【小児科医監修】赤ちゃんが快適に過ごせる室温は?季節ごとの目安

【小児科医監修】赤ちゃんが快適に過ごせる室温は?季節ごとの目安

赤ちゃんは体温を調整するのが苦手です。また、自分の意思を伝えることができないため、赤ちゃんが快適に過ごせるように、大人が様子を見ながら室温や服装を工夫することが必要です。今回は、季節ごとに室温を調整する工夫や、先輩ママたちはどのように対応していたのか、体験談を紹介します。

赤ちゃんは自分で体温調整ができない

私たち大人の身体は、皮膚にある温度センサーで暑さや寒さを感じると脳にその情報が伝わり、意識をしなくても自然と体温を一定に保つようにできています。

寒さを感じた場合は、血管の収縮によって血流を減少させ体内の熱を逃さないようにしたり、骨格筋の収縮によって震えを起こし、熱を発生させ体温を上げようとします。

逆に暑さを感じた場合には、血管の弛緩によって血流を促し、汗腺の活発化によって汗を流すことで体内の熱を外に逃がしたり、骨格筋の弛緩によって熱の発生をおさえ、体温を下げようとします。

一方で、赤ちゃんの身体はこれらの体温を調整する機能が未熟なため、気温によって体温が左右されやすいのです。そのため、赤ちゃんが体調を崩さず快適に過ごせるように、部屋の温度をうまく調整してあげることが必要です。

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※写真はイメージ(iStock.com/bernie_photo)

赤ちゃんが暑がっている/寒がっているサイン

赤ちゃんはよく汗をかきます。頭や背中に汗をかいているときは、暑いというサインです。

また、足の裏の温かさもひとつの目安となります。いつもと比べて足の裏が熱すぎるときは、身体がほてっているかもしれません。ただ、赤ちゃんは眠いときにも足の裏が温かくなるので、赤ちゃんの機嫌や表情など総合的に観察することが大切です。

反対に、お腹や背中などの体幹部が冷たくなっているときは、赤ちゃんが寒がっている証拠です。また、顔色や唇の色が悪かったり、身体を丸めて縮こまって寝ていることも、赤ちゃんが寒いサインだと考えられます。

季節ごとの対応

厚生労働省が発表している「乳幼児健康診査事業 実践ガイド」では、外気温との差を5℃以内程度に室温を管理することが望ましいとされています。季節にもよりますし、5℃以内での調整が難しい場合もありますが、目安として覚えておくとよいでしょう。

季節ごとにはどのように室温を調整するのがよいか、それぞれ見ていきましょう。

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※写真はイメージ(iStock.com/damircudic)

基本的には暑すぎず寒すぎず過ごしやすい季節ですが、夏のように暑い日があったと思ったら冬の寒さに戻る日もあったり、気温の変化が激しい時期ともいえます。

また、一日の中でも昼間と朝晩の気温差が大きい日もあります。衣類やブランケットなどで赤ちゃんの体温を調整してあげましょう。

この時期にエアコンを使う家庭は少ないですが、暑い日は扇風機や窓を開けたりして、赤ちゃんの身体に熱がこもらないように気を付けましょう。


梅雨

湿気対策には気を付けましょう。部屋の湿度は60%を目安にするとよいです。室温が少しくらい高くても湿度がちょうどよいと、赤ちゃんは快適な場合もあります。赤ちゃんの様子をよく見ながら、除湿機能を使うとよいでしょう。


部屋の温度を26~28℃を目安にして、エアコンで室温を保ちましょう。気を付けたいのは、エアコンの風が赤ちゃんに直接当たらないようにすることです。エアコンと併用して扇風機を使うことで、室内の温度差が少なくなるので、上手に活用するといいでしょう。

また、夏はあせもができやすいので、赤ちゃんの肌を清潔に保ってあげましょう。汗をかきやすい背中は、ガーゼのタオルを挟んでおくと、着替えの手間を少なく、肌を守ってあげることができます。

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※写真はイメージ(iStock.com/leungchopan)

春と同様に寒暖差が大きい季節のため、衣類やブランケットなどでこまめに調整してあげましょう。夜になると急に冷える日もあるので、寝るときは特に注意が必要です。

冬が近づき寒くなると風邪や感染症が流行り出すことも。室内の環境には気を付けましょう。空気が乾燥している日は、洗濯物を部屋干しにしたり、濡らしたタオルをかけておくだけでも加湿効果はありますよ。


部屋の温度は20~23℃を目安にしましょう。寒くなると風邪をひかないか心配になり暖房を効かせすぎたり、厚着をさせすぎることもあるので、赤ちゃんの顔色や汗をかいていないか、観察しながら調整するようにしてください。

