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【産婦人科医監修】妊娠35週目(妊娠9ヶ月)を迎えた妊婦さんと赤ちゃんの様子
胎動がへる?赤ちゃんの体重やママのお腹の張り
Profile
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
妊娠9ヶ月の妊娠35週目は、胎動が少ないと感じる人もいるようです。しかし、お腹のなかの赤ちゃんは器官もほぼ完成し、生まれてくる準備を着々としています。妊娠35週の妊婦さんの体調の変化や、赤ちゃんの様子を医学博士で産婦人科医、田園調布オリーブレディースクリニック院長の杉山太朗先生監修のもと解説します。
妊娠週数35週目とはどんな時期?
妊娠35週は週数でいうと、妊娠9ヶ月の4週目で、妊娠9ヶ月の最後の週です。来週からはいよいよ臨月ですね。
妊娠35週目の妊婦さんの特徴
妊娠9ヶ月である妊娠35週目の妊婦さんについて詳しく見ていきましょう。
体調
子宮がさらに大きくなり、胃が押し上げられて、おさまったつわりが再び始まったかのように吐き気や嘔吐などの症状が出る場合があります。食後に気持ちが悪くなる人もいるようです。
女性ホルモンの分泌が盛んになり、ホルモンバランスが崩れるためイライラしたり、情緒が不安定になる妊婦さんも増えます。
血液量が増えますが、赤ちゃんに優先的に血液が送られるため、ママは立ちくらみやめまいなどの貧血症状が見られます。この時期に前駆陣痛が起こる人もいます。
お腹の大きさ
妊娠9ヶ月になると、子宮底はみぞおちまで達します。靴紐を結んだり、足の爪を切ったりすることが難しくなるくらいお腹が大きくなります。
妊娠35週目の妊婦さんの身体
お腹が大きくなると背骨が大分反り返り、背中に痛みが出たり、腰痛がひどくなる時期です。身体を支えようとして足に負担がかかり、足がつったり、足の付け根が痛んだり、むくみが悪化する妊婦さんもいるようです。
また、体重が増えると少し身体を動かしただけで疲れが蓄積されます。疲れが溜まるとお腹が張りやすくなります。ほかにも、子宮が大きくなると膀胱が圧迫されて頻尿になったり、肺や心臓も圧迫されることで動悸、息切れを感じやすくなるなどの身体の変化がでてきます。
子宮が大きくなって胃が圧迫され、あとづわりのような症状が出る人もいる一方で、子宮が赤ちゃんの重みで下がるので、食欲が戻り、体重が増加する人もいます。
母乳準備のために分泌物がおっぱいにたまり胸の張りを感じたり、出産に向けて子宮口が柔らかくなっているので、腟が緩んでおりものの量が増える人がいます。妊娠35週は、座っている状態が続くので痔になる人もいます。
妊娠35週目の赤ちゃん
赤ちゃんの身体
妊娠35週の赤ちゃんの身長は、42~48㎝程度です。
妊娠35週ころは、体重2000g程度の赤ちゃんもいれば、2500gを超えている赤ちゃんもいて体重に個人差があります。
赤ちゃんの身体に筋肉がつきます。体脂肪が増え、顔のしわも少なくなるので赤ちゃんらしい顔つきになります。妊娠35週ごろは一般的に3D、4Ⅾエコーをするには赤ちゃんが大きくなりすぎて、うつりづらく適さないといわれていますが、もし超音波(エコー)検査で赤ちゃんの向きがよければ、赤ちゃんらしいかわいい顔が見られるでしょう。
胎毛がなくなり、胎脂が赤ちゃんの身体を覆うようになります。妊娠35週ごろに髪の毛が伸びてくる赤ちゃんもいます。手首や足首にくびれができ、爪も伸びてくる時期です。
胎内での様子
脳神経の発達が進み、この時期の赤ちゃんは生まれても大丈夫なようにほとんどの器官が完成し、肺呼吸ができるようになります。この胎内で肺呼吸の練習を行うため、胎児、赤ちゃんはしゃっくりをすると一説ではいわれています。妊娠後期の妊娠35週目ともなると、ほとんどの妊婦さんは赤ちゃんのしゃっくりに気づくようになります。
お腹のなかの赤ちゃんが大きくなり、お腹の中で動くスペースが狭くなる妊娠35週は、胎動が今までより少ないと感じるママも増えるようです。多くのケースは心配ないのですが、胎動が少ない、全く感じられないなど気になる場合は病院に行きましょう。
妊娠35週目のうちにやっておきたいこと
