プロサッカー選手を目指す息子のために親がしてあげられること【中澤佑二】

プロサッカー選手を目指す息子のために親がしてあげられること【中澤佑二】

読者からお悩みを募集し、子育て、教育、健康など各分野の専門家にご回答いただく人生相談コーナー。今回は元サッカー日本代表の中澤佑二さんが、「プロサッカー選手を目指すための道」についてお答えします。

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【お悩み】強いクラブチームに入れなくてもプロサッカー選手になることはできますか?

男15歳、男10歳、男8歳のママ
男15歳、男10歳、男8歳のママ

小3の息子は、将来サッカー選手になりたいと言っています。

現在小学生ですが、大きくなってからさまざまな選択肢が選べるよう、サッカーと勉強を両立していますが、Jクラブチームのジュニアユースなど、強いチームには入れそうにありません。

中学は学校や町クラブでできればと思うのですが、そのまま高校もサッカー強豪校には行けず、Jクラブチームのユースにも入れない場合、プロサッカー選手になるにはどのような道があるでしょうか。

Jリーグのセレクションや、大学サッカー、社会人サッカーからプロになることはできますか?現在の日本の状況で、どの道が最適、最善とお考えかお教えください。

【中澤さんの回答】「ここに行けば必ずプロになれる道」というものもありません。

まず、お子さん自身が「プロになりたい」と高い目標を持っているのはとてもよいことですね。

一般的に「Jのユースチームに入らなければプロになるのは難しい」、「強豪校に行かないといけない」と考えられていますが、今は町のクラブからもよい選手は出てきているので、Jのユースチームに入らなくてもプロになることは可能です。 

プロを目指す場合、強豪といわれる学校に行く家庭が多いのは、強豪校に行けば自然と試合を見てもらえたり、「〇〇高校の10番といえばすごい選手なんだろうな」とリーグからのスカウトにも目が留まりやすいというメリットがあるからです。

ただ、高校サッカーの強豪チームはたくさんありますが、チームとして結果は出ていなくても、 チームの勝利よりプロサッカー選手を輩出することを目的に掲げ、プロ選手を育成する高校も増えてきています。 

いずれにしても、プロになれるかどうかは、どこにいくかではなく、本人の決意や信念次第。

毎年、何万人という子どもたちが「プロ」を目指し、その中でプロになれるのは数十人程度という狭き門なので、バスケット漫画の『スムラダンク』風にいえば、目指す以上は「それ相当の断固たる決意!!」が必要です。 

道はそれぞれあって、どこからでもプロになることは可能だし、逆にここに行けば必ずプロになれる道というものもありません。

ただ、僕が思うに、やはり勉強は大事です。僕自身サッカーばかりで勉強の習慣がなく、基礎をおろそかにしてしまったため、現役時代、いざインタビューや取材を受けても、コメントの引き出しが少なかったり、教養が足りなかったりして、苦労してきました。大人になった今、一日10分は机に向かうことを習慣づけようとしているところです。

ですので、相談者さんがお考えのように、サッカーだけでなく、勉強もしっかりと両立させるくらいの気持ちを持つのはよいと思いますし、サッカー選手になれてもなれなくても、勉強は将来必ず役に立つでしょう。

お子さんが本気で「プロになりたい」と言うのであれば、「お父さんもお母さんも一生懸命サポートするから、サッカーだけじゃなく勉強も頑張って、途中で投げ出さないように」と決意を確認してみてください。

休日にサッカーに付き合うことはもちろん、お互いに勉強をする時間を設けるのは良いと思います。

とはいえ、さまざまな理由でご両親がお子さんのサポートをできない家庭もあるでしょう。そういう家庭の子はプロになることはできないのか?と思ってしまいますよね。

実は僕自身、両親共働きで親からのサポートはほとんどありませんでした。本格的に始めたのは中学生になってからなので、送迎はなく、高校も公立で、自転車で20分くらいで通えて、練習できる専用コートがあるところを自分で選びました。

僕のようなケースはレアですが、家庭ごとの事情にもよると思いますので、親が忙しい場合、子どもだけでもなんとかできるような場所に行かせるのもひとつの手段です。

もうひとつ、プロサッカー選手を目指すための目標設定の仕方として、高校卒業後になりたいのか、大学卒業後なのか、時期を決めるのもよいでしょう。

そこから逆算して、現時点で「体力がこれくらないといけない」「ドリブルやトラップなど基礎がどれくらいできなければいけない」など、さまざまな目標設定をします。

また、プロを目指しているのであれば、クラブチーム任せではなく、クラブ以外の時間をどれだけサッカーに費やすかも重要です。

たとえば、「ネイマールのようなドリブルがしたい」と思えば、ネイマールの映像を見ながら家でボールを触って、それを忘れないうちに外でプレーをしてみましょう。

僕は三浦知良選手のプレーを真似するために、ハイライトがあったら録画をして何回も繰り返し見て、忘れないうちにボールを蹴るようにしていました。場所は家でも公園でもいいんです。

プロになるために、自分の自由時間をどれだけサッカーのために使えるかということをお子さんと話をしてみるといいかもしれませんね。

そして、お父さん、お母さんも何か目標をたて、それに向かって努力をしましょう。親の背中は子どものお手本になります。

Profile

中澤佑二

中澤佑二

1978年2月25日生まれ。埼玉県出身。元サッカー日本代表。三輪野江小→吉川東中→三郷工業技術高→FCアメリカ(ブラジル)→ヴェルディ川崎→東京ヴェルディ1969→横浜F・マリノス。

2022年01月25日

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