ここ数年「食育」という言葉をよく耳にするようになり、幼児期の食育に興味があるママもいるのではないでしょうか。今回の記事では、保育園で行なわれている食育のねらいや、実際に行われている食育の事例をご紹介します。
保育所で行う食育において大きな目標とされているのは、将来的な「食を営む力」の育成に向けて基礎を培うことです。
厚生労働省が出している「保育所における食事の提供ガイドライン」では、保育所保育指針にある保育の目標を食育の観点から考え、実現を目指す5つの子ども像が設定されました。ここではその5つを簡単にご紹介します。
子どもが自然とお腹がすく感覚を持つために、昼食や夕食、おやつなどの食事時間を含んだ一日の保育内容について、家庭と連携しながら見直し・個別計画を実施。確立した生活リズムのなかで感じる空腹感や食欲を満たす、心地よいリズムを子どもに自ら獲得させることが目標です。
五感を豊かにする環境のなかで旬や季節を感じたり、行事食を通した日本文化にふれあったりするなかで、いろいろな食べ物への興味や関心を育てていくことを目標としています。そのなかで自分に必要な食べ物を食べる行為を引き出し、自然の恵みに対する感謝の気持ちも育んでいくことがねらいのようです。
保育所の特徴を活かして同年齢や異年齢の子ども、保育士などと一緒に食べる機会をつくり、みんなで食事を楽しむ場を設定。人とのかかわりのなかで愛情や信頼感が育まれ、「誰かと一緒に食べたい」と思える子どもに育つことを目標としています。
食物栽培や収穫体験が食べることやその他の保育活動につながるような、連続した学びの構成を計画。その学びのなかで食事づくりや準備が食べることにつながり、さらには生き続けられる喜びにつながることを子どもに自覚させるのがねらいのようです。
調理師や栄養士など食事を作る人を身近に感じられる工夫によって食事を作る場と食べる場をつなげ、食べ物を通した会話できる環境をつくることがねらい。また、子どもが主体的に食事とかかわる機会を設け、食べ物に関する言葉のやりとりが生まれるようにすることも目標とされています。
年齢に合わせて豊かな食の体験ができるよう、厚生労働省の「楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~」には、保育園の食育のねらいについてわかりやすくまとめられています。家庭での食育においても参考にするとよいかもしれません。ここではその内容を簡単に紹介します。
保育園で6カ月~2歳までの子どもに行う食育は、お腹が空いたら泣いたり喃語を話したりすることで乳や食べ物が欲しいことを伝え、乳や離乳食によってお腹を満たして心地よい生活を送れるようになることがねらいのようです。また、離乳食開始後はさまざまな食べ物に見たり触れたりといった経験を通して食べ物に関心を持ち、手や道具を使って自ら進んで食べようとする力をつけることも目標とされています。
2歳の子どもに対しては、さまざまな食べ物に関心を持って味わうというねらいに加えて、食生活に必要なうがいや手洗いなどの習慣や態度に関心を持つことも目的とされています。
また、一緒に食事をする人に関心を持ちながら誰かと共に食事をする楽しさや喜びを味わうことや、調理してくれる人に関心を持つようになるのもねらいのようです。
3歳児以上については「食と健康」「食と人間関係」「食と文化」「いのちの育ちと食」「料理と食」の5つの観点でねらいが設定されています。
「食と健康」では、食べ物と健康の関係に関心を持ち、栄養バランスを考えた食事を摂ろうとすること、食生活に必要な態度・習慣を身につけることがねらいです。
「食と人間関係」では、人と一緒に食べる喜びを味わいながら友だちと協力したり食の場を共有したりするなかで、愛情や信頼感を持つようになることがねらいとされています。
「食と文化」のねらいは、日本の食事や外国の食文化を通して文化を学び、郷土に関心を持つことと、食具の使い方や挨拶などの食習慣・食事マナーを身につけることです。
「いのちの育ちと食」では、栽培や収穫、飼育体験を通じて自然の恵みやいのちに感謝して食事を味わい、食材への感覚を豊かにすることがねらいとされています。
「料理と食」では、食材に興味を持ったり食べたいものを考えたりしながら調理を楽しんだり、ゆとりある雰囲気のなかで食事することがねらいのようです。
全国の保育園でさまざまな食育活動が行われています。そのなかで、ふたつの体験活動についてご紹介します。
