【小児科医監修】RSウイルス感染症の治療とは?検査や薬、予防法などについて解説

【小児科医監修】RSウイルス感染症の治療とは?検査や薬、予防法などについて解説

赤ちゃんや幼児に多いRSウイルス感染症。流行りの時期や周りの友だちが感染すると、「我が子も感染するかも」と心配になりますよね。RSウイルスの感染経路や、症状、感染期間をご紹介します。また、RSウイルスの検査やワクチン、治療薬の有無、発症から入院に至る可能性と治療法を解説します。

RSウイルス感染症とは

風邪 赤ちゃん 抱っこ
iStock.com/Manmarumaki

症状

RSウイルス感染症は鼻水や咳、38~39℃程度の発熱など、風邪に似たような症状のあとに喘息のような呼吸器の症状が出るのが特徴です。

幼児では風邪のような症状で治ることが多いですが、赤ちゃん(特に生後6ヶ月前後)の場合は、重症化や合併症を招きやすいので注意が必要です。


感染経路

RSウイルスの感染経路は、咳やくしゃみなどの「飛沫感染」とウイルスに触れた手や物を介してうつる「接触感染」があります。


感染期間

RSウイルスの潜伏期間は4~5日です。

発症から大体1~2週間で症状が回復しますが、治ったあとも1週間程度はウイルスが排出され、ほかの人に感染する可能性があるため、その期間の外出時などは配慮が必要です。

RSウイルス感染症の予防

RSウイルスのワクチン

RSウイルス感染症の予防ワクチンはありません。そのため、流行する時期には日常的な予防を心がけることが大切です。RSウイルスに感染しないためには、どのような予防法があるのでしょうか。


予防法

赤ちゃん 消毒
iStock.com/Reptile8488

RSウイルス感染症は、

・マスクの着用
・手洗い、うがい
・おもちゃの消毒

で予防対策ができます。

RSウイルスの流行りの時期でなくても、咳などの症状が流行っているときにはマスクでの感染症予防が知られています。さらにRSウイルスの感染経路には飛沫感染があるため、RSウイルスの流行りの時期、人ごみに外出する際はマスクを必ず着用するようにしましょう。

家庭内でも、RSウイルスに子どもが感染しているときには、ママやパパのマスクの着用はもちろん、可能であれば赤ちゃんも子ども用のマスクを着用するとよいでしょう。

また、接触感染をさけるため家族間であっても食器やタオルの共有は避けましょう。

手洗いうがいを意識し、体内にウイルスを入れないことが大切です。また、日常的に赤ちゃんが触れるおもちゃや、ドアノブなどのこまめなアルコール消毒が赤ちゃんをウイルスから守ることにつながります。

RSウイルス感染症の検査

RSウイルスの検査は、多くの場合「抗原検出キット」を使います。インフルエンザのように鼻に綿棒を入れて、綿棒についた粘膜と試薬を使ってウイルスを検出から診断結果を出します。検査は15分程度でできるようです。

ただしRSウイルス検査は1歳未満、入院している人、シナジスの投与を必要としている人は無料で受けられますが、それ以外の人は保険の適用外で検査を受けることになります。

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RSウイルス感染症の治療

RSウイルスに特化した治療薬やワクチンはありません。RSウイルスに感染したら症状を緩和させる治療で、それぞれの症状に応じた対処法を行います。

RSウイルスの症状別に治療の仕方をご紹介します。

赤ちゃん 咳
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激しい咳で呼吸が苦しい

ゼーゼーとした呼吸になるのは、肺の中の細気管支が炎症で狭くなっているためです。吸入や気管支拡張薬などを使用して炎症を抑え、呼吸を整える治療をします。


熱が下がらない

RSウイルスによる発熱で、熱が下がらないときにはお医者さんによって、解熱剤を出される場合があります。

発熱したときにはいつも以上に汗をかくので、脱水にならないように水分補給をこまめに行うことが大切です。


鼻水や痰がつらい

痰や鼻水がたくさん出てつらいときには、タッピングで痰を出すことをうながしたり、鼻水の吸引を使用します。痰や鼻汁を出しやすくし、気管支の炎症や喘鳴や鼻づまりなどの症状を和らげる去痰剤を使う場合もあります。

このほかにも、自分の免疫力で治せるように、体力の回復を促す薬を使う場合もあります。

生後間もない赤ちゃんや、免疫の弱い子どもの場合、重症化しやすく入院となるケースもあるため、ゼーゼーした呼吸をしていたり、鼻水がひどくてつらそうな症状があってRSウイルスの感染が心配な時には病院で受診し、しっかりと治療することが重要です。

RSウイルス感染症で入院?

激しい咳が続き、赤ちゃんが水分やミルクを飲めない場合には、入院して治療をする場合があります。

RSウイルスの症状が重症化すると、肺炎や細気管支炎などの合併症に感染する可能性があります。赤ちゃんの身体の状態によっては入院をして点滴をしたり、酸素を投与する必要があります。

RSウイルスは、症状に応じた治療が必要

赤ちゃん抱っこ
iStock.com/Yuji_Karaki

2歳までの赤ちゃんがほとんどかかるといわれているRSウイルス感染症。飛沫感染や、接触感染が感染経路となり、感染が広がりやすい病気です。

RSウイルス感染症の検査は、1歳未満のみ保険適応です。1歳以上でRSウイルス感染だったとしても、重症化することは少ないからです。RSウイルスと診断されても、RSウイルス自体に効果のあるワクチンや治療薬はなく、症状に応じた治療法を行うことになります。

RSウイルス感染症は症状が重症化すると、肺炎や細気管支炎などの合併症を引き起こし、入院に至る場合もあるため、疑わしい症状がみられたら早めに病院を受診し、治療することが大切です。

RSウイルス感染症が流行する秋口から冬の時期には、ママやパパが意識をして予防法を取り入れて、赤ちゃんを感染から守りましょう。


監修:千葉智子先生(上高田ちば整形外科・小児科)

Profile

千葉智子(上高田ちば整形外科・小児科)

千葉智子(上高田ちば整形外科・小児科)

上高田ちば整形外科・小児科 副院長。 小児科専門医として、その時代に合った子どもの医療の実践を心掛けている。3児の母として子育てをしながら、現役で活躍中。外来では、ホームケアの方法を分かりやすく説明し、自宅に帰ってから自信をもって看護できるように、保護者への説明を丁寧にするように心がけている。子育てに関する疑問、不安、工夫など、何でも相談しやすいクリニックを作り、「子どもの笑顔を作る」ために活動。

2018年07月30日

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