「手作りしない」が常識?アメリカの離乳食、主流な食材や、子育てに関する日本との考え方の違い

「手作りしない」が常識?アメリカの離乳食、主流な食材や、子育てに関する日本との考え方の違い

2022.04.05

毎日、離乳食の準備に追われて大変……手作りしなくてはと考えるのは、日本だけなのでしょうか?そこで今回は、アメリカの離乳食に注目。日本との違いを知ることで、離乳食をもっと楽しむきっかけになるかもしれません。アメリカの離乳食の特徴や開始時期、調理法や食材選び、進め方、アメリカの食文化、ママたちの体験談をまとめました。

スーパーでベビーフードの購入は常識?アメリカの離乳食の特徴

※写真はイメージ(iStock.com/brusinski)
※写真はイメージ(iStock.com/brusinski)

アメリカの離乳食には、日本とは違った特徴が多くあり、考え方や開始時期、食材選び、進め方などが異なります。

まず、アメリカでの離乳食に対する考え方は、「ママは子育てでいつも大変なのだから、無理せず市販のベビーフードに頼っていい」「子育てで楽をすることは悪いことではない」というものが主流です。

元々、普段の食事から外食やテイクアウト、冷凍食品を使うことが多く、料理に手間をかけるということがあまりないアメリカの食文化。せっかく手作りしても、赤ちゃんが食べてくれないことも多い離乳食に、時間と努力を費やす必要はないという合理的な考え方の人が多いようです。日本のように手作りにこだわる方はあまりいないようです。

また、アメリカでは産後すぐに仕事復帰するママも少なくないことから、スーパーなどではベビーフードコーナーがとても充実しています。日本で離乳食後期に使うような食材の形が残っているベビーフードはほとんどなく、多くがペースト状であることが特徴のようです。

アメリカのスーパーで手に入るベビーフードは、種類が豊富で品質の良いオーガニック製品も多く、パウチ瓶やプラスチック容器に入った、開けるだけですぐ食べられるものが多いようです。特に、ガーバーというベビーフードブランドが人気のようで、さまざまな野菜やフルーツの離乳食の取り扱いがあるようです。

※ガーバーのベビーフードの一部商品は、内閣府食品安全委員会より、重金属(鉛・ヒ素・カドミウム・水銀など)が危険なレベルで汚染されているとのレポートがあるようなので、購入を検討する際には最新の情報を取得することが必要かもしれません。

日本でも、ベビーフードはスーパーなどで簡単に手に入りますが、「ベビーフードばかり使うと手抜きになるのでは」とプレッシャーに考える方も多いかもしれません。アメリカの考え方を知ればそのような悩みを和らげてくれるかもしれませんね。

出典:「米国下院監視・改革委員会の経済消費者政策小委員会、「乳児用食品は危険なレベルのヒ素、鉛、カドミウム及び水銀で汚染されている」と題するスタッフレポートを公表」/内閣府食品安全委員会
【世界の離乳食】多種多様な食材で作る離乳食

【世界の離乳食】多種多様な食材で作る離乳食

アメリカの離乳食の開始時期

日本の離乳食は、およそ生後5〜6カ月頃に開始することが多いですが、アメリカの離乳食の開始時期は少し早く、生後4〜6カ月の間に始めることが多いようです。

アメリカでは食物アレルギー体質の人が多いと言われており、その対策から離乳食の開始時期が早いのでしょう。遅くても6カ月までには離乳食を開始するというところは、日本とアメリカで共通しています。

また日本では、自治体での乳児健診時に、保健師が詳しく離乳食指導をしてくれることが一般的ですが、アメリカでも4カ月健診時に小児科医が離乳食についての説明をしてくれるようです。

さらに、離乳食を開始してよいかの判断基準についても日本と同じで、赤ちゃんのよだれが増えている、食べ物に興味を示す、首がすわっているといった条件が揃っていれば、母乳やミルク以外のものを食べる準備ができていると判断します。

アメリカの離乳食の調理法やメニュー

※写真はイメージ(iStock.com/isayildiz)
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日本で離乳食を調理する際は、野菜や魚などの食材を手ですりおろしたり、こしたりできる離乳食グッズやセットを使う場合が多いですが、アメリカでは食材をすべてブレンダーに入れてペースト状にしてしまう調理法が主流のようです。

ブレンダーのほか、保存容器やフリージング用のトレー、ブレンダーと蒸し器が一体化した家電などを使用することもあるでしょう。

また、アメリカでは元々1品料理が多く、離乳食メニューもシンプル。日本でいう「主食、主菜、副菜」を考えた内容で与えることは少ないかもしれません。

野菜、魚、お肉。アメリカの離乳食の主流の食材は?

