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【小児科医監修】離乳食の卵はいつから?進め方や卵アレルギーの注意点
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医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック
医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック
日本小児科学会専門医・指導医。麻酔科 標榜医。久留米大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、国立成育医療研究センター、東京女子医科大学八千代医療センター、国立感染症研究所勤務を経て、医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック院長に就任。専門は小児感染症、小児救急、アレルギー。
離乳食の卵はいつから、どのように取り入れたらいいのでしょうか。気になる方も多い赤ちゃんの卵問題、離乳食に取り入れる時期やアイディアレシピをまとめました。また、卵はアレルギーが起きやすい食材のため、気を付けた方がよいポイントや先輩ママの体験談もあわせて紹介します。
離乳食で卵を食べさせ始める時期
離乳食の開始は、首の座りがしっかりして寝返りができ、5秒以上座れる、スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる、よだれが増えて食べ物に興味を示すなどの行動が目安であり、大体生後5カ月~6カ月が妥当と言われています。早めに小さく生まれたお子様は5カ月以上、7kg以上を目安にしてください。
米、野菜、豆腐などの食材から少しずつ慣らしていき、6カ月くらいから卵を与え始めることが多いです。離乳食は焦らずに子どものペースで進めていけば問題ありませんが、目安として卵の開始は6カ月頃と捉えておくとよいでしょう。
卵アレルギーについては後の項目で詳しく説明しますが、食べ始める時期がアレルギーの発症に影響することはありません。子どもの様子を見ながら少しずつ食べ進めていきましょう。
卵に含まれる栄養素
卵の構成成分を見ると、筋肉や血液、骨、皮膚、髪など、体をつくるために欠かせないたんぱく質や、カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウムなど体内の代謝や生理機能をコントロールする役割のあるミネラルを豊富に含んでいます。
また、脂質やタンパク質の代謝を支えるビタミンB2やB12、骨や歯を丈夫にするビタミンD、抗酸化作用で免疫力を高めるビタミンAやビタミンEなどもバランスよく含み、卵は人間に必要な栄養素が満遍なく摂取できる食材だといえます。
卵アレルギー
厚生労働省の「離乳・授乳の支援ガイド」では、乳児から幼児早期の主要なアレルギー原因食物は「鶏卵」「牛乳」「小麦」の割合が高く、特に「鶏卵」は食物アレルギーの0歳の約60%、1歳の40%を占めます。その多くは小学校入学前には治ることが記されています。
卵アレルギーの症状には特徴があり、皮膚症状及び消化器症状が高頻度で認められています。食物アレルギーの特殊型として知られている食物依存性運動誘発アナフィラキシーについては、鶏卵では起こりにくいようです。
またアレルギーの発症を心配して卵の摂取を遅らせる保護者が以前は多かったようですが、特定の食物の摂取開始を遅らせても、食物アレルギーの予防効果があるという科学的根拠はありません。
アトピー性皮膚炎がある赤ちゃんを対象に生後6ヶ月から「微量の鶏卵を食べる群」と「除去する群」に分けて1歳時点のアレルギー反応を調べた研究では、「鶏卵を食べた群」の方がアレルギーの発症を予防できました。
そのことから日本小児アレルギー学会からは、「アトピー性皮膚炎の乳児では、鶏卵の摂取が遅いほど鶏卵アレルギーを発症するリスクが高まることから、鶏卵アレルギー発症予防を目的として、医師の管理のもと、生後6ヶ月から鶏卵の微量摂取を開始することを推奨する」(鶏卵以外は推奨しない)とあります。
卵を食べ進めるステップ
離乳食初期(生後5~6カ月頃)
卵アレルギーを引き起こす成分の多くは卵白に含まれているため、最初は卵黄のみを少量(耳かきひと匙)から始めます。与える量は少しずつ増やしていきますが、離乳食初期では卵黄だけにとどめておくとよいでしょう。
また、卵のアレルゲン性は加熱によって低下するため、熱湯から20分ほど茹でてあげましょう。卵白に含まれるアレルギー物質は時間経過とともに卵黄に移行するため、茹でたあとはそのままにせずに、なるべく早く卵白と卵黄を分けます。
離乳食中期(生後7~8カ月頃)
