こちらの記事も読まれています
はんにゃ川島さんインタビュー【第2回】今、いちばん奥さんに伝えたいこと
前回の記事では、腎臓ガンを公表して、病気とどう向き合ったのかを語っていただきました。今回の記事では、夫婦関係や壮絶な立ち合い出産などについてお話をうかがいます。まずは、奥さんを少しでも楽にしてあげたい、と取得した子育てに関する資格についてきいてみました。
いろいろ迷惑かけたから…
資格を取ったのは、奥さんのため
――ベビーサインだけではなく、他にもいろんな資格を取得されていますよね。 「離乳食インストラクター1級」「幼児食インストラクター」「だしソムリエ1級」など。
はんにゃ川島さん(以下川島):そうですね。ベビーサインは講師としての資格ですが、家でも実践してます。娘とのコミュニケーションが楽しくなりました!
――やっぱり娘さんのために取得されたんですか?
川島:いちばんは、奥さんのためです。ちょっとでも楽してもらえたらいいなって。もちろん娘にできるだけのことをしてやりたいっていう気持ちもありますけど。奥さんにはいろいろ迷惑かけたんで、少しでも楽してほしくて。
――その気持ち、奥さまとしてはとてもうれしいでしょうね。なんだかじーんとします。
川島:そうですかね。でも、いろいろありますよ。資格持ってるからって口出しすしすぎるのも、なんだかね。役割分担というか、俺は外に出て仕事してるから、子育ての現場はやっぱり奥さん。だから、知識があって、相談されたときに答えられるっていうのがちょうどいいのかもしれませんね。たとえばこの前も、離乳食のイスのこととか…
――イスですか?
川島:離乳食初期はいいんですけど、たとえば中期や後期は足がちゃんとつくイスがいいっていわれてます。地面に足がついてないと、子どもの咀嚼(そしゃく)力が弱くなる。とか、ちょこちょこ口出ししちゃうんですよ。
――なるほど。知識があるのはとても心強いですけど、もしかしたら奥さんに伝えるタイミングは大事かもしれませんね。
川島:はい。タイミングとシチュエーションが大事だということを学んでますね~。でも、奥さんにちょっとでも楽してもらいたいっていう気持ちからなんですけどね。
自宅で出産に立ち会う
振り向いたら、赤ちゃんの頭が見えていた…!
――ところで、自宅での出産がとても大変だったとききました。
川島:もうね、正直「終わった…」と思いました。奥さんはここで産むって覚悟決めたみたいですけど、僕は覚悟できてなかったんで。ほんと、振り向いたら赤ちゃんの頭が出てたんですよ。俺は両耳に電話2台で、病院と救急隊に「もう頭出てます!」って伝えて。そしたら、その場合はもう1台救急車が必要ですっていわれました。
――もう1台ですか?
川島:亡くなった場合の検証用だそうです。自宅で自分たちだけで出産って、やっぱりリスク高いみたいです。逆子だったり、へその緒が首に絡まってたら危険だし、大量出血とかも。ぜんぶあとから知ったんですけどね。でもその時は、もう赤ちゃんの頭出てるし、奥さんも「もう無理」ってなってて、それどころじゃなかったです。
破水から、あっというまの出産
――きけばきくほど、大変な出産でしたね…
川島:実は前日に病院に行ってるんですよ。そしたら「2週間後ぐらいですね」っていわれたから、まだ先だねって思ってました。夜になって、ふたりでお腹痛くなって「早くトイレかわって」とかいってたんですけど(笑)今思えば、奥さんは前駆陣痛がきてたんでしょうね。
翌朝、「破水してる」って起こされて。えーって感じでした。陣痛は確かにあったみたいで、スマホで時間の間隔も計ってたみたいですけど、病院に「まだ早い」っていわれて、行くタイミングを失っちゃったみたいです。破水して頭見えたらあっというまにすぽって産まれて。赤ちゃん受け止めてふたりで「ナイスキャッチ」っていいましたね。
産声をきいた瞬間は?
――結果的に立ち合い出産になりましたが、どうでしたか?
川島:なんだろうなあ…あのつらさ…。それどころじゃなかったですね。ほんとに最初に「おぎゃー」っていう声をきいたとき「よかった、生きてる」って安心したんですけど、次の瞬間にはおとなしくなって体も冷えてきて。救急隊員に「冷たくなってます」って伝えたら「タオルでくるんでください」っていわれて、慌てていつも使ってるタオル持ってきたら、「それじゃない」っていわれて(笑)
――パニック、ですよね。
川島:ほんと、そうですよ。で、救急隊員がへその緒切ってくれて「もう大丈夫でしょう。お父さん、最初に抱いてください」って渡してくれたけど、その人すでに抱いてるし(笑)まあいいやって抱きましたけどね(笑)
――もし次があるとしたら、また出産に立ち会いたいですか?