アメリカと日本では、食文化の違いから離乳食の食材選びにも異なる点があります。アメリカの離乳食の食材選びについて紹介します。


主に使われる食材

アメリカの離乳食で使う穀物は、ライスシリアル、オートミールを主に使用します。

野菜やフルーツを食べる時は、にんじんやさつまいも、りんごといった日本で定番の品種のほか、アボカド、ビーツ、エンドウ豆、ズッキーニ、ケール、ココナッツ、マンゴー、ブルーベリー、ラズベリー、洋ナシ、プルーン、ザクロ、プラムなどを使うことも。

チアシードといったスーパーフードを離乳食に取り入れることもあるそうです。

たんぱく質は、鶏肉やターキー、牛肉が主に使われるようです。日本の離乳食では、魚や大豆製品を多く使用しますが、アメリカの方ではあまり使わない傾向があるようです。アメリカでは、赤ちゃんの離乳食でも、魚ではなくお肉が主流のようですね。

味付けは、ジンジャーやシナモン、グレービーソース、バジルを使うため、日本で定番のしょう油や昆布、鰹節出汁の味とはかなり異なるでしょう。


ベジタリアンやビーガンの方向けの食材

※写真はイメージ(iStock.com/vaaseenaa)
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また、アメリカではベジタリアン(菜食主義者)やビーガン(完全菜食主義者)の家庭も多く、離乳食でもそのような主義に対応したメニューを取り入れるようです。

ベジタリアンメニューでは、お肉の代わりにヨーグルトやチーズなどの乳製品や豆類からたんぱく質や鉄分を摂取し、鉄分を吸収しやすいビタミンCを含む野菜などの食材も一緒に食べて栄養バランスに配慮します。

ビーガンメニューでは、卵や乳製品も食べることができないため、小児科医や栄養士の指導のもと、離乳食で鉄分などのサプリメントを与えることもあるそうです。


1歳までは避けた方がよい食材

赤ちゃんが1歳になるまでは、日本で一般的に避けた方がよいと言われている下記のような食材は、アメリカでもNGとされているようです。

1歳までは避けた方が良い食材例

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アメリカの離乳食の進め方

アメリカの離乳食の成長段階ごとの進め方をご紹介します。

日本の離乳食は、赤ちゃんの月齢や発達に合わせて、食べ物の形状を細かく確認しながら進めます。

一方のアメリカでは、形状を変化させることには特にこだわらず、ベビーフードを利用している家庭では、月齢が上がってもペースト状のものを与えることが多いようです。

アメリカの離乳食ステージ

アメリカも日本と同様に、4つの段階に分けて離乳食を進めていきます。

アメリカの離乳食ステージ

はじめはライスシリアルから

※写真はイメージ(iStock.com/bigacis)
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赤ちゃんに初めて食べさせるものは、日本では10倍粥ですが、アメリカでは粉末状ライスシリアルを与えるのが一般的です。どちらも初めて食べさせるものはお米のようですね。アメリカでは、粉末状ライスシリアルに母乳やミルクを混ぜることもあるようです。

ライスシリアルをしばらく与えたら、より栄養価のあるオートミールシリアルやマルチシリアルへ移行し、粉ミルクと混ぜたりすることもあるようです。


慣れてきたら色々な組み合わせで味に変化を

慣れてきたら徐々にペーストしたフルーツや野菜などを取り入れて食材を増やしていき、色々な組み合わせで味に変化をつけていくようです。

日本では、豆腐、白身魚を初めてのたんぱく質として取り入れることが多いですが、アメリカでは肉をペースト状にしたものを食べさせることが多いようです。

離乳食後期の生後9カ月頃になると、ヨーグルトやチーズといった乳製品などたんぱく質が入った食事になり、マッシュポテトくらいの硬さまで水分を減らしてもよいでしょう。

赤ちゃんが食べ掴みできるようになる頃には、野菜やフルーツなど小さく切った食べ物やおやつを与えることもあり、マカロニや小さいパスタなど柔らかい固形の食事も取り入れるようです。

日本でも離乳食完了期といわれる1歳以降は、アメリカでも幼児食へ移行する時期とされているようです。

アメリカの基本的な食文化

そもそもの、アメリカの基本的な食文化についても知っておくと、離乳食づくりの参考になるかもしれません。


さまざまな国がミックスされた食文化

アメリカの食文化は、移民の国ならではの多彩なものになります。

ヨーロッパやアフリカなど、さまざまな国の食文化が混ぜあわさって派生した料理がほとんどで、主食の多くは小麦ですが、お米やとうもろこしなども広く食べられています。


定番はハンバーガー、ホットドック、ピザなど

※写真はイメージ(iStock.com/Minerv)
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アメリカでは1日の食事量も日本と比べると多めで、アメリカ料理で一番有名なハンバーガーもサイズがかなり大きく、普通のものを頼んでも日本の約2倍はあるかもしれません。

