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【小児科医監修】子どもが胃腸炎になったら保育園はいつから行ける?症状や潜伏期間
胃腸炎は何日で治る?登園の判断基準について
Profile
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
クローバーこどもクリニック院長/日本小児科学会専門医/日本アレルギー学会専門医
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。
子どもが胃腸炎になったとき保育園にいつから行けるのか疑問に思うママもいるのではないでしょうか。胃腸炎になったときに嘔吐や下痢、熱はどれくらい続くのか、何日間休ませた方がよいのか悩むかもしれません。登園の判断基準や出席停止期間、胃腸炎を長引かせないための対処法などをご紹介します。
長引くお腹の痛みは胃腸炎かも
子どもによくみられる腹痛は、数日で完治するものから、重い病気につながりやすいものまでさまざまです。お腹の痛みが長引く場合は、胃腸炎になっているかもしれません。
胃腸炎とは、胃や腸に炎症が生じ、腹痛や嘔吐、下痢などの症状が引き起こされる病気です。
子どもは免疫力が弱く、器官がまだ十分に発達していないため、胃腸炎にかかりやすく、症状が長引くことがあります。
胃腸炎の種類
胃腸炎は、感染した病原体によってウイルス性胃腸炎と細菌性胃腸炎の2種類に分別されます。ウイルス性胃腸炎と細菌性胃腸炎を総称し感染性胃腸炎と呼びます。
ウイルス性胃腸炎
ロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルスなどのウイルスに感染して起こる胃腸炎です。秋から冬にかけて流行することも多く、感染力が強いことから、保育園など集団生活を送る施設で集団感染が起きやすいのが特徴です。
原因となるウイルスによって異なりますが、潜伏期間は、1~3日程度の場合がほとんどです。
腹痛や嘔吐、水のような下痢、38℃以上の発熱を伴うことも珍しくなく、1日1~2回程度の嘔吐が3日くらい続いたり、下痢の症状が3日~1週間程度と続くこともあります。特に免疫力が弱い赤ちゃんは、高熱や下痢が長引くなど、症状が重症化しやすいことも多いです。
細菌性胃腸炎
細菌性胃腸炎は、カンピロバクター菌や黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌など肉や魚介類、卵、生野菜などの食べ物に付着している細菌によって起こる胃腸炎です。細菌が繁殖しやすい夏に起こることが多く「食中毒」とも呼びます。
原因になる食べ物を食べたあと5~72時間の潜伏期間を経て発症します。食事をしたあとに腹痛や嘔吐、下痢、血便などの症状が出たときは細菌性胃腸炎の可能性があります。
子どもが胃腸炎になったら保育園は何日休む?
子どもが胃腸炎になったら保育園は何日間休むべきでしょうか。
保育所における感染症ガイドラインによると登園の目安は「嘔吐、下痢などの症状が治まり、普段の食事がとれること」と記載されています。
子どもの胃腸炎は、保育園を何日間休むという出席停止期間が決められている病気ではありませんが、保育園によっては、24時間以内に嘔吐や下痢の症状がなく、食事が通常通りにとれるようになるまで登園禁止と決められているところや登園許可書を持ってくるように言われる場合もあるようです。
子どもが胃腸炎になったときは、症状が治まったあとに病院を受診し医師に登園許可書を書いてもらうと安心でしょう。
胃腸炎の対処法
胃腸炎を長引かせない対処法はあるのでしょうか。子どもが胃腸炎になったときのホームケアについてご紹介します。
胃を休める
嘔吐の症状がある場合、子どもが水分を欲しがってもすぐには与えず、できれば上体を起こしたまま吐き気が治まるまで様子を見るようにし、1~2時間程度は絶食しましょう。上体を起こした体勢がつらそうなときは、寝かせてもよいです。
こまめな水分補給
胃腸炎で下痢が続いたり長引くときは、脱水症の危険性があるので、こまめな水分補給が大切です。嘔吐後は2時間の絶飲食後に少量ずつ水分から始めていきましょう。
しかし冷えすぎた飲み物は、お腹を刺激し下痢の症状を悪化させることもあります。常温のスポーツドリンク、経口補水液など塩分と糖分が入っているものを少しずつ与えてください。乳児の場合はミルクや母乳でも大丈夫です。
牛乳は控える
牛乳に含まれている乳糖や脂肪分が腸内を刺激し下痢を悪化させることもあります。胃腸炎のときは、牛乳やヨーグルト、バターなどの乳製品は控えましょう。
消化のよい食事
食欲があるようならば、消化のよい食べ物を少しずつ与えましょう。お肉や揚げ物など脂肪分が多いもの、みかんやグレープフルーツなどの柑橘類、繊維質が多い野菜やドライフルーツは避ける方がよいでしょう。
おかゆやうどん、野菜スープ、豆腐、すりおろしりんごなど消化のよい食事を心掛けてくださいね。
胃腸炎の治療は、原因となるウイルスや細菌により異なりますが、特効薬がなく自然治癒を促すことが一般的です。何日間で治るか、症状が落ち着くのかには個人差があります。お腹の痛みや下痢の期間を長引かせないために自宅で適切な対処を行いましょう。
胃腸炎で休む期間は受診が大切
子どもが胃腸炎にかかると、腹痛や下痢、嘔吐などの症状が続き心配になるママもいるかもしれません。
胃腸炎は、特別な治療をしなくても完治する病気ですが、脱水症状など症状が重症化する場合もあるので、なるべく胃に負担をかけないように冷たい飲み物を避けたり、消化の良い食事を心掛けましょう。
ウイルスや細菌の種類、月齢などにより症状が続く期間に個人差があり、何日で治るかは一概には言えません。保育園を何日間休むのか、いつから行けるのかはきちんと受診をして医師の判断が必要です。
監修:眞々田 容子(クローバーこどもクリニック)
Profile
眞々田容子
台東区蔵前の小児科クローバーこどもクリニック院長。信州大学医学部卒業。日本小児科学会専門医、日本アレルギー学会専門医。ホリスティック医学協会会員。症状だけを診ていくのではなく、患者さんの心身全体の状態をみていく”心と身体をつなげる”医療をしています。お母さんの子育ての不安が少なくなるよう、診療内でお話しをしっかり聴いていきます。