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【産婦人科医監修】妊娠36週目(妊娠10ヶ月)臨月に入った妊婦さんと赤ちゃんの様子
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田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
妊娠36週は臨月です。いよいよ出産が近づいてきています。この時期の出血はおしるしで出産の兆候かもしれません。妊娠36週の妊婦さんの体調の変化や、ママの過ごし方、赤ちゃんの様子を医学博士で産婦人科医、田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生監修のもと解説します。
妊娠週数36週目とはどんな時期?
妊娠36週目は、妊娠10ヶ月の1週目です。臨月の始まりです。
妊娠36週目の妊婦さんの特徴
臨月に入った妊娠36週目の妊婦さんについて詳しく見ていきましょう。
お腹の大きさ
妊娠36週ころの妊婦さんのお腹の大きさは、スイカ1個分くらいまで成長します。みぞおちまで達していた子宮がだんだんと下がってきます。
妊娠36週目の妊婦さんの身体
臨月を迎えると、体内の水分量が増えたり、子宮がより大きくなることで血流が悪くなるため、むくみやすくなります。子宮が徐々に下がってくるので肺や心臓の圧迫が解消され、動悸や胸やけや吐き気などのあとつわりの症状が軽減されます。胃腸の圧迫が減ると食欲が戻ってきます。
食欲が戻ることで、体重が増加しがちになりますが、急激な体重増加は妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群になる可能性があるため、注意が必要です。1週間で300~500gの体重増加を目安にしましょう。
赤ちゃんの頭が下がり膀胱が圧迫されるため、下腹部痛や頻尿や尿漏れ、残尿感の症状が強くなります。また、恥骨付近が圧迫されて恥骨痛や足の付け根に痛みが出る人もいるようです。
お腹が大きくなると寝づらくなったり、頻尿で十分に睡眠がとれず、日中眠いと思うことが増える人もいるようです。ホルモンの影響もあり、十分な睡眠をとっても眠いと感じることもあるでしょう。
お腹の重みや大きさからくるお腹の張りや痛みを不規則に何度も感じることがあります。この時期は、前駆陣痛が起こりやすくなります。ホルモンの影響で骨盤の関節が緩み、赤ちゃんが産道を通りやすいようにやわらかくなり、前駆陣痛やおしるし、破水などの出産の兆候が起こる時期です。
妊娠36週目の赤ちゃん
赤ちゃんの身体
妊娠36週の赤ちゃんの身長は、43~49㎝程度です。赤ちゃんの体重は、2000gから3000g程度と個人差があります。
胎脂や胎毛が少なくなり、皮下脂肪が蓄えられて、新生児らしい外見になってきます。
妊娠36週の赤ちゃんの身長は、43~49㎝程度です。赤ちゃんの体重は、2000gから3000g程度と個人差があります。
胎脂や胎毛が少なくなり、皮下脂肪が蓄えられて、新生児らしい外見になってきます。
胎内での様子
赤ちゃんが成長して子宮に自由に動けるスペースがなくなります。お腹のなかの赤ちゃんが大きくなり、お腹のなかでの赤ちゃんの頭の位置が定まってきます。そのため、胎動を感じにくくなった、胎動の感じ方や位置がこのころ変わったというママが少なくありません。この時期に胎動が減っても問題がないことが多いのですが、心配な場合はかかりつけ医に相談しましょう。
赤ちゃんは妊娠36週になるとお腹の外でも生きていけるようにすべての器官が完成します。超音波(エコー)検査では、歩くようなしぐさの「自動歩行反射」や、光に反応する「定位反応」が見られることがありますよ。
妊娠36週目のうちにやっておきたいこと
妊婦健診が週1になる
臨月を迎えると、いつ出産のときを迎えてもおかしくありません。そのため母体の状態を確認する妊婦健診が週1回になります。まだ子宮口が開いている人は少ないようですが、妊娠36週になると子宮口が開き始める人もいるため、健診では子宮口の確認をすることがあります。
ほかにも、ノンストレステスト(NST)という検査で、妊婦さんのお腹に器具をつけて赤ちゃんの心拍数や胎動、子宮収縮などを確認します。赤ちゃんはお腹のなかで、寝たり起きたりを繰り返しているため、心拍数を測るのに時間がかかる場合があります。
血圧、尿蛋白検査を行い、妊娠高血圧症候群にかかっていないかの兆候を知ることもこの時期大切です。
