だから50年超のロングセラーになった…味の素「冷凍ギョーザ」がこっそり実施した「レシピ変更」驚きの回数

だから50年超のロングセラーになった…味の素「冷凍ギョーザ」がこっそり実施した「レシピ変更」驚きの回数

ロングセラーブランドのリブランディングを成功させるにはどうすればよいか。ブランドマネージャーの西口一希さんは「まずは既存顧客の離反率を下げたいのか、新規顧客を獲得したいのか、目的を必ず決めて策を考えることが必要だ」という――。 ※本稿は、西口一希『ブランディングの誤解』(日経BP)の一部を再編集したものです。

ロングセラーブランドに起こる2つの問題

ロングセラーブランドには、徐々に売り上げが低下するケースがあります。この課題は、大きく2つの問題点が理由であることが多いです。

一つは強い競合が現れて「既存顧客の離反率が高まるケース」。競合ブランドに対抗するため、独自性を強めるための商品改良や機能追加の必要があります。アサヒビールは24年6月に実物のレモンの輪切りが入ったレモンサワー「未来のレモンサワー」を発売しました。このような競合にはない自社ブランドだけの強い独自性を加えることで、新規獲得した顧客の離反を防いでロングセラー化する可能性があります。

もう一つは「新規顧客が取れなくなるケース」です。これは商品・サービスの持つ便益の魅力が失われたのか、あるいは独自性が弱いのか、訴求方法が不適切なのかに問題があります。新規を獲得できる便益と独自性の組み合わせが見つかると、離反率も下がることがありますが、両方の課題を解決しようとするとどっちつかずになりがちです。まずは既存顧客の離反率を下げたいのか、新規顧客を獲得したいのか、目的を必ず決めるべきです。

リブランディングを掲げながら、顧客に成立しているブランドの構造や関係を理解せず、想起率を下げたり、記憶化を毀損したりするような、「ブランディング」に陥ってしまってはなりません。顧客を理解し、「WHO(誰に)」と「WHAT(何を)」を徹底的に突き詰め、何を残し、何を変えるべきかを見極めなければ効果的なリブランディング投資は成立しません。

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※写真はイメージです

「メラノCC」の成功

ロート製薬の「メラノCC」という美容ブランドがあります。この商品はもともと「『メラノバスター』しみ対策液」という治療薬のような商品でした。商品としての売り上げは小さく販売中止の検討段階にありました。

とはいえ、少なからず購入し続けている顧客がいたので、まずはロイヤル顧客に話を聞くことにしました。購入し続けている理由を聞けば、とにかくビタミンCに効果を実感しており、肌のしみだけでなく肌全般に効果を感じている。だから、数千円の美容液を買うよりも価値を感じるとおっしゃっていました。

そこで、パッケージや商品名を変更すれば潜在的な顧客にもっとアプローチできるのではないかと考え、リスクを承知で名称をメラノCCに変更しました。パッケージは黄色を基調にして、ビタミンの塊のような印象を与えるデザインに変えました。すると、商品の中身は変えていないのに、非常に売れるようになりました。

これはリスクを取って成功したリブランディングの一つの事例ですが、もともと商品として強い便益と独自性を持っていたものの、それが伝わりにくいネーミングとパッケージだったことに要因がありました。このマーケティング課題に対して、本書・第4章で解説したブランディングの目的の一つである、商品・サービスが持っている便益と独自性を見極め、きちんと記憶しやすくするようにリブランディングしたことで、大きな成功につながりました。

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2025.05.10

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