するのか…「総合スーパー」でイオンだけが生き残ったワケ
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かつて小売業の王者として君臨していた総合スーパー(GMS)が不振にあえいでいる。流通アナリストの中井彰人さんは「イトーヨーカ堂、西友の凋落には、ダイエーの衰退の延長線上にある 」という――。
閉店時間を迎え、多くの客が集まったイトーヨーカドー竜ケ崎店=2025年2月24日、茨城県龍ケ崎市
なぜ「総合スーパー」はイオンだけになったのか
2025年は小売業界にとって、時代に変わり目を思わせる大きなニュースが既にいくつも起きている。流通大手セブン&アイが、ついに祖業である総合スーパー(以下、GMS)、イトーヨーカ堂を中心としたヨークHDの株式の過半を外資ファンドに売却することが決まった。
そして、同じくGMSの老舗で、世界最大の小売業ウォルマートを経て、外資ファンドの傘下となっていた西友が、ディスカウントストア大手トライアルに売却されることになった。1990年代、ランキング上位の大半がGMSによって占められていた時代をおぼえている方々にとっては、隔世の感がある出来事であっただろう。
図表1は1998年の小売業ランキングだが、この時点の上位企業のほとんどが再編、合従連衡の当事者となり、中でもGMSに関して言えば、イオン以外はその経営権が他者に渡っている。
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結果とすれば、イオンだけが生き残ったという形ではあるが、そのイオンにしてもグループとしては隆々としてはいるものの、GMSセグメントの売上高利益率はわずか0.45%であり、データで見る限りはとてもグループに貢献しているとはいえない。(収益面以外での貢献度は、実は十分にあるのだが、今回はそこを深掘りはしない)
かつては小売りの王者として業界に君臨していたGMSが、恐竜の如き過去の存在と化したのはどうしてなのだろうか。かつての小売りの覇者ダイエー衰退の経緯をたどると、その背景が見えてくる。(図表2)
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