職場で優遇されるのは若者とシニアばかり…働く40~50代が日本経済の「最大の被害者」であるワケ
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日本経済は低迷を続け、「失われた30年」と言われるようになった。物価が上がっているのに賃金は上がらず、家計が圧迫されている。この長く続く不況で犠牲になったのはだれなのか。ニッポン放送アナウンサーの飯田浩司さんが書いた『「わかりやすさ」を疑え』(SBクリエイティブ)から紹介する――。
常に置き去りにされてきた世代
帝国データバンクと東京商工リサーチがまとめた2024年上半期の企業倒産件数によれば、半期で5000件近くに上り、物価高に加えて求人難、人件費高騰などによる人手不足倒産も増えてきているとのことです。
企業もそうならないようにできる限り採用時の条件を良くしたり、シニア層の定年を延長したり待遇を改善したりして、なんとか人を繫ぎ止めようと必死になっています。実際、新卒者の給与水準は年々改善されていますし、定年を迎えても雇用延長は当たり前、それどころか正社員の定年を70歳まで延ばして給与水準を維持する企業も出るようになりました。
こうした雇用環境の改善は働くものにとって喜ばしいことではあるのですが、若手とシニアの間の中堅世代が置き去りになっている感は否めません。そしてこの層は、常に雇用の面で苦境に立たされ続けた世代でもありました。
バブル崩壊後の90年代、社会の荒波へ
この世代が生まれたのが1970年代から80年代初頭。当時、日本経済は第一次、第二次オイルショックを経てなお成長軌道にありました。
プラザ合意(*)後の円高不況などもありましたが、得意の自動車、家電に加えてハイテク産業も花開き、ハーバード大学のエズラ・ヴォーゲルが『ジャパンアズナンバーワン』を著したのもこの時代でした。頑張れば報われる。そう教えられたこの世代の人々が社会に出たのは1990年代。そこで、身をもって社会の厳しさを知ることになります。
*1985年9月に行われた先進5カ国(米、英、仏、西独、日)蔵相・中央銀行総裁会議における、「ドル高を是正」のための為替市場への協調介入を旨とする合意。
冷戦の終結、さらにバブル崩壊。日本は30年にわたるデフレの時代に入りました。既得権の打破、政治改革、構造改革、様々なスローガンが躍りましたが、この時代から日本は長きにわたる低迷を続けます。