悠仁さま失踪で「愛子帝」と「芦田愛菜首相」が相まみえる…近未来小説が描いた超リアルな女性天皇誕生物語
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「愛子天皇」を描いた「AAゴールデンエイジ」という近未来小説が、今も読み継がれているのはなぜか。皇室史に詳しい島田裕巳さんは「この小説は徹頭徹尾フィクションだが、ひどくリアルなところがある。それは愛子天皇が誕生する経緯である」という――。 ※本稿は、島田裕巳『日本人にとって皇室とは何か』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
近未来小説「AAゴールデンエイジ」のリアルさ
今から6年ほど前のことになるが、2019年に、愛子内親王が天皇に即位したときのことを描いた近未来小説が話題になったことがあった。
それは、「AAゴールデンエイジ」というタイトルの小説で、ネット上に公開された。
作者は、「オジョンボンX(OjohmbonX)」という1985(昭和60)年生まれの人物だが、八潮久道という名前で、2024年4月には『生命活動として極めて正常』(KADOKAWA)というSF短編集を刊行している。「AAゴールデンエイジ」は、投稿サイトである「カクヨム」で現在でも読むことができる。
タイトルからはまったく想像できないが、これは愛子内親王が天皇に即位してからの物語になっていて、舞台は2050年と設定されている。
この時代、日本ではじめて女性の首相が誕生する。それが、子役として名をはせ、現在では女優、タレントとして大活躍している芦田愛菜だというのだ。
タイトルに使われているAAというイニシャルは、愛子内親王のAと、芦田愛菜氏のAである。小説のなかで、2人はスーパーレディーに設定されているが、なぜか次のように、友だち以上に親しい関係を結んでいることになっている。
首相就任時、愛子帝が「おめでとう」とカジュアルに祝意を伝えると、芦田首相もまた気軽に「火中の栗だよ、こんなの」と応じた。(「AAゴールデンエイジ」より)
もちろん、この小説は徹頭徹尾フィクションである。ただ、ひどくリアルなところもある。
小説で描かれる悠仁親王の「皇籍離脱」
それは、愛子天皇が誕生する経緯である。愛子内親王が天皇に即位するのは、現在のところ皇位継承資格者の第二位にある悠仁親王が、天皇に“即位したくない”という理由で失踪してしまったからなのだ。
そのことについて小説では、「しばらくして大学生になった悠仁親王が行方不明になるという事件が起こった。宮内庁はその事実をひた隠しに隠したが5日後に情報がリークされると連日連夜メディアはその話題一色になった。誘拐、失踪、殺害、あらゆる憶測が取りざたされたが、7日目になって本人の映像がYouTubeに公開された。皇族を離脱したいという意思が語られた18分間の映像だった」と述べられている。
その映像のなかで悠仁親王は、自分には「国民の一人となって働き、誰かを支えていきたいという思いがずっと強くあった」とし、それとともに「国民統合の象徴としての責務を果たし得るのかという疑問も、同時に強くなっていった」と語った。そこで、「自身の信ずる役目に殉ずるべきではないか」と考えるようになったというのだ。