また、ハンバーガーと並ぶ定番グルメとして、ホットドック、ピザ、サブマリンサンドウィッチがあります。

ホットドッグは、ほとんどのファーストフード店で購入でき、ピザはイタリアに比べると生地が厚くて具が多いのが特徴です。


ミートローフなどのオーブン料理も一般的

さらに、厚みのあるステーキやフライドチキンもアメリカ料理として有名でしょう。

ステーキは、お店では味付けなしで提供されるのが一般的で、ヒレやサーロイン、リブアイ、T-ボーンステーキが人気。そのほかの定番としては、以下のメニューがあります。

そのほかの定番メニュー

アメリカの家庭では、大きなオーブンがあるのが一般的。オーブン料理のミートローフは、日本のハンバーグに近く形はパウンドケーキのような長方形をしています。

アメリカの離乳食についてママたちの体験談

※写真はイメージ(iStock.com/Denis Kalinichenko)
※写真はイメージ(iStock.com/Denis Kalinichenko)

アメリカの離乳食についてママたちに話を聞いてみました。

 
 

友人がアメリカ人の方と結婚して赤ちゃんがいますが、離乳食を作ることはあまりないそうです。

アメリカでは、スーパーなどでオーガニック認証のものを買ってきて、お湯で溶くとか簡単に調理できるものを使うのが多いようですが、そういうものは便利だけど驚くほど高価だそうです

 
 

フロリダ在住の赤ちゃんのいる友人に聞いた話では、市販の離乳食商品では信用できず、ほとんど自作していたようです。

日本との違いは、粉になっているオートミールシリアルをミルクに溶いてあげる、瓶詰めよりも口から吸えるパウチでフルーツなどが売っているという点だそうです

 
 

アメリカ在住の友人は、離乳食は4カ月くらいから始め、白米は種類はないもののすぐに手に入るらしく、友人はオートミールシリアルとお粥両方をあげていたそうです。

もともと日本での離乳食では納豆をあげていて、赤ちゃんが大好きだったのが、じわじわとアメリカナイズされていったのか全く食べなくなり、パンばかり要求されるようになったそうです

 
 

アメリカではバナナが神離乳食とされていて、周りのアメリカ人の方もみんな外出のときはとにかくバナナをそのまま持っていき、スプーンなどで赤ちゃんにあげるそうです。

あと、日本でいうキューピーとか和光堂といった離乳食の有名ブランドは、アメリカの方だとガーバーというところのものらしく、1食3ドルくらいの値段だそうです

 
 

アメリカに住んでいる姉の話では、日本は10倍粥から始めますが、アメリカでは最初からアボカドを潰したものをあげたりとかバナナ、オートミールシリアルから始める人が多いと言ってました。

アボカドは結構油分が高くてこってりしているので赤ちゃんの離乳食には不向きかなと思いましたが、そこまで慎重にならなくてもいいんだなと思いました

 
 

ニューヨークで出産した友人の話では、離乳食にも地域性があり、ニューヨークは特に多民族であることもあり、ライスシリアルを生後6カ月から1口、2口……と言う感じであげていたと言っていました。

手づかみ食べでは、日本でいうハイハインのようなベビーせんべいの代わりに、穴が開いていて安全なチェリオスの味がついていないものをあげていたと聞きました

 
 

日本ではよく煮沸消毒をしますがアメリカではしないそうです。日本は水もきれいだし衛生面もいいはずなのに、なぜ毎回あれだけ消毒するのか不思議だそうです。

また、小児科の先生から日本人は遺伝子的に牛乳が合わないと聞き、ミルクや牛乳の代わりに豆乳を使っていたそうです

子育ての参考にアメリカの離乳食を

※写真はイメージ(iStock.com/miniseries)
※写真はイメージ(iStock.com/miniseries)

離乳食に手間をかける必要はないというアメリカの大らかな考え方は、子育てで忙しいのに手作りしなくてはいけないというプレッシャーを抱えるママたちの悩みを解決してくれそうですね。

アメリカの離乳食でよく使われる食材を、毎日の離乳食に取り入れてみるのも、赤ちゃんが新しいおいしさに出会うよいチャンスにもなるかもしれません。

しかし、離乳食の進め方は赤ちゃんによって異なるため、体質に合わないなどの心配がある場合は小児科や保健センターなどで相談してみましょう。

アメリカと日本、両方の良いところを取り入れたバランスのよい離乳食で、のびのびと子育てができるとよいですね。

2022.04.05

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