川島:立ち合いたいですけど、次は病院での出産がいいです。無痛分娩とかだと病院にいられるから、それでもいいかな、と思ってます。自宅から病院ってどうしても距離があるから。安全な場所がいいです!
川島さんちの夫婦関係は?
ふたりでいたら楽しい
――壮絶な出産をおふたりで乗り越えたこともあるのか、奥さまのことをすごく気づかっていて仲が良さそうなイメージがありますが、やっぱり仲良しなんでですか?
川島:そうですね。仲良しですね。
――奥さまの妊娠中におふたりで写真撮ってましたよね。
川島:あー、撮りましたね!(と川島さん、スマホで探す)。「あったあった、これですね」(と、スマホの写真を見せてくれる。ふたりで同じ服を着て、同じポーズで同じぐらい大きなお腹を出している写真。一同爆笑)
俺が撮りたいっていったら、奥さんが衣装買ってきてくれたんですよ、同じ色のやつ。俺のは、なかなかサイズがなかったらしいですけど…(笑)
――川島さんご夫婦らしい、楽しい写真ですね!今でもふたりきりの時間はありますか?
川島:なかなか作れないんですけどね。でも幸いなことに、近くに僕の姉がいるので、3時間ぐらい娘を預かってもらって、食事とか映画とか行ったりしています。やっぱり、一緒にいて楽しいですね。
――奥さまのどんなところが好きですか?
川島:おもしろいとこです。俺よりおもしろい(笑)。いろいろいたずらをしかけてくれるんですよ。元々そういうところがあったから「一緒にいて楽しい夫婦になりそうだな」って思って結婚しました。サプライズというかね、この前も、朝ふつうにトイレに行ってトイレットペーパー使ったら奥さんが「あれ!?」っていうんですよ。なんか、トイレットペーパーに長文を書いたみたいで(笑)前夜に僕が寝てからこっそり書いたみたいで、それもけっこう大変だったみたいですけど。
――川島さん、気づかず使っちゃったんですね(笑)
今、いちばん伝えたいことは
――そんな奥さまに、いちばん伝えたいことは何ですか?
川島:そうですねえ。「リフレッシュしてください」っていうことかな。やっぱり娘とふたりの時間が多いだろうから。今までは週末は出かけることが多かったけど、今後は、俺が娘とすごして奥さんには自分の時間を持ってもらうとか考えてます。できたら、1泊でもいいから旅行に行ってもらってもいいですね。
――なんか…川島さん、やさしいですね。
川島:いやいや。できるだけ、いい関係の夫婦でいたいなって思って、いろんな人に意見きいてるんですよ。夫婦関係のこと。
――どんな意見がありましたか?
川島:たとえばね、土日は家族みんなですごすことを第一にしている人もいるし、パパが子どもみて奥さん優先で考える人もいるし、金曜日は夫婦ふたりで会うようにしているとか、いろんな形があるみたいです。いろんな夫婦を知って、いいなって思う関係を目標にしたいですね。
――いろんな意見を知ること、いいですね。それ、私たちも参考にできそうです。
川島さんのKIDSNA(キズナ)は?
――それでは最後に、川島さんにとって家族をつなげるKIDSNA(キズナ)ってなんですか?
川島:それ、インタビュー中ずっと考えてました。こんな感じでどうでしょうか…?
――その言葉、取材中にメモしてましたよね。
川島:はい。病気の俺を支えてくれた奥さんのことを話してたら、なんとなくこの言葉が頭に浮かびました。
取材を終えて
「思いやり」という言葉、川島さんにぴったりだと思いました。
取材とはいえ病気のことをうかがうのは、正直どうなのかな…など、いろいろ考えましたが、川島さんの素直なスタンスにこちらのほうがたくさん学ばせていただきました。大変なことも、とりあえずいったん受け入れる。知らないことは学ぶ。大切な人に支えられ、大切な人を支える。シンプルだけど忙しい日々で忘れがちなことを、改めて思い出させてくれた取材になりました。
たくさんの人の思いやりに支えられて、つらい経験を乗り越えたからこそ、川島さんはまわりの人をあたたかい気持ちにできるのかもしれません。
お忙しい中、本当にありがとうございました。たくさん笑った楽しい取材でした。次はぜひ、はんにゃのコントを見たいです!
文: KIDSNA編集部
写真: 向山裕太(SHUTTER)
はんにゃ単独ライブ「てんや はんにゃ わんや」
日時:2017年3月26日(日)
19:00開場/19:30開演
前売3,500円/当日4,000円
会場:ルミネtheよしもと
チケットよしもと予約・問合せ
tel:0570-550-100
[Yコード:999050]