出産準備
産院や出産方法によって違いがでてきますが、妊娠35週になったら出産費用を調べて用意しておきましょう。ほとんどの産院が出産育児一時金と、入院、分娩にかかる費用を相殺できる形式の支払い方法をとっています。差額がいくらくらいになるか確認をしておけると安心ですね。
また、帝王切開予定の妊婦さんは加入している任意医療保険があれば、帝王切開手術も保障されているのか、いくらくらい保険金が受け取れるかも調べて必要書類を取り寄せておきましょう。
産気づいたときに産院まで誰に送ってもらうか、出産タクシーの予約もしておくなど、出産時の具体的な移動方法を決めておくと陣痛や破水がきたときにも安心ですね。
バースプランの計画
バースプランとは、出産から退院するまでの間をどのように過ごしたいかの出産計画のことです。産院によっては、妊娠35週くらいのときにバースプランの提出をするところもあるようです。
バースプランの内容は、普通分娩や無痛分娩など、どのような分娩方法にするかや、立ち会い出産の希望、胎盤を見たい、好きな音楽をかけてほしいなど人それぞれあるでしょう。
全ての希望が通るのは難しいかもしれませんが、希望することはなるべく詳しくしっかり書くとよいでしょう。
内祝いの準備
赤ちゃんが生まれると親戚や友だちからお祝いの品をもらう人も多いでしょう。出産直後のママは赤ちゃんのお世話や体調などで思うように動けないこともあるので、事前に内祝いの準備をしておくとよいかもしれません。
品物をある程度決めておくと、パパや家族に頼むこともできるでしょう。自分で買いに行くのが難しい場合は、ネット注文を利用することを考えてもよいですね。
妊娠35週目の妊婦さんが注意すること
前駆陣痛への心づもり
早い人だとこの時期に前駆陣痛が起こる人がいます。前駆陣痛とは、本陣痛のための準備のようなもので、お腹が張って痛くなります。前駆陣痛は、間隔が不規則に起こり、痛みが強くなったり弱くなったり安定しないことが特徴です。
規則的な痛みがきたり、少しでもいつもと違う様子が見られたときや、破水をしたらすぐに病院に行きましょう。
里帰りは今週中に
とくに飛行機での移動の場合、妊娠週数によっては書類の提出が必要になります。妊娠36週を過ぎると医師の診断書、妊娠38週を過ぎると産婦人科医の同伴が必要になります。里帰り出産を考えている人は、赤ちゃんと母体の影響を考えて妊娠35週までに移動をしましょう。
赤ちゃんは予定日に確実に生まれるわけではありません。また、臨月になると体調が安定しないため、ママの安全のためにも妊娠35週までに里帰りをすませましょう。
あとつわり対策
お腹が大きくなって胃が押し上げられることで、つわりのような症状が再び出る場合があります。食事中や食後に気持ちが悪くなったら、食べる量を減らして食事の回数を増やしてみましょう。
外出時は急な受診や破水に備えて
妊娠35週目は、臨月目前で、いつ陣痛や破水が起こるかわかりません。妊娠9ヶ月入るころにはいつでも出産の準備ができるように入院、出産に必要なものを揃えておくと安心です。
また急に破水をしたり、産院に行くこともあり得るので、外出時は母子手帳、健康保険証と破水したとき用にバスタオルを持ち歩くようにしましょう。
具体的な出産準備を進める時期
妊娠9ヶ月である妊娠35週になると、お腹が大分大きくなり、日常生活で今までスムーズに出来ていたことができなくなる時期です。
お腹のなかの赤ちゃんが大きくなるため、胎動が今までより少ないと感じるママも多いようですが、明らかに胎動が減ったり、気になる症状があるときは病院でみてもらいましょう。
この時期は、いつどのような症状が表れてもよいように、入院や出産の準備をしておくこと、外出時は母子手帳を必ず持ち歩くことが大切です。
もうすぐ臨月で、赤ちゃんに会えるまであと少しです。内祝いの準備や具体的なバースプランを考えていると、赤ちゃんの誕生がより実感できて楽しみが増しますよね。
監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
Profile
杉山太朗
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。