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キンコン西野さんにきく!100万部突破をめざす「えんとつ町のプペル」の次回作は?
なにかと話題のお笑い芸人キングコングの西野さん。今年は絵本作家として出版した「えんとつ町のプペル」が大きな話題になっています。そんな超多忙な西野さんにKIDSNA編集部が突撃インタビューしました!絵本のこと、子ども時代のこと、子育てする大人にいいたいこと……2話にわたってお送りします。【特別インタビュー第1回】
ルミネtheよしもとの楽屋におじゃましました
最新作えんとつ町のプぺルが21万部を超える大ヒットをして、個展も開催中(12月末まで名古屋)で、絵が1,000万円で売れて……大忙しの西野さんの取材を行ったのは、ルミネtheよしもと。取材5分前まで、ホールの扉からは西野さんと相方の梶原さんの声やお客さんの笑い声がきこえてました。
いいなあ、楽しそう、と思っていたら、さっきまでステージの上にいた西野さんが颯爽(さっそう)と楽屋に登場。次の出番も迫っている中、たくさんのことを語ってくれたのでした。
世界中がビックリする絵本を本気で作りたい
「子どもってこんなん好きやろ」に違和感
――今日はお忙しいところありがとうございます!「お笑い芸人の西野さん」と「絵本作家のにしのあきひろ」、ほかにもいろんな顔をもつ西野さんですが、今日は絵本や子どもについてお話をうかがいたいと思います。さっそくですが、絵本をつくろうと思ったきっかけはなんだったのですか?
キングコング 西野さん(以下、西野):幼稚園のとき、僕はプラモデルの箱とかに描かれている精密な絵が大好きやったんですよ。でも大人が僕に与えるのは、「子どもってこんなん好きやろ」みたいな、丸っこくて、カラフルな絵柄のもので。
もちろんそれが悪いっていう意味じゃなくて、趣味の問題なんです。僕みたいな子どももいるんですよ。そう思って「えんとつ町のプぺル」を作りました。
子どもはちゃんとわかってる
―― たしかに絵も緻密でストーリーもすばらしくて、大人も感動しました。
西野:昔、タモリさんと飲んだときにも話したのですが、ほとんどの大人は子どものことナメてるよねって。子どもって大人が思ってる以上に理解できるし、考えてる。
大人になって姿かたちは変わっても中身はなにも変わらないのに、大人になった瞬間に「子どもは……」とか「子ども向け」とか言い出すのは、なんだかちがうなって思ってます。
自分より上の人の言動ってもういろいろ学んでだいたいわかってる。でも若い人たちって、僕たちよりいろんなことが進化していておもしろい。子どもを含めたそんな次の世代を、大人が支配するなんて馬鹿げてるって思います。
西野さんが好きだった絵本
――西野さんが子どもの時に好きだった絵本ってありますか?
西野:うーん、そうだなあ……。あ、「チャイクロ」ってわりと好きでした。いろんなシリーズがあったと思いますが、僕は好きだったのは、チューブみたいなんの中に車が走ってる未来都市のやつ。それに胸躍らせてましたね。
幼稚園の読み聞かせの絵本はいつもあんまり好きになれなくて、「まいったなーこんなん好きちゃうけどな」ってちょっと居心地悪かった記憶があります。
プぺルの続編と、気になる次回作は?
動く個展、歩く個展!
――「えんとつ町のプぺル」の続編はありますか?
西野:次回作……その前に、えんとつ町のプぺルを中心においたイベントをしたいですね。
表参道でやったギャラリーでの展示は、絵に光を当てるんじゃなくて、絵自体が光っているんです。ということは、絵に照明を当てる必要がないんです。だから、夜の鳥取砂丘とか、どっかの鍾乳洞とか、シャッター街の商店街とかに展示できるんですよ。
個展が外に飛び出して、歩ける個展っておもしろいなって思ってて。比喩とかではなくて、実際に個展を歩かせちゃうんです。絵が40枚あるから、40人が絵を背負って歩くんです。夜の町を、個展が行列つくって歩くイベント。
個展ってこれまで「見に行くもの」だったけど、個展から「来てくれる」っていうイメージです。たとえば、行列ができるラーメンやとかひまじゃないですか、待ってるの。そういうところに個展が来てくれたら楽しいでしょ。
この企画のいいところは、まず集客のこと考えなくていいってこと。人が多いところに、こっちから行ったらいいだけだから。たとえば、12月31日の明治神宮とかに行けばいいんです。そうしたら一気に何万人の人が見るし、それを見たら、今は写真の文化だから、みんなインスタとかにアップしますよね。
そういう感じで、えんとつ町のプぺルを中心にして、日本中をひっかきまわすようなイベントをしたいなって考えてます。
第2次世界大戦、そして、震災、津波……
――「動く個展」考えるだけでわくわくしますね。では次回作の予定はありますか?
次回作、もうストーリーはできました。ちょうど今日から制作に入ります。次回作はプぺルとは離れた、まったくちがう話です。
第2次世界大戦のこと、かつて空襲があったこと、そういうことをちゃんと描きたいっていう思いがあって。あとは震災とか津波とか、やっぱりずっと頭にあります。ひとりの日本人としてね。
再来年の終戦記念日に出版したいって思ってるけど、2年もないのでまにあうかなあ。でもまにあわせたいと思ってます。敷居を低くして、子どもに「戦争」を伝えたいんです。
名古屋でのイベント
にしのあきひろ「えんとつ町のプぺル」展
開催期間:12/3(土)〜12/27(火)
平日12時〜20時
土日祝11時〜19時
※水曜日は定休日です。
会場:名古屋市中区大須4-11-5
観音ビル(ダイコクドラッグの入っているビル)
「空気なんか読まなくていい」?!
次の記事では、西野さんのたくましさの秘密や、子育てをしている大人へのメッセージなど、新しい価値観のヒントに満ちたお話をたっぷりお伝えします。
文: KIDSNA編集部
写真: 向山裕太(SHUTTER)