宋美玄先生、教えて! 【第3回】産後、2人目をつくるベストタイミングは?

宋美玄先生、教えて! 【第3回】産後、2人目をつくるベストタイミングは?

1人目が生まれて、毎日楽しくもバタバタ過ごしているなかで、「そろそろ2人目がほしい……」と思っている方もいるのでは? 連載第3回目では、2人目をつくる医学的にベストなタイミングや、気になる産後の夫婦生活について教えてもらいました。

ママの栄養状態が戻るのは、出産の1年半後

産後、2人目がほしいと思ったとき、いつ頃から妊活を意識するとよいのでしょうか?

「年齢によりますね。40歳で1人目を産んだ方が2人目を望むなら、次は2年後……なんて言ってられないですし」と宋先生。

「年齢的に余裕がある人なら、次の妊娠までに1年半くらいは期間をあけるとよいと思います。1回の妊娠・出産でママはたくさんの栄養素を使ってしまい、赤ちゃんの成長に必要な葉酸も欠乏した状態です。さらに、授乳によっても栄養素や体力が消費されます。これらの栄養素が補充されて、再び妊娠に向いた体に戻るまでに1年半ぐらいかかると考えられています」(宋先生)

1年半未満での妊娠は、早産のリスクが上がると言われてます。しかし、授乳していても妊娠する方はいますし、1人目ができたすぐ後に2人目を妊娠する方も。妊娠のしやすさや体の状態は人それぞれなので、ご夫婦で話し合うことが大切です。

「2人目がほしいけれど排卵が戻ってこないという方は、断乳を検討したほうがよい場合も。早めにかかりつけの産婦人科医に相談してみてください」(宋先生)

夫婦生活は産後1ヵ月以降に再開OK

骨盤や子宮の状態や、出産時の膣の傷などが回復するまでには1ヵ月ほどかかります。産後の回復は個人差があるため一概には言えませんが、「1ヵ月健診で問題がなければ、セックスを再開してOKとお伝えしています」と宋先生。

「でも、ほとんどのママが産後1ヵ月では『そんな気分にならない』と言いますね。出産後は女性ホルモンの分泌が低下するため、膣が乾燥して感度も低い。濡れにくかったり、痛かったりして、セックスするのに向かない状態です。授乳中はプロラクチンというホルモンの影響で性欲が減る人もいて、しかも育児や家事で疲れやすいため、『したくならない』というママが多いようです」(宋先生)

傷がくっついても、違和感や痛みが半年から1年ほど続く人もいるそう。また、順調に回復していても、産後最初の夫婦生活には不安な気持ちがある方もいるはず。

「なかには夫婦生活の再開を待ち構えている旦那さんもいるようですが、そんな気分にならないという場合は、『あなたが嫌なのではなく、今はそういう体なの』ということを伝えて、理解してもらうことが必要。ご自身の気持ちと体の状態次第で、ゆっくり再開するのがよいと思います。また、帝王切開をした場合は子宮に傷が残っているため、1年半未満の妊娠は避けたほうがよいでしょう」(宋先生)

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実は多い? 産後のセックスレス

産婦人科医に相談する人はあまり多くないようですが、2人目の妊娠を望んでいるにもかかわらず、産後セックスレスになっているご夫婦も実は多いそう。

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「産後セックスレスの相談は多いですね。もう1人子どもがほしい、でもセックスはしていない。今さらできない、でも不妊治療をするもの嫌、という人も。これでは妊娠できませんよね」(宋先生)

産後、体に違和感があって夫婦生活を受けいれたくないというケースや、旦那さんが育児や家事を手伝ってくれずに不信感を抱いてしまったケース、あるいは旦那さんが授乳している妻に欲情しないというケースなど、セックスレスになる原因はさまざま。

「完全にセックスレスになってからどうにかしようとしても難しいと思います。たとえば、産後2年まったくしていないという人が夫婦生活を復活させるのは大変です」(宋先生)

2人目を望むなら、妊娠中からスキンシップを大切に

では、産後にセックスレスにならないためにはどうしたらいいのでしょうか?

「産後セックスレスにならないためには、妊娠中からのスキンシップが大事だと思います。妊娠中は性欲が減る人もいますし、医師から『夫婦生活を控えたほうがよい』と言われる場合もあるでしょう。そういったときに、旦那さんを拒絶してしまうのではなく、お互いを思いやって接したり、手をつなぐといったスキンシップを保っていたほうが、産後もよい夫婦関係を築けるのではないでしょうか」(宋先生)

また、産後は膣が乾燥しやすいため、「痛かったらどうしよう」と不安な人は、ローションなどを使うという方法も。

2人目を望むときは、ママの体の回復と気持ちの状態を考慮しつつ、夫婦でお互いを尊重しあって、よくコミュニケーションをとって過ごすのがベストだと言えるでしょう。

Profile

宋美玄(ソンミヒョン)

宋美玄(ソンミヒョン)

産婦人科医、医学博士、日本周産期・新生児学会会員、日本性科学会会員。 一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事。 丸の内の森レディーズクリニック院長。 1976年1月23日兵庫県神戸市生まれ。 2001年大阪大学医学部医学科卒、同年医師免許取得、卒業後大阪大学産婦人科入局。 2007年川崎医科大学講師就任、09年にイギリス・ロンドン大学病院の胎児超音波部門に留学。10年に出版した『女医が教える本当に気持ちいいセックス』(ブックマン社)がシリーズ累計70万部突破の大ヒットとなり、各メディアから大きな注目を集める。その後も、各メディアへの出演や妊娠出産に関わる多くの著書を出版。 2012年女児、15年に男児を出産し2児の母になり子育てと産婦人科医を両立。 “診療95%、メディアへの露出5%”としながらも、“カリスマ産婦人科医”として、対応しうる限りのメディア出演、医療監修等で様々な女性のカラダの悩み、妊娠出産、セックスや女性の性などに女性の立場からの積極的な啓蒙活動を行っている。

※症状によって必要なケア、処置は変わってきます。不安のある方は医師の診断を受けてください。
※当記事の情報による行動においては個人差が生じるので、かかりつけの医院にてご相談ください。

2017年01月26日

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