【産婦人科医監修】前駆陣痛の症状は?本陣痛、胎動や便意との違いや注意点、体験談も

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妊娠37週から41週のママに起こる前駆陣痛。本陣痛の前に来る不規則な陣痛を指しますが、出産を控えて落ち着かない中で「この異変はもしかして本陣痛?」と勘違いしてしまうことも珍しくありません。この記事では、前駆陣痛の特徴や症状、その他の痛みとの違い、対処法や注意点、体験談をご紹介します。

前駆陣痛とは

陣痛には下記の3つの種類があります。

前駆陣痛:出産前の準備として生じる子宮収縮による不規則な痛み

本陣痛 :約10分おきまたは1時間に6回以上くり返し起こる痛み

後陣痛 :出産後の数日間、大きくなった子宮を元に戻すために起こる痛み

前駆陣痛は3種類のうち最初に起こり、出産に向けて子宮の出口を柔らかくする役割があります。分娩開始の合図ではないため、まだ産院に連絡する必要はありません。

前駆陣痛は、本陣痛と同じように子宮収縮によって生じるお腹の張りや痛みです。それほど強い痛みではなく、生理痛に似ているとも言われています。散歩などをして体を動かしているときやその直後によく起こります。

また、前駆陣痛は出産がそろそろだと知らせてくれる痛みで、本陣痛の練習という位置づけもされます。出産に向けて心と体の準備を整える時間だと考えることもできるでしょう。

 
※写真はイメージ(iStock.com/Natalia Kuzina)
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前駆陣痛は本陣痛、胎動や便意とどう違う?

本陣痛との違いがわからない、その他の症状に似ているなどの理由で、それが前駆陣痛だったと認識できないことも珍しくはありません。出産を経験した女性のなかでも「前駆陣痛ってどの痛みのことだったのかな?」という方もいるほど。

比較してみると、下記の違いがあります。

<痛む頻度>

前駆陣痛:不規則

本陣痛 :10分以内もしくは1時間に6回以上

<痛み方>

前駆陣痛:生理痛や下痢に似た痛み。そこまで強い痛みではないことが多い

本陣痛 :お腹の中を引っ張られているような痛み。徐々に痛みが強くなる

本陣痛だと判断したら、産院へ連絡を入れましょう。

その他の痛みで前駆陣痛に近いと言われているのが胎動です。どちらも痛みが不規則にやってきますが、痛み方には少し違いがあります。

前駆陣痛:生理痛や下痢のときの痛みに似て、下腹部付近が全体的にじんじん痛む

胎動  :お腹の中からギューッと押されたように痛む

また、前駆陣痛と便意が混同されることも。短い間に何度もトイレに行きたくなるものの、いざ排泄にはいたらない場合は前駆陣痛かもしれません。

そういう時はとりあえずトイレに行ってみて様子を見ましょう。排泄はできず、痛みが徐々に消えるなら、前駆陣痛の可能性が高いでしょう。

前駆陣痛の対処法

前駆陣痛が来た場合、どのように対処すればいいでしょうか。

・深呼吸する

痛みが来ると緊張してしまうものですが、息を大きく吸って吐くことでリラックスを心がけましょう。「1、2、3、4、5」とカウントしながら深呼吸すると気がまぎれることも。

・体を温める

ぬるめのお湯に入る、カイロや湯たんぽをお腹にあてるなど、あたたかくすることでも痛みを緩和できます。

・横向きで寝そべる

人によって楽な体勢はまちまちですが、横向きになると楽になったという方が多くいます。

 
※写真はイメージ(iStock.com/baona)

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こんな場合はすぐ産院に相談を

下記の症状が見られたら、すぐ産院に連絡しましょう。

・急激に強く痛む

・痛みが治まらない

・胎動が消えたように感じる

・お腹が張り続ける

・お腹が固くなっている

・少量の出血がある

これらの症状は、妊娠中に胎盤が子宮からはがれてしまう「常位胎盤早期剝離」の可能性があります。

突然発症して急激に進行するうえ、母子の生命に危険が及ぶ心配があるため可能な限り早く産院に相談してください。

前駆陣痛の体験談

先輩ママたちに前駆陣痛のエピソードを聞きました。

 
 

破水したあとに、本陣痛に比べると痛みの弱い陣痛があり、振り返るとおそらくあれが前駆陣痛だったんじゃないかと思います。痛みの程度は横になっていたら我慢できるくらいで、時間にすると2〜3時間で治まりました。

 
 

二人目の時、予定日一週間くらい前にまだ予兆がないので普通に過ごしていたところ、軽い生理痛に似たお腹の痛みを感じたので、念のため受診しました。これが前駆陣痛だったと思いますが、私の場合はかなり些細な変化だったので、そのままやり過ごす可能性もあったと思います。

前駆陣痛が来たら心と体の準備を

前駆陣痛は、本陣痛の前に来る不規則な痛みのこと。妊娠37週から41週のママには、いつ来てもおかしくないものです。

前駆陣痛の段階では、まだ産院に連絡する必要はありませんが、いつ本陣痛が来てもいいように備えておくのがいいでしょう。

この時期はさまざまな痛みや違和感に悩まされるかもしれませんが、適度にリラックスしながら赤ちゃんと会える日を待ちましょう。

Profile

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。 患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

2022年05月19日

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