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キンコン西野さんにきく!お金のこと、嫌われること、空気をよまないこと
前回の記事では話題の絵本「えんとつ町のプぺル」について話をうかがいました。今回は、子育てをしている大人へのメッセージや、西野さんのたくましさの秘密に迫ります。
大人が、がんばるべきです
お金のこと、子どもにちゃんと教えてますか?
――西野さんは、絵本を通じて実際にたくさんの子どもとふれあっていると思います。最近の子どもをみていて「これが足りないな」と感じることはありますか?
キングコング 西野さん(以下、西野):子どもに足りないことなんてないです。むしろ、大人に足りないことのほうが多いと思う。たとえば、子どもにちゃんとお金のこと、伝えてますか?
お金儲けに対して汚いイメージとかありますが、そんなこと言ってる場合じゃないですよ。夢を叶えるためにはお金が必要です。そのことをちゃんと家や学校で子どもに教えるべきだと思ってます。
じゃないと、子どもたちが苦しむことになる。夢だけ見せて、それを実現させるためのお金のことを教えないなんて、大人の罪ですよ。
いちばん楽しい瞬間を大人が奪ったらダメ
――たしかにとても大切なことですよね。大人が気をつけるべきこと、他にもありますか?
西野:そうそう、絵本のことでよく「これって子ども向けですか」ってよくきかれるんですが……。そういうふるいのかけ方って、すごくもったいないですよ。
だって「知らなかったことを知る瞬間」って最高に楽しい瞬間なのに、それを大人が奪うなんて、すげーことするなあって思います。
僕が子どものとき、うちの父親が「三国志」を読んでて、その背中があんまり楽しそうだから僕も読んでみたんです。そしたら、漢字ばっかりで最初はさっぱりわかりませんでした。でもそれがどんどん読めるようになってきたときって、むちゃむちゃ楽しくて。
これを「三国志は子どもにわかるわけない」って最初から取り上げるのは、成長も止めちゃうし、あまりにも子どもがかわいそう。そういう意味で、大人が子どもを支配しちゃいけないって思います。
嫌われ者、炎上……。西野さんのたくましさ
「自分のことを嫌いな人」を数えない
――西野さんは積極的にSNSなどでも発言していて、たまに炎上しているのをお見かけするのですが、それでもめげないたくましさを感じます。そのたくましさはどこからくるんですか?
西野:僕、たくましいですか?(笑)とにかく子どものころから友達が好きで。5,6人の友達グループで遊んでたんですけど、その連中が笑ってたらいい、っていう発想が今も続いてる感じです。
たとえば校長先生に怒られても、その連中が笑ってくれたらそれでいい。奴らは、僕が怒られば怒られるほど笑うんですよ(笑)
今、僕にとってその「友達」みたいな存在は、今日ライブに足を運んでくれたお客さんや、絵本を買ってくれた人たち、スタッフです。外野はどうだってよくて、この人たちがいればそれでいい。自分のこと嫌いな人の数を数えても、仕方ないですしね。
声のボリュームを下げるのは危険です
――なるほど。気にしないってことでしょうか?
西野:気にしないっていうか、大事なのは「比率」です。たとえば、10人いてそのうち9人に嫌われても1人好きになってくれる人がいる。この比率のまま考えてみたら、もし1千万人の分母がいて900万人に嫌われても、100万人も自分のこと好きな人がいるんですよ。
1対9の比率で嫌われたら、声のボリュームを下げる人も多いですけど、そうしたら分母となる数も減って、自分のことを好きな人も減ってしまいます。それはすごくもったいないこと。
目を向けるべきは「比率と分母」です。自分の事を嫌う人の声はどうだっていいんです。100人いようが10億人いようがゼロ、つまり、お店でいうところの売り上げに計上されないから。計上されるのは自分の事を応援してくれる人の数だけです。数えるならそっちを数えた方がいい。
この考え方においては、僕は子どものころから変わってないんです。空気なんかよまないです。
空気なんてよまない。時代をよむ
――それが、ふつうの人にとっては勇気のいることだったりします。西野さんはこわくないんですか?
西野:本来「空気よむ」って、もうちょっと俯瞰でものを見るっていう意味だったと思うんです。今の「空気よむ」って多数派になるっていうことじゃないですか。
たとえば、でっかい船とちっちゃい船があったとします。本当に大事なのはこの船の大きさじゃなくて、船が無事目的地にたどり着くかどうか。積み荷が正しく積まれてるか、船底に穴はあいてないか、とかそっちを気にするべき。でも今は、でっかい船に乗ることが空気よむことだと捉えられているような気がします。
だから空気よめてるよめてないっていう議論にはまるで価値がない。そんなことより時代をよむべきです。船のでかさとか無視。大事なのはその船が目的地に行くかってことですよ。
西野さんにとってのKIDSNA(キズナ)とは
――最後に、西野さんにとってのKIDSNA(キズナ)って何ですか?
西野:キズナですか……。むずいなあ……。うーん。あ、この前のアメトークでむっちゃいじられたんですよ、これ。
――西野さんの名言のひとつ、「ドキドキしてる?」をいただきました!たしかに、大人になったらドキドキすることは少ないのかもしれません。
西野:これね、つい口から出ちゃうんですよ。「この仕事でほんとにドキドキしてんのか?」って後輩にいったり。別に狙ってないんですけどね。
インタビューを終えて
お金のことや「空気をよまない」ことなど、これからの時代を生きていく上で大切なことを、子どもたちにもちゃんと伝えたいと思いました。
西野さん、お忙しい中本当にありがとうございました。いろんなことを考えるきっかけになる、ドキドキしっぱなしのインタビューでした!
文: KIDSNA編集部
写真: 向山裕太(SHUTTER)