「家族記念写真の慰謝料」はたった50万円…上階からの漏水トラブルで「補償されるorされない」の意外な法則
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漏水事故でよく揉めるのは、日用品の扱い
まず、マンションの上下階の漏水は大半が保険で処理されるので、ほとんど裁判になることはありません。ただ、下の階の住民が生活できない状態になれば、解決が急がれます。にもかかわらず保険会社の査定がなかなか出ないと被害に遭った住民が怒り出します。
賃貸の物件であればオーナーの保険で修理しますが、オーナーは査定が出る前に改修工事に着手する心構えを持たないとトラブルのもとになります。時にはオーナーが、自ら原状回復の費用を立て替える必要も出てきます。基本的には保険で解決されるので、あまり心配はいりません。
ただ、よく揉めるのは日用品の扱いです。特に、上水ではなく下水が漏れて食器や衣類が汚れた場合などは、「気持ち悪いので全部買い替えたい」と言われることがありますが、保険でも裁判でも、クリーニング代は認められても買い替え代金は認められません。こういうとき、住民同士で交渉すると感情的になりがちなので、交渉は保険会社に任せましょうとアドバイスしています。
では家具や衣類がカビだらけになり使用不能になったら。この場合は、買い替え費用を認める判例もありますが、新品の代金全額が補償されるわけではありません。損害時の時価、つまり中古価格で評価されます。ただ、こういうときは保険会社の査定のほうが被害者に甘く、一方、裁判になると法律に沿ったドライな判断になることが多いようです。