本による食育のねらい。保育園のマナー、取り組み内容や事例とは?

本による食育のねらい。保育園のマナー、取り組み内容や事例とは?

「食育」という言葉をよく聞くようになり、年間計画に基づいて取り組んでいる保育園もあります。保育園での食育の取り組みが話題になることもありますが、実際はどのような内容なのでしょうか?保育園で取り組んでいる事例も取り上げ、食育のねらい・マナー、家庭でもできる食育、食育につながる絵本を紹介します。

食育とはなに?

保育での食育は、「子どもが生活と遊びのなかで、意欲を持って食に関わる体験を積み重ね、食べることを楽しみ、食事を楽しみ合う子どもに成長していくことを期待するものであること」とあります。

具体的には、食材や食べることに興味を持つ、家族や友だちといっしょに食事を楽しむ、食生活の習慣やマナーを正しく身につける、健康的な食事を考えるのが大切ということです。

保育所保育指針解説書:厚生労働省 第5章 3.食育の推進 (1)食育の基本

食育のねらい

保育での食育の目指すところとして、「食育指針」の示す「食を営む力の基礎」を培う5つの子ども像があります。

厚生労働省:1 食育の原理  (1)食育の目標

1 お腹が空くリズムのもてる子ども


「食事をするのが楽しみ」、「食べたい」と思って「お腹空いたからご飯食べたい!」と言えることが大切です。

そのために、「食事・遊び・睡眠」の整った生活リズムが大事で、体を使って思いっきり遊び、十分な睡眠をとり、空腹を感じる生活を習慣づける必要があります。


2 食べたいもの、好きなものが増える子ども


新しい食材、あまり食べた経験のない料理も「食べてみたい!」と思い積極的に挑戦していけるようにし、子どもが挑戦する姿を認め、楽しい雰囲気で食事できるように配慮します。楽しく、おいしく食べるなかで食べものの幅を広げていけるようになるでしょう。


3 いっしょに食べたい人がいる子ども


食事は身体の栄養のみならず、心の栄養でもあると言われたりします。

孤食(1人で食事をする)だと食事の時間も楽しめず、おいしくなくなってしまいます。孤食にならず、家族や友だちなど身近な人を誘っていっしょに食べる、食事を楽しむ姿を定着させていくことです。


4 食事づくり、準備にかかわる子ども


ママが料理をしている姿に「自分もやってみたい」と子どもが料理に興味を持ったらできる範囲でかかわらせてみましょう。年齢が低いうちは野菜を洗ったり、混ぜたりする簡単なところから始め、できる内容が増えたら子どもに任せてつくると子どもの自信や自立にもつながっていくでしょう。

上手にやるのではなく、やってみたいと思う意欲を大切にするのが大切です。


5 食べ物を話題にする子ども


「この野菜なんて言うの?」や「この料理はどうやって作ってるの?」と食材や調理など食への関心を高めるのも食育です。

料理を食べて、「おいしかった!」と終わらず、料理が食卓に並ぶまでにどのような過程があるのかに興味をもっていけるような意識づけが必要です。

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保育園での食育の取り組み

菜園 女の子

野菜を育てる

野菜を種や苗から植えるのは、野菜がどのようにできているのかを知ることができます。

筆者の勤めていた園では、夏にナス、トマト、ピーマン、きゅうりなどの夏野菜、冬には大根、かぶ、白菜、ブロッコリーなどの冬野菜と季節の野菜を植えて、日々水やりや雑草を抜いたり、成長を観察しながら世話をしていました。

育てる野菜は、夏に育つ野菜(夏野菜)、冬に育つ野菜(冬野菜)と季節も意識して図鑑や資料も参考にしながら子どもと相談して決めていました。

種だったものから芽が出て花や実をつけて野菜の形になっていくのは不思議な体験のようで、毎日畑を見に行って「実が2個になったよ!」「きゅうりの形になってきた!」と成長を楽しみに育てていました。


収穫・調理・食べる

野菜が育ったら、収穫をし、調理しておいしく食べます。

縦割りの保育園では、3歳が野菜を洗う、4歳が畑から収穫する、5歳が野菜を切って調理し、収穫したトマト、ナス、ピーマンを餃子の皮にのせて1人1つ夏野菜ピザを作ったりもしているそうです。

苦手で食べられなかった野菜も自分で育てたり、調理したら「おいしいかも」と食べられるようになる子もたくさんいました。


ある保育園の食育・年間予定

年間計画で月に1度食育の日が決まっていて、週1で栄養士さんも含めて話し合いをし、食育の日やメニューを考えている保育園もあるようです。

食育の日は、流しそうめんやカレー、夏野菜ピザなど季節を考えたメニューを園全体でつくったり、食べることを楽しみます。


食育につながる絵本

絵本でも食育を伝えられます。


・食べ物が出てくる絵本

・野菜がつくられる過程が分かる絵本

・野菜が身体に良い、健康のために必要と伝えてくれる絵本

・料理する場面や過程がお話に出てきて食べるのが楽しい、おいしそうと興味を持てる絵本


食べ物は時間や手間がかかってできているということを知ると、食べ物を大切にするようになるでしょう。

家庭でできる食育

みんなでご飯を食べる

夜ご飯など時間が合うときは家族そろってご飯を食べるようにしましょう。

食事のときに、「みんなで食べるとおいしいね」、「楽しいね」と感じながら食べるのが大事です。会話をしながら食べるとコミュニケーションもとれます。


3食食べる習慣をつける

食事は健康やエネルギーにつながります。朝はあまり食欲がないや時間がなくて朝ごはんを抜いてしまう子どももいるようですが、朝ごはんが1日のエネルギーになるのでしっかり3食食べる習慣をつけましょう。

5歳くらいになったら、魚や肉が筋肉をつくる、バナナやヨーグルトが骨や歯をつくる、ご飯が元気に動くためのエネルギーになると食事が体つくりにつながっていくと伝えるのも良いですね。


お手伝いをする

調理の手伝いをすると、料理をつくる楽しさを感じられます。自分がつくったご飯は特においしく感じ、苦手なものも食べられるようになるかもしれないですよ。

食育が子どもの身体・心を育てる

食事する女の子

食育のねらいはたくさんありますが、幼児期の食育は基本的なマナーを知る、食に興味を持つ、おいしく食べることが最も大事でしょう。

保育園での年間計画や取り組み、事例を知るなかで家庭でもできる内容をできる範囲で取り入れてみてはいかがですか。食育を意識していくことが子どもの身体づくりにもつながっていくと思います。

2017.08.30

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