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実は叱っちゃダメ。子どもの本質を知り、正しく接するポイント3つ
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編集者/ライター
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1985年(昭和60年)佐賀県生まれ・都内在住。一児の父。本職は、編集者・ライター。他にも小説やゲームシナリオの執筆を手掛ける。
さわがしい、言葉遣いが悪い、危険なことをしたがる……。ついつい、「ダメ」「やめて」と言ってしまいがちな子どもの行動は、叱っても無駄だったり、禁止してしまうと成長の妨げになったりするかもしれません。『子どもの本質100 何かができたときは、お母さんに見てほしい』(監修:高濱 正伸、編集:花まる学習会/マガジンハウス)は、なぜそんな行動に走るのか、子どもの本質を照らし出す一冊。本書から、ただ子どもを叱るのではなく、本質を見極めて正しく接してあげるポイントを学びます。
さわがしいときは、なにかひきつけられるものが必要
1歳を過ぎ、私の娘もさわがしくなってきました。「ぎゃああああああ」と怪獣のように叫び、「だあ!だあ?だあ!」と、こちらの反応でも伺うように満面の笑顔を浮かべながら一生懸命話しかけてきます。そんな姿を見て、成長したなぁと思う反面、正直なところ、もう少し静かにできないかなあという気持ちも。
ちゃんと言葉を喋れるようになると、なおさら。以前、知人が小学1年生くらいのお子さんを連れてきていたとき、周りの大人たちに構わず大きな声でわめいていました。その母親である知人が「静かにしなさい!」と叱っても、一向に大人しくなる様子はありません。
そんなお子さんでも、終始うるさいわけではありません。ペンとノートをもらって、お絵かきをしているときは黙々としています。
“基本はやかましいのですが、おもしろいとなったら集中するのですから、ひきつける力が足りないだけなのです。”
本書はそう述べます。子どもにとっては、「おもしろい」ことが何よりたいせつ。「静かに」と言われたから黙ってじっとしているのは、苦痛でしかありません。周りの迷惑にならないときはむしろ、おもいっきり騒がせてあげるのも一つの手。それよりも楽しいことがあれば、自然と集中し、静かになってくれることでしょう。
言葉遣いが悪くなっても、大人が慌ててしまわないこと
私がまだ地元の佐賀にいたころ、地域の集まりで小さい子たちとよく接する機会がありました。最初はよく懐いてきて、おんぶなどしてあげた男の子がいましたが、年々接していくうちに悲しいことが。その子が5歳くらいになったときでしょうか、おもちゃの銃を私に突きつけ、「死ね!」と叫んだのです。
ただ、子どもにとってはよくあること。その子にしてみれば、単にテレビで見たシーンの真似をしてみただけだったのでしょう。
“そんなときに大切なのは、まわりの大人が動じないことです。大人がその悪い言葉遣いに動揺し、揺さぶられてしまうと、その反応がおもしろくて、ますます悪ぶってみたくなるものです。”
あのとき、ただ呆気に取られて何も言えなかったのが悔やまれます。もちろん、「あのね、人に向けてそんな言葉を使うと、悲しく思う人もいるよ」と教えてあげたところで、無駄だったかもしれません。その後々にも、だんだんその子の口が悪くなっていくのを止められたわけではないでしょう。ただ、そうしたことも言えず、私の方が、その子から少し距離を置くようになってしまいました。
自分の子どもだとしたら、「育て方を間違えた」とショックを受けることもあるでしょう。しかし、そうではありません。テレビや他の大人の影響でも、いろんな言葉が出てくるのは成長の証。ただ善悪の判断などは、大人が冷静に導いてあげる必要があります。
突き放さず、逆に無理矢理引き寄せてカンカンに叱るようなこともせず、普段通り落ち着いて接してあげましょう。
危ないことをしたがるのが子ども。痛い思いをしてみないと学べない
自分も親になってみて思います。親って、ついついお節介を焼きすぎてしまう面倒な生き物だな、と。うちの子も何にでも興味を持ち、積み重なった布団の上に登ろうとしたり、棚と棚の間の狭いところに入り込もうとしたり。1歳では危険かどうかすらわかっていないような部分もありますが、わかるようになると、なおさら厄介です。私自身も幼稚園生くらいのころ、わざと高いところから飛び降りてみたり、「危険だとわかっていること」をあえて繰り返しました。そうしたチャレンジを、親は止めるべきか。本書はこう解説します。
“実感したり、体感したりする“体験”は大切です。もちろん、ケガをしそうだったり、人に迷惑をかけたりすることは論外ですが、多少の失敗や痛い思いから学ぶこともたくさんあります。”
何でも危険を先回りして止められるのは、子どもにとってもストレスですし、自分で学ぶ大切な機会を奪うことにもなります。ケガをしないていどに、あえて痛い思いをさせる。なかなか程度が難しい話ではあります。ちょっと目を離している隙に、大変な危機に直面することもあります。だからこそ、子どもの行動は、よく観察し続けることがたいせつなのです。
終わりに
「なんでこんなことをするんだろう」、「まったく、聞き分けのない子どもだな」。大人はよく、そんな不満を述べがちです。自分の言う通り、思い通りに動いてくれたら、どんなに世話が楽になるでしょう。
しかし自分の子ども時代を思い出してください。あなたはそんなに聞き分けのよい子だったでしょうか。親の指示や命令を不満に思うこともなかったでしょうか。「もう忘れてしまった」という方は、ぜひ本書から思い出してみてください。
子どもの行動の理由が理解できれば、きっとその存在も、より愛しくなるはず。「どうしたらいいんだ」と諦めず、子どもの気持ちや考えに、もっと寄り添ってみましょう。
ライター:平原 学
小説家、コラムニスト。1児の父。
第3回ツイッター小説大賞佳作受賞。
著書:単行本『ゴオルデンフィッシュ』(文芸社)