妊娠中多くの妊婦さんが経験するつわりには種類があります。なぜ吐き気やにおいに敏感になったり、気持ち悪くなるのでしょうか。それぞれのつわりがなぜ起こるのか、つわりの原因と症状、対策法について解説します。
妊娠すると以下のようなつわりの症状が見られます。
妊娠5週から7週頃に始まる人が多く、9~12週にピークを迎える人が多いようです。
つわりの症状やつらさには個人差があり、つわりが激しい人もいれば、なかにはつわりがなかったという妊婦さんもいます。
そもそも、つわりはなぜ起こるのでしょうか。つわりの種類別に原因や症状、対策について詳しくみていきましょう。
吐き気を感じ、なかには寝ているとき以外はずっと吐いている状態になる妊婦さんもいるようです。
吐きづわりのときは無理して食べず、食べられるときに食べることが大事です。1度に食べる量をいつもより減らして、食事の回数を増やして少量ずつ食べるとよいかもしれません。
食べづわりは、常に何かを口の中にいれて食べていたいと感じます。お腹がすくと吐き気を感じやすくなります。寝起きは、空腹感を感じやすく強い吐き気に襲われる人も多いようです。お腹がいっぱいになるまで食べると、今度は満腹感で気持ちが悪くなる場合があります。
ほかにも、妊婦になるとすっぱいものや甘いもの、特定の食べ物が無性に食べたくなって、毎日同じものを食べたくなる人もいます。
吐きづわりと食べづわりをいっしょに起こすケースも多いです。
何かを食べたくなって気分が悪くならないように、すぐに食べられるものを用意しておくとよいかもしれません。外出するときにはあめや一口サイズのゼリー、おにぎりなどを持ち歩くようにしましょう。
食欲に身を任せて食べ続けると、体重が一気に増加し、妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群になる可能性があるので、ガムやゼリーなどのカロリーが少ないものや昆布などの食べるのに時間がかかるものを選ぶことがおすすめです。
においづわりは、においに敏感になりにおいをかぐだけで気分が悪くなります。
揚げ物のにおいや歯磨き粉のにおい、石鹸やシャンプー、洗剤、柔軟剤のにおいなど、どのにおいに反応するのかは人それぞれ違います。
今までは好きだったにおいでも苦手になる場合があります。なかには、すべてのにおいに敏感になり、お風呂に入ることが大変になったり、生活に支障をきたす妊婦さんもいるようです。
気持ちが悪くなるにおいをなるべく避けることが必要です。外出時にはマスクをつけたり、家ではアロマでお気に入りの香りにするとよいでしょう。
石鹸やシャンプー、洗剤などのにおいがつわりの原因になっている場合は無香料のものに変えるとにおいづわりがよくなるかもしれません。
とにかく眠く、倦怠感を感じ、集中力が低下します。
寝ても寝ても眠さを感じる人もいれば、我慢できないほど強い眠気を感じる人など、眠気の感じ方はさまざまです。
眠りづわりがあるときは、無理せず寝ることが重要です。無理すると、めまいが起こったり、気持ち悪さが悪化する可能性があります。昼寝の時間をとったり、横になれないときには、少しの間だけでもよいので目をつぶって休む時間を作るようにしましょう。
どうしても休めないときには、ガムを噛んだり、ハーブティーを飲むなどして気分転換をして眠気を覚ましましょう。
唾液の分泌量が増えたり、自分の唾液の味に不快感を感じて飲み込めなくなったり、唾液の味で吐き気を感じます。
寝ているときにも唾液の分泌がされるので、眠りが浅くなったり、寝具がよだれで濡れてしまって悩む妊婦さんもいるようです。
タオルやティッシュを持参して、唾液を吸い取るようにしましょう。ペットボトルを用意して、唾液を吐き出すことも一つの方法です。
あめやガムで唾液の味をごまかすと少し楽になる人もいるようです。
つわりの症状で、なぜにおいに敏感になったり、吐き気が起こるのかについて原因ははっきりとはわかっていませんが、妊娠するとホルモンバランスが変化して自律神経が乱れたり、強いストレスから妊婦さんの身体にはさまざまな変化が起こってつわりの症状として現われるといわれています。
つわりにも、「吐きづわり」「食べづわり」「においづわり」「眠りづわり」「よだれづわり」など種類があります。どれか一つのつわりの症状が強く出る場合もあれば、いくつかのつわりの症状がいっしょに出る場合もあります。
どのような症状のつわりでも無理をしないことが大切です。
つわりがずっと続くことはないので、つわりの時期にそれぞれのつわりに合った対策をして、自分のペースでなるべくリラックスするとつわりの症状が和らぐかもしれません。
杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
信州大学卒医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。
患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
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