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【基本は2つだけ】皮膚科医にきく幼児の肌ケア「子どもにリンス・保湿は必要?」
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神奈川県立こども医療センター皮膚科医
神奈川県立こども医療センター皮膚科医
滋賀医科大学医学部卒業 。横浜市立大学皮膚科講師を経て、1994年より神奈川県立こども医療センター皮膚科医長、2002年より現職。 横浜市立大学皮膚科臨床教授を兼任。日本皮膚科学会、日本小児皮膚科学会 、日本臨床皮膚科学会会員。NHK「すくすく子育て」などにも出演。3人の子どもを育てた先輩ママでもある。
「子どもの肌はみずみずしい」、そう思っているママやパパも多いと思います。でも本当に大人よりもみずみずしくうるおっているのでしょうか。そこで今回は皮膚科専門医の馬場直子先生に幼児の肌の特徴と、正しい毎日のケア方法を教えてもらいました。
中学生までは乾燥しがちでデリケート
角質層が薄く刺激に弱い
子どもの肌は、大人の肌に比べて薄いのが特徴です。肌の一番外側にあり、バリア機能を担う角質層という部分が大人よりも薄いのです。そのため外からの刺激にも弱いといえます。
皮脂腺が未熟で不安定
さらに、馬場先生によると「幼児期は、皮膚を乾燥や刺激から守る働きを持つ皮脂を分泌する皮脂腺が未熟です。だからちょっとした刺激でもすぐにトラブルにつながってしまう可能性があるんです」。
脂腺が成熟する中学生ぐらいまでは、乾燥しやすいと考えてください。
肌ケアの基本はたった2ステップ
「子どもにスキンケアは必要?」と思っているママやパパも多いでしょう。でも、先に解説した通り、バリア機能が弱くトラブルつながりやすいので毎日のケアが必要になります。
馬場先生に、正しいスキンケアの方法を教えてもらいました。
ステップ1:「肌を清潔にすること」
まずは肌を清潔にすることがとても大切です。
肌を清潔に保つということは、具体的にどのくらいきれいにするのがいいのでしょうか。正しい方法をご紹介します。
低刺激のソープを選ぼう
入浴時は石けんで体をきちんと洗いましょう。特に肌トラブルなどで軟膏を塗っている場合は、1日1回は石けんで体を清潔にするのがポイントです。
子どもの肌がデリケートなことを考え、香料が少ないなどできるだけ肌への負担が少ないものを選びましょう。
しっかり泡立てて
ボディソープや固形石鹸は必ず泡立ててから洗いましょう。泡立てずに直接塗ると、せっけんのつけすぎになり、肌を刺激することにつながります。
押すと泡状で出てくるボディソープを使うのもいいですし、やわらかいタオルを使って泡立てるのもいいでしょう。
こすらず「なでて洗う」
泡立てた石けんを体につけたら、なでるように手で洗いましょう。汚れをきちんと落としたいからと、スポンジなどでゴシゴシとこするのは、肌にダメージを与えるのでNGです。
子どもと一緒により入浴タイムを楽しみたいなら、やわらかい綿タオルで作ったミトンを用意。子どもの手と自分の手にはめて、お互いに「洗いっこ」するのもいいでしょう。
おまた、足のつけね、ひざの裏、首、わきの下は念入りに
おまた、足のつけねなど、肌が重なり合っている部分は洗い忘れが多い部位なので、必ず確認を。
また、ひざ裏やわきの下、あごの下の首部分は、くびれているため、汚れがたまりがちに。ていねいにこすらず洗ってください。
頭はシャンプーだけで十分
体の部位の中でも頭皮は、汗をかきやすく、皮脂が溜まりやすい場所。指の腹でしっかり頭皮と髪の毛を洗うようにしましょう。頭皮も体の洗い方と同じで、シャンプーはきちんと泡立てて使うことがポイントです。
また幼児はシャンプーだけで充分。リンスは中学生くらいになってからでいいでしょう。
特に忘れがちなのが耳の裏と後ろの首のつけね。汚れが残っていないか、シャンプーの流し残しがないかを確認してください。
湯船は38~40度が目安。長風呂に注意
熱いお風呂に入ると、肌の保湿成分が流出しやすくなります。また、お湯自体が肌にとって刺激になってしまうので、ダメージを与えることに…。
できるだけ湯温は38~40度を心がけて。また、「湯冷めさせたくないから…」と長時間お湯につかると、より肌が乾燥しやすくなるので、要注意です。
ステップ2:「保湿をきちんと」
洗った後はきちんと保湿をすることが大切です。子どもの肌の保湿方法をご紹介します。
入浴後5分以内に保湿を
入浴後の肌は時間が経つにつれてどんどん乾燥していきます。パジャマを着せたりする時間がありますが、できるだけ5分以内に保湿をしましょう。
保湿剤は低刺激で肌にあったものを
できるだけ低刺激や「子ども用」に作られている保湿剤を選ぶようにしましょう。
肌に合うかわからない場合は、サンプルなどを入手し、目立ちにくい腕の内側などに塗ってみるのもいいでしょう。
保湿剤の形状は好みや肌質に応じて選ぼう
ひと口に「保湿剤」といっても、ローションやクリームなどのさまざまな形状があります。
【保湿剤の形状と性質】
※水分が多め※
ローション
↓
乳液
↓
クリーム
↓
軟膏
※脂が多め※
一般的に水分が多いのがローション。下にいくにしたがって油分が多くなります。
乾燥しやすい時期や乾燥しやすい部位は、ローション+クリームなど、重ね塗りして肌をバリアする方法もあります。
体幹→顔の順の保湿が〇
全身、保湿するのが基本です。まずはおなかやおしりなど体幹部分を保湿しましょう。その後下着を着せて、手足を保湿します。上着を着たら、最後に顔を。
この順で保湿すると、湯冷めの心配が少なくてすみます。
嫌がるときはおもちゃやテレビを活用
幼児期は動き回ってしまい、保湿させてくれない時もあるでしょう。その場合は、お気に入りのおもちゃやテレビで気をそらしてみて。その間に手早くをすませましょう。
全身の保湿するのが難しい場合は、顔や腕など露出部を優先的に。
ご飯の後も口もとを拭いたらこまめに保湿を
食事の後、口もとのたべこぼしなどを拭いたりする時も、こすらずになでるよう拭きましょう。
また、拭いた後はこまめな保湿を忘れずに。
大人よりもデリケートだからスキンケアは必須!
子どもの肌は、外からの刺激に弱くデリケートです。そのため、毎日のスキンケアが必要だということがわかりました。
基本のスキンケア法は「清潔」と「保湿」と簡単2ステップ
なので、忙しいママでも毎日続けることができそうです。きちんとお手入れして、いつまでも健やかな肌を保ってあげてくださいね。
次回は子どものUV対策について解説します。
監修:馬場直子(神奈川県立こども医療センター皮膚科医)
滋賀医科大学医学部卒業 。横浜市立大学皮膚科講師を経て、1994年より神奈川県立こども医療センター皮膚科医長、2002年より現職。 横浜市立大学皮膚科臨床教授を兼任。日本皮膚科学会、日本小児皮膚科学会 、日本臨床皮膚科学会会員。NHK「すくすく子育て」などにも出演。3人の子どもを育てた先輩ママでもある。