女性「体の関係NO」vs男性「必須」の水かけ論…アラカン世代に月9「続・続・最後」のセリフが沁みる深いワケ
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2025年春ドラマで中高年の間で話題になっているという「続・続・最後から二番目の恋」。なぜ人気なのか。ドラマウオッチャーのフリーランスライター・東野りかさんは「現在、一人暮らしをしながらパートナー探しをしている中高年のある視聴者は、このドラマのセリフや展開に大いに共感している」という――。
定年前にキャリア集大成の花火をぶち上げたい!
「主人公に起こる出来事がリアルすぎて心がザワザワする」
「フィクションとわかりつつもセリフの一つひとつが胸に沁みる」
今、ドラマウオッチャーの間で話題を呼んでいるのが、「続・続・最後から二番目の恋」(フジテレビ、以下「続・続・最後」)だ。
小泉今日子と中井貴一のダブル主演。2012年に第1シリーズ、14年に第2シリーズが放送された。どちらもロケ地の神奈川県・鎌倉市に“巡礼者”が出没するほど、好評を博した。過去2シリーズは木曜の10時に放送されていたが、今回は局の看板である“月9”に格上げされた。
かつての月9ドラマのような高視聴率は望めないが、見逃し配信のTverでは視聴ランキング上位に入っている。
小泉演じる吉野千明(千明)は59歳、中井演じる長倉和平(和平)は63歳というアラカン世代になり、前シリーズのメインの視聴者層と年齢がほぼ重なる。それゆえ、なおのことストーリーへの共感度が高くなるのだろう。
中居正広氏や石橋貴明氏による性加害問題、組織としてその事実の隠蔽を図ったことで、多くのスポンサーが次々と撤退したフジテレビにとって、ほとんど唯一の明るい話題と言えるかもしれない。
さて、「続・続・最後」のストーリーを少しだけ紹介したい。
千明はテレビ局のジェネラルプロデューサー。定年を1年後に迎え、「60歳以降の人生をいかに生きるか?」が課題だ。会社に残る道があるが、先行きは不透明。部下から老害呼ばわりされぬようにと怯える一方、自分が制作したドラマが局の代表作と認識されていないことに怒りを覚える。その怒りが原動力になり、キャリアの集大成として、新たなドラマ制作への情熱を燃やす。
和平は鎌倉市役所を部長職で定年退職した後、再雇用でヒラ職員に。かつての部下が上司になり、その部下から無理難題の解決を押し付けられることに。しかし、人から頼られると嫌とは言えない(むしろ喜びを感じるタイプ)性格の和平は、まんざらでもない様子。なぜか未亡人にモテる。
そんなとき和平の同期が亡くなり、千明の上司も突然死。死がすぐ近くに忍び寄っていることを実感する。