冬は空気が乾燥しますが、エアコンを使うと部屋の空気がさらに乾燥します。加湿器を使い、湿度60%を保つようにしましょう。


出典:乳幼児健康診査事業 実践ガイド/厚生労働省

出典:保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)/厚生労働省

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シーン別の対応

一日の中でも赤ちゃんが何をしているかによって、室温を調整することが望ましいです。シーン別の対応を見ていきましょう。


お昼寝時

日中は夜に比べ気温が高いことがほとんどなので、寝ているときと同様のお布団をかけていると、赤ちゃんは暑いかもしれません。また、直射日光が当たるとその分体感温度が上がるため、カーテンでの調節や赤ちゃんを寝かせる場所で工夫をするとよいでしょう。


お風呂あがり

暑い時期、お風呂あがりは身体がほてっているので、少し部屋の温度を下げておくとよいかもしれません。逆に寒い時期は、お風呂あがりに部屋が寒いとすぐに身体が冷めてしまうので、部屋は暖かくしておくのがよいでしょう。

持ち運びができる小さい暖房器具で脱衣所を暖めておくこともおすすめです。ただし、部屋の温度を上げる場合も下げる場合も、やりすぎには気を付けましょう。


遊んでいる時

赤ちゃんがずりばい、はいはい、たっちの練習などをしたり、身体を動かして遊んでいるときは、少し室温を下げるとよいかもしれません。汗をたくさんかくと、その後身体が冷えてしまうので、様子を見ながら調節してあげましょう。

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※写真はイメージ(iStock.com/staticnak1983)

就寝時

夜間は気温差が大きく、特に朝方は冷えることが多いです。赤ちゃんが寝たときはちょうどよい室温でも、夜中から朝方になると寒いと感じるかもしれません。

就寝時にエアコンを使うかどうかは家庭の習慣や住む地域によって違いますが、ママが起きたタイミングや授乳のタイミングで室温をコントロールしたり、衣類・布団などで調節してあげるようにしましょう。

寒い地域での対応

北海道や東北など気温が低い地域では、冬の間の室温はどのように調節しているのでしょうか。実際に寒い地域に住むママたちに、北国ならではの工夫を教えてもらいました。

秋田県在住/3児のママ
秋田県在住/3児のママ

近所にある私の実家は冬になるととても寒いのですが、我が家は比較的新しいので気密性が高く、真冬でもそこまで寒いことはありません。

ただ窓際はやはり寒いので、ベビーベッドは窓から離れた場所に寝かせたり、保温効果のあるカーテンを使うなど工夫をしています

北海道在住/1児のママ
北海道在住/1児のママ

寒い地域では室内は暖房がよく効いていて暖かい場合が多いです。外に出るときには赤ちゃんに厚着をさせますが、室内に帰ってきたときにそのままにしていると赤ちゃんは暑いと思います。上着は帰宅後早めに脱がせてあげるように心がけています

体験談

先輩ママからは、室温に関するこのような体験談を聞きました。

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※写真はイメージ(iStock.com/ArtMarie)
20代/2児のママ
20代/2児のママ

母親教室で、生まれたばかりの赤ちゃんは大人より1枚多く着せること、だんだんと暑がりになるので数カ月後には大人より1枚少なく着せることを聞きました。赤ちゃんは寒いのか暑いのか分かりにくいので、いつもそれを目安に着せるようにしていました

30代/1児のママ
30代/1児のママ

5カ月の子どもは夜寝ているときにお布団をかけても、大体足で蹴飛ばしてしまいます。もしかすると足が動いちゃうだけなのかもしれませんが、暑いのかと気になります

30代/2児のママ
30代/2児のママ

あまり頻繁に着替えさせるのも大変なので、春生まれの息子は肌着だけを着せておいて、上にかける布団やおくるみで調整していました。背中が汗ばんでいないかどうか、手足が冷たくないか、などで判断をしていました

30代/3児のママ
30代/3児のママ

我が家は冬になると乾燥がひどいので、なるべくエアコンは使わずに、床暖房だけで対応するようにしていました。赤ちゃんはローチェアで寝かしていたので、室温は低くても、床暖からの暖かさが伝わっている様子がありました

赤ちゃんに合わせた調整を

基本的には夏期は26℃〜28℃、冬期は20℃〜23℃を目安にするとよいですが、それ以上に赤ちゃんの様子をよく見ることが大切です。大人と同様に、赤ちゃんも暑がりだったり寒がりだったり人それぞれ。

無理に目安の温度に合わせるのではなく、赤ちゃんが快適にしているかどうかを見極めて、エアコンや衣類で調節してあげられるとよいですね。


監修:保科しほ

Profile

保科しほ(医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック)

保科しほ(医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック)

日本小児科学会専門医・指導医。麻酔科 標榜医。久留米大学医学部卒業後、横浜市立大学附属病院、国立成育医療研究センター、東京女子医科大学八千代医療センター、国立感染症研究所勤務を経て、医療法人社団 敦保会 恵比寿こどもクリニック院長に就任。専門は小児感染症、小児救急、アレルギー。

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