【産婦人科医監修】授乳中におすすめの甘酒の種類とは。アレンジレシピも

【産婦人科医監修】授乳中におすすめの甘酒の種類とは。アレンジレシピも

2022.11.02

Profile

杉山太朗

杉山太朗

田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

甘酒は栄養満点、便秘にも効くなどと聞いたことがあるし、授乳中にも飲んでみたい。だけど、アルコールが含まれていそうでなんとなく不安。今回の記事ではそんな悩みを持つママに、授乳中でも飲んでもよい甘酒の種類や、おいしく飲むためのポイントを紹介します。甘酒を手作りする方法やアレンジレシピも必見です。

甘酒とは

甘酒は、日本で古くから親しまれている伝統的な飲み物のひとつです。冬の寒い時期に飲むイメージのある甘酒ですが、江戸時代には夏バテ防止のために飲まれていたようです。

甘酒は、吸収しやすい栄養素が豊富に含まれ、効率よく栄養摂取できることから、飲む点滴などといわれることもある健康効果が高い飲み物です。

特に、

  • ビタミンB群(B1、B2、B6)
  • 葉酸
  • 食物繊維
  • 糖類(オリゴ糖、ブドウ糖)
  • アミノ酸

などが豊富に含まれています。ビタミンB群には疲労回復効果、オリゴ糖や食物繊維には整腸作用などの効果があり、また妊娠初期に必要な葉酸も摂取しやすい飲み物です。

妊娠中や授乳中のママが気になる美容効果やダイエット効果もあるといわれています。

※写真はイメージ(iStock.com/Meiyi524)
※写真はイメージ(iStock.com/Meiyi524)

甘酒には2種類ある

甘酒には米麹から作られているものと、酒粕から作られているものの二種類があります。

近年、飲む点滴として注目されているもののほとんどは、麹と蒸した米を発酵して作られる米麹甘酒です。米麹甘酒はノンアルコールのため、妊娠中や授乳中のママが飲んでも安心です。

一方、酒粕甘酒にはアルコールが含まれているため、授乳中に甘酒を飲む場合、米麹が原料のものか、酒粕が原料のものか確認する必要があります。

米麹甘酒は、加熱した米と麹、水を混ぜて発酵させて作ります。発酵の過程でデンプンが糖に分解するため、砂糖を加えなくても甘い味わいになります。市販品には砂糖が加えられているものも多いので、気になる人は原材料をチェックして選びましょう。

一方、酒粕を原料とした甘酒は、酒粕を水で溶かして砂糖で甘みを調整したものをいいます。商品によっては、砂糖以外のもので甘みを調整しているものもあるようです。酒粕を使用した甘酒は、アルコールが含まれているため、妊娠中・授乳中は注意が必要ですが、長期間保存ができる商品が多くあるようです。

授乳中に甘酒を飲んでもよいか

授乳中のママがアルコールを摂取すると、母乳を介して赤ちゃんの体内にも吸収されてしまう可能性があり、危険です。しかし前述のとおり、米麹甘酒にはアルコールが含まれていないため、授乳中に飲んでも問題ありません。

むしろ米麹甘酒は、発酵食品で母乳をつくるのに必要なエネルギーや、産後のママの疲労回復に効果的なビタミンB群などを効率よく補給できます。授乳中のママにも米麹甘酒はおすすめです。

一方で、酒粕甘酒は市販品で1%未満と多くはありませんがアルコールを含んでいる場合がほとんど。また、1%未満のアルコールが含まれていても、ノンアルコールと表記されていることもあります。

授乳中は、栄養価が高く、さまざまな効果が得られる米麹甘酒を選ぶようにしましょう。酒粕甘酒はアルコールを含んでいるため、妊娠中や授乳中は飲まないよう注意が必要です。

誤って酒粕甘酒を飲んでしまった場合

※写真はイメージ(iStock.com/kyonntra)
※写真はイメージ(iStock.com/kyonntra)

授乳中のママがお酒を飲んだ場合、母乳のアルコール濃度は30分から1時間ほどでピークに達するといわれています。もし間違えて酒粕甘酒を飲んでしまったら、2時間以上あけてから赤ちゃんに母乳をあげると安心でしょう。