田植えから稲刈り、季節の野菜作りなどさまざまな農業体験を行う食育の取り組みがあります。体験は子どもたちのみならず、保護者も交えて実施。地域を交えた活動として保護者と子どもたち、保育者が共に学び合う場になっています。収穫した作物は子どもたちが調理することで、野菜が苦手な子も自ら作ったものは食べる姿が見られたようです。
高校生と交流しながら農作業や収穫物加工などを体験する取り組みも。そのひとつとして、5歳児は味噌仕込みを体験。高校生に教えてもらいながら大豆の種まきから収穫、味噌への加工などを行っています。味噌が大豆の加工品であることや、味噌仕込みの工程で材料を混ぜる際は塩によって手にしみる感覚、仕込んだ味噌は一年後に味噌汁として味わえることなどを学んでいるようです。
保育園の食育は食事だけでなく、さまざまな活動につながることも大きなねらいになっているようです。事例を見ると、保育園の食育により子どもが食に興味・関心を持ち、人との信頼関係のなかで食事や調理を楽しむ姿が見られます。これから保育園を決めるママも、食育の観点から保育園を探してみるのもよいかもしれませんね。
※記事内で使用している参照内容は、2017年12月5日時点で作成した記事になります。
2017年12月06日
子どもが健やかな食生活を送るためには、ただ“食べる”のではなく、“食の知識”や、“何を食べるか”という選択する力を鍛えていかなければなりません。今回は、子どもの「食育」を学ぶ記事をKIDSNA編集部がセレクトしました。
予測不可能な時代のいま、これまでの子育てや教育方法、暮らしについて考えるママやパパに向けて、KIDSNA編集部が全国の書店とコラボを実施。「子どもの未来を考える本」として子どもの明るい成長にプラスとなるような本をセレクト。今回は親子のカラダのテーマより「食べない子が変わる魔法の言葉」をピックアップ。著者の山口健太さんのコメントを紹介します。
家庭菜園やガーデニングをいつかはやってみたい!あるいは、育たず枯れてしまった経験があって一歩踏み出せない方もいるかもしれません。今回は、保育園のトマト苗植え体験をレポートを通して、おいしい野菜を育てるポイントとともに、植物を育てる「植育」についてお伝えします。
アース製薬株式会社
PR
幼児期の子どもに食育の絵本を使ってみたい、と思うパパママもいるのではないでしょうか。食育と言っても何から始めればよいのか、なにを教えることが食育につながるのか、と考えるかもしれません。今回は年齢別に伝えたい食育の内容、また絵本を読むときのポイントについて紹介します。
子どものおやつにどのようなものを用意するとよいのか気になっているママもいるのではないでしょうか。今回の記事では、おやつの時間や量などの用意するときのポイントや、ママたちが手作りしたおやつ、子どもにおやつを用意するときに気をつけたいことを、ママたちの体験談を交えてご紹介します。
テレビや身近なところでよく耳にする食育。子どもの食育について、保育園や幼稚園の取り組み内容が気になるママやパパもいるかもしれません。今回は、食育のねらいや内容、保育園や幼稚園での食育への取り組み、家庭でできることについて、資料や体験談をもとにご紹介します。
子どもの食育を絵本ではじめたいと考えているママやパパもいるのではないでしょうか。乳幼児期の食育の絵本選びや読み聞かせの方法にも迷うかもしれません。今回の記事では、1歳児、2歳児頃からはじめられる絵本を通した食育や、3歳児、4歳児、5歳児など年齢にあわせた食育の絵本の選び方などを元保育士の筆者の経験からご紹介します。
食材の量や種類が豊富になった一方で、核家族や両親共働きの世帯が増えて、簡易な食事をとる傾向が強くなっています。乳幼児期の食事では、栄養面はもちろん、家族が料理する姿を見たり、家族で食卓を囲んだりすることも大切でしょう。子どもの食育の問題点と、企業の取り組みについて調べました。
食事マナーは子どもの頃から身につけておくことが大切でしょう。集団生活をするようになる3歳児から4歳、5歳の子ども、もうすぐ小学生になる6歳の子どもに焦点をあて、食事中のマナーやご飯の食べ方、お箸の使い方などマナーの教え方をご紹介します。
「食育」という言葉をよく聞くようになり、年間計画に基づいて取り組んでいる保育園もあります。保育園での食育の取り組みが話題になることもありますが、実際はどのような内容なのでしょうか?保育園で取り組んでいる事例も取り上げ、食育のねらい・マナー、家庭でもできる食育、食育につながる絵本を紹介します。