卵黄に慣れてきたら、徐々に卵白にもチャレンジしていきましょう。初めて卵白を食べるときは白身部分を黄身と同じように少量(耳かきひと匙)から試して、様子に変化がなければ徐々に増やしていき、離乳食中期では全卵の三分の一ほどまで増やしていくとよいでしょう。
離乳食後期(生後9~11カ月頃)
離乳食後期でも同じようにだんだんと量を増やしていき、大丈夫そうであれば全卵の半分ほどを与えてもよいです。子どもが飽きないように、雑炊や茶碗蒸しなどのレシピに挑戦してみてもよいですね。
離乳食完了期(生後12~18カ月頃)
離乳食完了期では全卵の三分の二ほどまで与える量を増やしていきましょう。卵焼きや、ご飯入りのおやきなど、卵を使うことで手づかみ食べのバリエーションが豊富になります。
卵を食べない・嫌がる場合の対処法
子どもに卵アレルギーの心配がないのであれば、卵は栄養豊富な食材なのでなるべく食べてもらいたいですよね。卵を嫌がる場合は、食感、味、見た目など嫌いな理由があるかもしれません。
ぼそぼそとした食感が苦手なのであれば、茶碗蒸しやプリンなど、喉越しのよいレシピを試してみると、食べるようになる可能性があります。もしくは味が苦手なのであれば、納豆入りの卵焼きなど、味の強い食材と組み合わせるとよいかもしれません。
子どもの味覚は変わりやすいので、どうしても食べない場合は無理に食べさせることはせずに、少し時期をあけてからまた試してみると、食べるようになるケースも多いです。
簡単な卵レシピ
次に、卵を使った簡単な離乳食レシピを紹介します。
黄身入りヨーグルトサラダ
1. ゆで卵を作り、黄身だけをこすなどして、なめらかな状態にする
2. じゃがいも、にんじん、かぼちゃなどを舌でつぶせるくらいに茹で、細かく刻む
3. ヨーグルトに1と2を加えて和える
ヨーグルトのとろみによって、パサつきがちな卵黄も食べやすくなるでしょう。卵の食感が苦手な子どもにも、食べさせてみるとよいかもしれません。
メレンゲのふわふわホットケーキ
1.卵黄と卵白を分ける
2.卵黄と砂糖、牛乳を混ぜ、ふるった小麦粉を入れてさっくりと混ぜる
3.卵白でメレンゲを作り、つぶさないように生地に混ぜる
4.フライパンで焼いたら完成
メレンゲを入れることで、ベーキングパウダーを入れなくてもふわふわの生地が作れるレシピです。フルーツを添えても子どもは喜びそうです。
卵とトマトのサンドイッチ
1. ゆで卵を作り、粗く刻む
2. トマトの皮と種を取り除き、粗く刻む
3. ボウルに1と2を加え、混ぜ合わせる
4. 薄切りの食パンの耳を切り落とし、3を塗って挟む
5. 食べやすい大きさに切ったら完成
トマトの水分で、卵やパンがしっとりするので、赤ちゃんも食べやすいメニューです。
体験談
先輩ママからは、下記のような体験談を聞きました。
40代/2児のママ
50代/3児のママ
知り合いの娘さんは卵アレルギーがあり、当時はアレルギーの対応もしてくれなかったようで、給食のメニューと同じように除去食を母親が作り、毎日持参していたそうです。アレルギーは地域や時代によって対応がそれぞれなので、苦労している人も多い印象でした
30代/3児のママ
子どもの仲良しの子が卵アレルギーです。一緒に遊んでいるときはお菓子をシェアして食べることもあるため、その友だちと遊ぶときには、必ず卵不使用のお菓子だけを持って行くようにしています。みんなと同じものを食べられないことは、悲しいことも多いだろうなと思っています
30代/3児のママ
子どもが自分で離乳食を食べてくれると私がラクなので、手で食べやすい卵焼きやおやきをついあげすぎてしまいました。そのせいで卵に飽きてしまったのか、あまり食べてくれなくなってしまいました……。卵は栄養豊富で使いやすい食材なので、食べてほしいと思い、どのように調理したら食べてくれるのが試行錯誤中です
卵を上手に取り入れて
卵を食べるのを遅らせても、アレルギー発症予防にはなりません。良質なタンパク質やミネラルをしっかりと摂るためにも、卵を必要以上に怖れずに、少しずつ食べ進めていきましょう。
卵は季節を問わず手に入りやすく、さまざまな食材と合うので、子どもが飽きないように工夫しながら上手に取り入れていけたらよいですね。
監修:保科しほ
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保科しほ
日本小児科学会専門医・指導医。麻酔科 標榜医。久留米大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、国立成育医療研究センター、東京女子医科大学八千代医療センター、国立感染症研究所勤務を経て、医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック院長に就任。専門は小児感染症、小児救急、アレルギー。
低月齢でアレルギーが起こると命に関わるという印象があったので、卵は離乳食後期になってからあげた記憶があります。卵黄から少しずつあげましたが、アレルギーがなくて安心しました