「靴下の重ね履き」に医学的な意味はない…「冷え症」に悩む人に産婦人科医が伝えている根拠のある3つの対策
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冷え性に悩む人が症状を改善するために効果的な方法はあるのか。産婦人科医の宋美玄さん(丸の内の森レディースクリニック)は「筋トレをして筋肉をつけること、温かい服装をすることが効果的です。漢方薬を出している病院に相談してみるのもいいでしょう」という――。(聞き手・構成=大西まお)
重ね履きを推奨する「冷えとりソックス」
さまざまな下着メーカーやソックスメーカーが商品化している「冷えとりソックス」または「冷えとり靴下」。インターネットで検索すると、驚くほどたくさんの商品が出てくるため、「本当に効果があるのかな」などと思ったことのある人も多いだろう。
冷えとりソックスとは、「冷え(毒素とも表現される)」を取り去ることで、足または全身の冷えを緩和して温めるとされている靴下のこと。多くは絹の5本指ソックス、綿の普通のソックスを4~5枚重ね履きすることが推奨されていて、セット売りされていることも多いのが特徴。靴下を何枚も重ね履きするため、ワンサイズ上の靴を用意する必要がある。けっこう大変だが、「冷え」をとる効果があるという科学的根拠はあるのだろうか。産婦人科医の宋美玄さんに聞いてみた。
「もちろん重ね履きをしてもいいのですが、とくに科学的根拠はないでしょう。足が冷たく感じられるなら温めたらいいのですが、温かい素材の厚手のソックスを履けばいいのであって、重ね履きをする必要はありません。絹はともかく、綿は通気性が悪いので足にかいた汗が蒸発せずムレたり、それが冷えると却って冷たく感じることもあり得ます」(宋美玄さん)
「冷え性」は医学用語ではない
そもそも「冷え」というのはなんだろうか。じつは冷え性というのは医学用語ではない。単純に手足の先や体が冷えているように感じたり、そのせいで痛みを感じたりする体質、または状態を表す言葉として使われている。
とりわけ女性には、冷え性の人が多い。その理由は、男女ともに体質や感じ方に個人差はあるものの、一般的に女性は男性に比べて筋肉量が少ないからだという。
「私たちの体は、肝臓などの内臓や筋肉で熱を生み出し、その熱で温められた血液を全身にめぐらせているから温かいのです。そして脳の指令により、気温の高いときは末梢の血管を拡張させて熱が逃げやすいようにしたり、反対に気温が低いときは末梢の血管を収縮させて熱が奪われないようにしたりして、常に37℃程度の体温を維持しています」(宋さん)
そのため、季節やエアコンなどによって周囲の気温が下がると、特に手足の先などへ血流が行き渡りにくくなり、冷たく感じるようになってしまうのだ。