【第2回】お受験する・しない。小学校を受験したら、中学受験でも有利?

【第2回】お受験する・しない。小学校を受験したら、中学受験でも有利?

40年間中学受験に関わる西村則康先生に、前回は「小学校お受験する理由」について考えていただきました。続編である今回は、子どもの将来に役に立つ小学校の選び方や、私立の小学校で得られることを教えていただきました。

「お受験」組は中学受験で有利?

前回の記事では、小学校受験をする理由やご家庭の考え方についてお届けしました。

【第1回】お受験する・しない。「小学校の選び方」は中学受験に影響するのか

今回は、将来的に中学受験を考えているなら「お受験」させたほうが有利なのかについて考えてみます。


そのほうが有利なのかというと、そう単純ではないとも思っています。


それは、中学受験の勉強は小学校の勉強とかけ離れているからです。

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私立小学校に通うお子さんでも、中学受験をするなら結局は塾通いをしているケースが多いのです。

「中学受験の勉強は塾」が大半



お通いの小学校が私立や国立にせよ公立にせよ、中学受験の勉強は塾でというご家庭が大半だということです。

小学校4年生から塾通いをさせるとして、それまでに基礎学力をつける期間は小学校やご家庭がその役割を、そして中学受験の勉強が本格的に始まったら、受験勉強の担当は進学塾が担うという考え方ですね。


つまり、私立小学校にお子さんを通わせるということと、将来中学受験させる準備ということは、ある程度切り離して考えるのが自然なのです。


その前提で、お⼦さんに⼩学校受験をさせて私⽴や国⽴中学校に通わせることと将来の中学受験に関して、私が経験的に気づいた関連性は、


私⽴⼩学校に通う⼦どもたちは、平均的に「勉強への姿勢」ができている


ということです。

⽂科省の「指導要項」による教育

⼩学校で習う勉強の内容に関して、公⽴だから私⽴よりも⼤きく遅れているとか、不利といったことはありません。

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なぜなら、学校ごとの建学の精神や教育⽅針の違いはありますが、⽂部科学省で指定された指導要領をベースにした授業は⾏われるはずであり、それは⼦どもの年齢ごとの発達に合わせ、⾮常によく考えられたものだからです。


円滑に、滞りなく授業が⾏われてクラスが運営されれば、⼩学⽣がつけるべき基礎学⼒をクラスの⼦どもたちはつけられるはずです。


しかし、公⽴⼩学校に通っているお⼦さん、親御さんに話を伺うと「とても先⽣は熱⼼だし、クラスの雰囲気も良くて、とても充実しています」と⾔う⽅もいれば、「クラスでいつも私語ばかりしている⼦がいて、先⽣もときどき注意するようですが全く聞かなくて。授業が成り⽴っていません」と⾔う⽅もいます。

つまり、公⽴⼩学校の宿命とはいえ、勉強の姿勢がきちんとついたお⼦さんから、まったく「座って話を聞く」という習慣がないお⼦さんまでの混成クラスでは、基礎学⼒をつけるための授業そのものが成り⽴ちにくい場合があるということです。

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私⽴⼩学校で得られるもの

⼀⽅、私⽴⼩学校にお⼦さんを通わせる親御さんに話を聞いても、学校や先⽣に関する不満は⼝にされることはあります。しかし、それも織り込み済みで⼊学を決意されたようなところがあります。

そして⼤きいのは「学校では授業を聞き、勉強はしなければならないものだ」という姿勢を持った⼦が結果的に揃っているということ。

⼩学校受験をさせるご家庭の親御さんは、この環境を⼿に⼊れるために「お受験」と揶揄されるような受験をあえてお⼦さんにさせているともいえます。

「受験するのが当たり前」の環境

あるとき、ある⼥の⼦が私に⼩声でこんなことを聞いてきました。

「先⽣、試験を受けなくても⼊れる学校があるって知ってた︖」

学年のほぼ全⽣徒が中学受験をするという私⽴⼩学校に通う、4年⽣の⼦です。

この⼦は⼩学校に試験を受けて⼊ったので「学校というのは試験を受けて⼊るものだ」「試験を受けるためには勉強しなければならない」とごく⾃然に考えているのです。

そんなお⼦さんが多く通っている環境を、⼩学校受験を検討する親御さんたちは求めているのだろうと思います。

「学校公開」に出かけてみましょう

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はじめに述べたように、私は⼩学校受験に全⾯的に賛成、あるいは反対というわけではありません。しかし、中学受験をする、しないに関わらず、お⼦さんには良好な学習環境を⽤意してあげたいですね。

そのためにも、就学予定の公⽴⼩学校の「学校公開」に出かけてみてはどうでしょうか(多くの⼩学校が設定しています)。

そこで「ふつうに進学すればどんな⼩学校⽣活が待っているか」を経験してみるのがよいかもしれません。それが満⾜いくものであればそれでよし、不安があるなら取れる対策はあります。

まずはお⼦さんが年⻑さんくらいになるまでに、⾏動を起こしてみましょう。


執筆:西村則康

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