実は「揉む」「叩く」は意味がなかった…バキバキに固まった肩、腰の痛みに名医が実践する「エックスの法則」とは
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老後に健康でいるためには、どんなことに気をつけたらいいか。東京医科大学の遠藤健司教授は「人間の身体は動かないと不具合が生じる。その際に大事なのは、むくみを流して筋組織をゆるめ、筋肉の動きをよくすることだ」という――。(第1回) ※本稿は、遠藤健司、奥野祐次『こんなに痛いのにどうして「なんでもない」と医者に言われてしまうのでしょうか』(ワニ・プラス)の一部を再編集したものです。
なぜあなたの身体に「痛み」が生まれるのか
背骨が曲がっていることが痛みの原因ではありません。曲がったままバランスが崩れている状態で固まってしまっていることが痛みの原因なのです。
首や背中の痛みの人間の体は動かないと不具合が発生することを軸性疼痛といいますが、姿勢からくる軸性疼痛の対処法についてお話ししたいと思います。
子どもはよく動きますが、人間の体はじっとしているのに適した構造にはなっていません。そのため長時間同じ姿勢でいると、いろいろな「不具合」が起きてくるのです。その極端な例が、長時間の飛行機旅行で発生する脚の血栓(エコノミークラス症候群)です。筋肉の収縮が少ないと脚の血流が低下して、血栓が発生してしまいます。
同じ姿勢を続けがちで、あまり動かさない上半身の筋肉のファシア(※)には多かれ少なかれむくみが生じており、そのせいで本来の「ゆるさ」が失われ、コリや痛みといった症状が引き起こされます。逆に言えば、コリや痛みを感じるのはファシアがむくんで硬くなっている証拠なのです。
(※ファシア:疎性結合組織。臓器や骨、血管、そして筋肉などを覆う、全身に張りめぐらされた「ゆるゆるの組織」。)