ただ、酒粕甘酒に含まれるアルコールは微量です。間違えて少量を飲んでしまったからといって、必要以上に心配することはありません。

出典:「-たばことお酒の害から赤ちゃんを守りましょう-」/厚生労働省

甘酒を飲むときのポイント

甘酒は米を原料としているため、他の飲料と比べてみてもカロリーや糖質が少なくありません。

具体的には、甘酒100gあたりのカロリーは76kcal。一方、牛乳であれば61kcal、濃縮還元のオレンジジュースであれば46kcal。

また、糖質は牛乳が4.7g、オレンジジュース10.5gに比べ、甘酒は17.9gとカロリーや糖質が多いことが分かります。

栄養価が高く、さまざまな効果がある米麹甘酒ですが、飲みすぎてしまうと、カロリーや糖質の過剰摂取になってしまうので気を付けましょう。一日にコップ一杯が目安です。たくさん飲みたい場合は氷や水、炭酸水で薄めても美味しいのでおすすめです。

出典:「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」/文部科学省

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甘酒を手作りする方法

実は米麹さえあれば、自宅で甘酒を手作りすることもできます。自宅で作るときは、炊飯器を使うと簡単に作れます。

※写真はイメージ(iStock.com/Toru Kimura)
※写真はイメージ(iStock.com/Toru Kimura)

作り方は、


  1. 米麹250gに対し、お湯(55~60℃)250ccを炊飯器に入れ、よく混ぜます。
  2. 炊飯器の内窯に濡れた布巾をかぶせ、ふたを半開きにし、保温モードにします。
  3. 55~60℃の温度を保ちますが、炊飯器によっては温度が高すぎたり低すぎたりする場合があります。ときどき温度計で測りながら、ふたの開け具合などで温度を調整。
  4. 5~6時間経過し、甘い香りがしてきたら完成です。よくかき混ぜてから飲みましょう。

粗熱が取れたら清潔な密閉容器にうつし、冷蔵庫で保存しましょう。手作りの米麹甘酒の賞味期限は1週間ほど。飲み切れなそうな場合には、密閉保存袋に入れて冷凍保存してください。

ママ向けの美味しい甘酒のアレンジレシピ

栄養豊富なため積極的に飲みたい甘酒ですが、いつも同じ飲み方だと飽きてしまうかもしれません。そんなママにおすすめのアレンジレシピを紹介します。


甘酒スムージー

フレッシュな野菜や果物と甘酒をミキサーで混ぜて作る甘酒スムージー。夏はメロン、冬はイチゴなど旬の野菜や果物を使うと、より美味しく効率よく栄養を摂取できるでしょう。簡単に作れるので忙しい朝にもぴったりです。


きなこヨーグルト甘酒

プレーンヨーグルトと甘酒を1:1の割合で混ぜ、きなこを適量トッピングして作る、デザート感覚の甘酒。冷たい状態でも電子レンジで温めて飲んでもどちらも美味しく、ホッとした気持ちになるでしょう。


甘酒入りスープ

※写真はイメージ(iStock.com/zepp1969)
※写真はイメージ(iStock.com/zepp1969)

甘酒を使ってスープを作ることもおすすめ。具材や味付けはなんでもよいです。たとえば、コーンスープに、トマトスープに、味噌汁に。甘酒に含まれるアミノ酸のはたらきで旨味が増し、身体があたたまる美味しいスープになります。

体験談

先輩ママから甘酒にまつわる体験談を聞きました。

30代/3児のママ
30代/3児のママ

産後の疲れがたまっていて夏バテ気味だった時期に、発酵成分に注目をして甘酒にはまっていました。そのままだと私には甘すぎたので、無糖のヨーグルトドリンクと割って飲むのが好きでした。上の子も気に入ってよく一緒に飲んでいました

30代/2児のママ
30代/2児のママ

甘酒はダイエットにもいいと聞き、妊娠中から産後の現在も続けて飲んでいます。甘酒の効果なのかは分かりませんが、便秘が改善したり肌の調子もよいと感じています

20代/1児のママ
20代/1児のママ

有名な酒造メーカーが作っている米麹甘酒が美味しくて、通販で取り寄せていました。授乳期だったので「美味しい母乳になあれ」と思いながら飲んでいました(笑)

適量の甘酒を楽しもう

今回の記事では授乳中でも飲んでもよい甘酒の種類や、おいしく飲むためのポイントを紹介しました。米麹甘酒は夏バテ防止などのため、江戸時代から日本人に親しまれてきました。妊娠中や授乳中は食事やアルコールなど気を付けることが多く大変な時期ですが、適量の甘酒を飲んでリラックスしたり、アレンジレシピを楽しみながら過ごせたらよいですね。

記事で紹介している甘酒を手作りする方法やアレンジレシピもチェックしてみてください。


監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

Profile

杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

2022.11.02

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