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【小児科医監修】解熱剤やシロップなど赤ちゃん、子どもの薬の飲ませ方
薬の形状別、年齢別の飲み方の工夫など
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上高田ちば整形外科・小児科 副院長/日本小児科学会 小児科専門医/日本小児科医会 こどもの心相談医
上高田ちば整形外科・小児科 副院長/日本小児科学会 小児科専門医/日本小児科医会 こどもの心相談医
上高田ちば整形外科・小児科 副院長。小児科専門医として、その時代に合った子どもの医療の実践を心掛けている。3児の母として子育てをしながら、現役で活躍中。外来では、ホームケアの方法を分かりやすく説明し、自宅に帰ってから自信をもって看護できるように、保護者への説明を丁寧にするように心がけている。子育てに関する疑問、不安、工夫など、何でも相談しやすいクリニックを作り、「子どもの笑顔を作る」ために活動。
赤ちゃんや子どもに抗生剤や解熱剤などの薬を飲ませるときに苦労した経験はありませんか。薬の形状には粉薬や錠剤、液体シロップ、カプセル剤など種類があります。年齢別の小児でも飲みやすい薬の飲み方の工夫や、薬と組み合わせるときの注意点を解説します。
子どもの薬
小児科などで処方された薬を子どもが飲みたがらず、苦労するママもいるようです。服薬が苦手な子どもや、初めて服薬する赤ちゃんのためにママやパパができる工夫にはどのようなものがあるでしょうか。
形状別の薬の飲ませ方
薬には、粉薬やシロップ、錠剤、カプセルなど種類はさまざまです。
シロップにはドライシロップといわれる粉薬に含まれるものと液体シロップがあります。
ここでは、薬の形状別に飲み方をご紹介します。
粉薬
0~1歳の赤ちゃんに粉薬を与える際は、スポイト3~5滴程度の少量の水でといて、柔らかい団子状にします。団子状にした薬を子どもの上あごやほっぺの内側につけて、水を飲ませます。舌の先端は、苦みを感じやすいため触れないように、上あごやほっぺの内側に薬をつけるように意識しましょう。
2歳や3歳の子どもには、スプーンの上で薬とゼリーを挟むようにすると薬の苦みなどを感じにくく飲みやすくなります。薬の服用後には、水やお茶を飲ませるようにしましょう。
液体シロップ
液体シロップは、成分が沈殿しやすいため、飲む前に軽く振って混ぜ合わせましょう。
0~1歳の赤ちゃんに飲ませる際は、小児科や薬局などで手に入るスポイトを使います。スポイトで直接薬の量を測り、そのまま赤ちゃんの口の端にスポイト差し込みシロップを流し込みます。哺乳瓶の乳首に薬を入れて吸わせる方法でもよいでしょう。シロップを飲んだあとに母乳や水を飲ませるようにしましょう。
2~3歳の子どもは、食品やジュースに混ぜると飲みやすいでしょう。3歳以降の子どもは、コップで水分が取れるのならばコップで飲ませます。シロップが甘すぎたり、量が少ないときには、水に溶かして子どもが飲みやすくするなど配慮ができるとより飲ませやすいでしょう。
錠剤
5.6歳以上で飲めるようになる子が多いです。子どもに錠剤を飲ませる際には、子どもをイスに座らせて上半身をしっかり起こした状態にします。口を大きくあけさせて舌の奥の方に錠剤を置き、水を飲ませましょう。
ママやパパがいっしょに口を大きく開け舌を出し、「あーん」と言うと、子どもも真似をして、のどの奥を見せやすいかもしれません。口のなかが見えたときに、できるだけ舌の奥に薬を入れて飲ませるようにします。
ほかにも服薬ゼリーなどを使うのもよいかもしれません。
カプセル剤
カプセル剤を飲ませるときには錠剤のとき同様、上半身をしっかり起こして子どもをイスに座らせます。「あーん」と言いながら、子どもの口があいたときに舌の奥にカプセル剤をおきます。水を含んだあと、首を下にさげさせるとするっと飲み込みやすいようです。
苦い、甘い薬の飲ませ方
