都心VS田舎「住む場所」の最終結論…森永卓郎が「都心は人の住むところではない」と確信した理由
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快適に住めるエリアはどう選ぶといいか。経済ジャーナリストの森永卓郎さんは「物価が上昇する一方の日本で生き抜くためには、生活コストを下げる必要がある。都心に近くて物価の安い『トカイナカ』に住めば、その暮らしはほぼ自動的に手に入れることができる」という――。 ※本稿は、森永卓郎『身辺整理 死ぬまでにやること』(興陽館)の一部を再編集したものです。
自分で家を買って地価上昇を証明するため「トカイナカ」へ
私は、28歳の時に、都心から電車を乗り継ぎ90分ほどかかる埼玉県所沢市の西部に2680万円で中古戸建住宅を購入した。
当時の年収は300万円で、住宅ローンの金利が7パーセントの時代だ。長男が生まれたばかりだったが思い切って踏み切ったのには理由がある。
当時、新卒で入った日本専売公社(現・JT)から出向を命じられ経済企画庁に勤めていた私は、「経済モデル」(方程式で作った経済の模型)を作るという仕事もしていた。
そんな中、近い将来、土地や株が大暴騰するというシミュレーション結果が出てきた。
そこで「バブルが来るぞ!」と役所の中で触れ回ったのだが、信用してくれる人は誰一人いなかった。
頭にきた私は「だったら自分で家を買って地価上昇を証明するから」と豪語して実践したのだ。当時、私は川崎市に住んでいたのだが、川崎の地価はすでに相当高くて、私には手が出なかった。
そこで、妻の実家に近いほうがいいだろうという考えから所沢の物件にたどり着いた。
我が家の家計は住宅ローンを差し引くと6万円しか残らないという極貧生活に陥ったが、それでも暮らしていけたのはトカイナカだったからだ。
なにしろ物価が安い。
肌感覚では、都心より物価が3割ほど安く、豊かな自然や動物とのふれあいもタダで楽しめる。