おっぱいマッサージを始める
産後に母乳が出なくて悩むママも多いようですが、母乳マッサージをしておくと産後の母乳育児がスムーズに進むかもしれません。
乳頭や乳輪がかたいと赤ちゃんが吸いづらいのでおっぱいマッサージで柔らかくしておきます。強い力ではなく、優しくマッサージすることがポイントです。しかし、乳頭を刺激すると子宮の収縮が促されるため、お腹の張りを感じている場合は無理に母乳マッサージをせず、かかりつけ医に相談しながら行うようにしましょう。
出産準備と心構えを
妊娠36週はまだ正産期ではないため、この時期に産むことになると早産になります。しかし、出産は着々と近づいています。臨月に入ったら、すぐに病院に行けるようにタクシーの予約をしたり、どのように病院に行くか複数方法を考えておくとよいでしょう。
また前駆陣痛やおしるしの出血など出産が近づいている兆候がいつ表れるかわからないため、外出時は母子手帳を必ず持参し、破水をしたとき用にバスタオルを携帯しておくと安心です。
また、妊娠36週は入院、退院のときに必要な育児グッズを揃えて、新生児のベビー服を水通しをしておくとよい時期です。水通しとは、赤ちゃんが洋服を着る前に1度洗濯をしておくことです。水通しをすることで、洋服の表面ののりが取れて生地が柔らかくなって着せやすくなったり、赤ちゃんへの刺激が軽減される効果があります。
妊娠36週目の妊婦さんが注意すること
前駆陣痛と陣痛を見極める
妊娠後期になると、前駆陣痛が起こりやすくなります。前駆陣痛は生理痛のような鈍痛で、痛みの間隔が不規則で、痛みに強弱があるのが特徴です。腰痛や下腹部痛など症状は人それぞれです。
前駆陣痛がきても、すぐに出産になるわけではないので焦らずに、横になったり楽な姿勢で休みましょう。前駆陣痛は、本陣痛と違って休むと落ち着いてきます。不規則だった痛みが規則正しくなり、痛みの間隔がそろってきたら本陣痛になります。痛みと痛みの間が10分を切ったら病院に連絡をしましょう。
おしるしは出産の兆候
妊娠36週をすぎて出血があるときはおしるしかもしれません。
妊娠10ヶ月になると、前駆陣痛や破水、おしるしがきてもおかしくない時期になります。おしるしは、血の混じったおりもののことで、赤ちゃんに会える時が近いという合図です。
おしるしの出血の量は、下着に少量つく人や少量すぎて気づかない人など人それぞれ個人差があります。人によって茶色っぽく見える場合もありますが、おしるしかもしれないと思う出血があっときには病院でみてもらうようにしましょう。
体重増加に注意
あとつわりが軽減され、食欲が戻ることで食べ過ぎて体重増加につながる妊婦さんも多いようです。妊娠36週のときは、1週間で0.5㎏以下の体重増加が目安です。
食べ物は、大根やごぼう、キノコ類やバナナなどの食物繊維の多い食べ物や、チーズや小松菜、卵や大豆などの鉄分やカルシウムを積極的にとるとよいでしょう。食べ過ぎに注意し、食べ物の質や量を考えて体重管理をすることが大切です。
この時期のママの過ごし方
妊娠36週目は臨月に入り、健診の回数や検査の種類が増え、いよいよ出産が近づいていると感じるママが多いでしょう。妊娠36週、赤ちゃんに会える日は着実に近づいていて、赤ちゃんはお腹の外でも生きていけるくらい内臓機能などが発達したり、皮下脂肪がついてきています。
胎動の感じ方が変わったり、おなかが大きくなり以前より少し下がった、と感じる人も少なくありません。後つわりの症状がおさまって食欲が増す人も増えます。この時期は食べ物の質や摂取量に注意をして体重をコントロールすることが大事です。
臨月に入ると、子宮口が開いてくる人もいたり、前駆陣痛やおしるしの出血など出産が近づいている兆候がいつ表れてもおかしくありません。前駆陣痛と本陣痛の違いやおしるしの症状を知っておくと落ち着いて対応できるかもしれません。
おっぱいマッサージをしたり、生まれてから赤ちゃんが着る洋服の準備などをしながら赤ちゃんに会える日を待ちましょう。
気になることは週に一度になった健診のときに医師や助産師に相談し、安心して出産に望めるとよいですね。
監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
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杉山太朗
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。