解熱剤などの苦みのある薬や、アレルギー剤などの甘い薬を飲みやすくするために、どのような食品に混ぜるとよいのでしょうか。
苦い薬(抗生剤、解熱剤など)
- チョコレート味
- アイスクリーム
苦い薬は、上記のような食品に混ぜると飲みやすくなります。
ご飯やパン、ミルクなどの主食とは、医師の指示があるとき以外は混ぜないようにしましょう。味が美味しくなくなり、子どもの口に合わなかったときに、主食に苦手意識を持ってしまう場合があります。子どもが離乳食を進めている最中などの場合には、特に気をつける必要があります。
同じ理由で赤ちゃんに苦い薬を飲ませた直後に、母乳を飲ませることに反対する意見もあります。赤ちゃんによっては薬の味の影響で、母乳にも苦手意識を持つようになる子もいるようです。ただ、しっかり薬を飲み込ませるために、内服後に優しく声かけしながら、安心させるように授乳することは問題ないでしょう。
甘い薬(アレルギー剤など)
- ジャム
- ヨーグルト
- 練乳
- はちみつ
甘い味のついた薬は、上記のような食品と組み合わせることで飲みやすくなります。
しかしはちみつには注意が必要です。1歳未満の赤ちゃんには、小児ボツリヌス症の恐れがあるため、与えないようにしましょう。
熱いものと薬を混ぜると薬の成分が変わってしまうことがあります。食品や薬の成分によっては、混ぜることで薬の苦みを引き出したり、薬の効き目を減らしてしまうこともあるようです。薬と食べ物の組み合わせで気になるものがあるときには、かかりつけの小児科医や薬剤師に確認してからの方が安心です。
子どもが薬を飲める声のかけ方
大人でも薬を服用するとき、味や異物感に抵抗を覚えて、飲みたくないと思うことがありますよね。子どもにとっても、病気をしたからといって、いきなり「薬を飲みなさい」と言われても飲みたがらないのは無理はありません。
子どもに薬を飲ませるときは、病気を治すために必要だからと伝えることが大切です。
薬を飲んだら、元気になってお友達と遊べることや、薬を飲んだあとは、「元気が出てきたね」や「悪い菌が減ってきたよ」など、薬が病気をやっつけているイメージを具体的に言葉にしてみましょう。
0~1歳の赤ちゃんが、薬の意味を理解することは難しいかもしれません。しかし2歳程度になると、なぜ薬を飲むのかを毎回、ママやパパが丁寧に説明すると理解できるようになる子もいます。服薬が苦手な子どもでも薬を飲む意味を具体的に説明すると、スムーズに服用ができるでしょう。
年齢や薬の形状を考えて、子どもに合った飲ませ方が大事
薬を飲ませるときに、子どもが服薬を嫌がって手こずったことのあるママやパパは多いのではないでしょうか。
子どもの年齢によって飲みやすい飲み方が変わってきます。薬の形状と年齢別の飲み方を知って、子どもが薬を飲めるように工夫することが大切です。小児科で処方があった場合には飲み合わせなどについて、かかりつけの小児科医や薬剤師に相談しましょう。
また子どもが薬を飲んでくれないと服薬させようと必死になることもあるかもしれません。まず病気を治すために薬が必要だということを、ママやパパといっしょに、子ども自身が認識することが大事です。「薬を飲みなさい」とだけ言うのではなく、薬の役割を具体的に伝えてあげることで子どもが納得して薬を飲めるようになるかもしれません。
スムーズな服薬で早めに病気をやっつけられるとよいですね。
監修:千葉智子(上高田ちば整形外科・小児科)
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千葉智子
上高田ちば整形外科・小児科 副院長。小児科専門医として、その時代に合った子どもの医療の実践を心掛けている。3児の母として子育てをしながら、現役で活躍中。外来では、ホームケアの方法を分かりやすく説明し、自宅に帰ってから自信をもって看護できるように、保護者への説明を丁寧にするように心がけている。子育てに関する疑問、不安、工夫など、何でも相談しやすいクリニックを作り、「子どもの笑顔を作る」ために活動。