お腹が一気に大きくなり、胎動をはっきり感じてくる妊娠28週目は、安定期とよばれる妊娠中期が終わり、妊娠後期の始まり、妊娠8ヶ月目に入ったところです。妊娠28週の妊婦さんの体調や、赤ちゃんの様子を医学博士で産婦人科医、田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生監修のもと解説します。
安定期が終わった妊娠8ヶ月である妊娠28週目の妊婦さんについて詳しく見ていきましょう。
妊娠24~28週の間に妊娠糖尿病になっていないかを調べる妊娠糖尿病検査が行われます。妊娠すると血糖値が上がるため、妊婦さんの2~5%は妊娠糖尿病になるといわれています。
妊娠中は、ホルモンの影響を受けやすく、血液検査で血糖値が基準値を上回っている場合には、糖負荷試験を数回受けることになるかもしれません。高血糖は出産後におさまることがほとんどですが、出産や胎児にリスクをもたらすことがあるため注意が必要です。
妊娠28週になると、赤ちゃんは頭を下にした正常位置になることが多いですが、健診で逆子といわれることがあります。しかし、お腹のなかにはまだ赤ちゃんが動けるスペースがあるので臨月までに自然と逆子が治ることも珍しくありません。逆子体操をするなどをしてあまり心配し過ぎないようにしましょう。
妊娠後期に入ったら、入院や分娩にかかる費用を具体的に調べておきましょう。この時点で個室や特別食を予約しないといけない病院もあったり、分娩方法や病院のシステムはそれぞればらつきがあるので、事前にリサーチすることが重要です。
出産に必要な、パジャマやT字帯、産褥ショーツなどの準備を済ませておくことも必要です。
また、里帰り出産を考えている人は、いつ頃どのように帰省するのか計画を立て、準備しましょう。里帰り出産には、医療機関の間で紹介状が必要となります。なかには紹介状を書くのに数日かかったり、順番待ちといった医療機関もあります。妊娠28週ごろの時期になったら、妊娠経過を診てもらっている病院に紹介状の依頼や相談をしておくとよいでしょう。
お腹が一気に大きくなると関節が緩み、重心がずれるので、感覚がつかみにくくなります。
身体を物にぶつけやすくなったり、つまずきやすくなるので、できるだけゆっくり行動することを心がけましょう。外出時は、履きなれたスニーカーなどを履く方が安心です。
もしぶつけてしまっても羊水がお腹を満たしているので、赤ちゃんには影響がないことがほとんどといわれていて、慌てる必要はありません。心配だったり、痛みがあるときには遠慮せずにかかりつけの産婦人科医に相談しましょう。
安定期とよばれる時期が終わり、妊娠28週になるとお腹の張りを感じる回数が増えたり、身体のさまざまな部分に痛みを感じたり、疲れやすさを感じる人も増えてくるでしょう。
お腹の張りや、身体が疲れていると感じたら、横になったり楽な姿勢でこまめに休息をとって無理をしないことが大事です。休んでもお腹の張りがおさまらないときには早めに受診しましょう。
この時期は、ホルモンの影響でイライラしやすく、涙もろくなったり情緒が不安定になる妊婦さんもいるかもしれません。パパとけんかになる、普段なら気にしないことでくよくよする、ということも珍しくなく感情のコントロールが難しい時期です。後期に入り、赤ちゃんが生まれるという責任感が急にのしかかり不安になった、という人もいるでしょう。
気持ちが落ち着いているときにパパとゆっくり話し合ったり、友人や信頼できる人に話を聞いてもらったり、普段頑張っている自分をたまには甘やかして気分転換をするなど、感情をコントロールできるように工夫できるとよいですね。
妊娠28週目は、妊娠8ヶ月の妊娠後期の始まりです。安定期といわれる妊娠中期がおわり、お腹もどんどん大きくなってくるでしょう。
お腹の張りやむくみがひどくなったり、距離感覚をとりづらくなったりするので妊婦さんは、転倒に気をつけて、無理せず安静にすごしましょう。
ママは情緒不安定になったり、つらく感じてしまうこともあるかもしれませんが、この時期に分泌されるホルモンの影響や、母になるという責任感から多くの妊婦さんが経験するものです。さまざまな変化は妊娠が順調な証拠だと感じながら、お腹のなかで赤ちゃんとつながっている時間を大切にすごしましょう。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
信州大学卒医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。
患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
2019年07月15日
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