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【産婦人科医監修】妊娠超初期の飛行機はご法度?旅行の可否や影響
妊娠に気づかず搭乗した場合の対処など
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田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
妊娠超初期は、お腹もまだそれほど目立たず動きやすいため、旅行を計画する人もいるかもしれません。妊娠超初期の飛行機の利用はお腹の赤ちゃんにどのような影響があるのでしょうか。妊娠中に飛行機に乗る際の注意点や妊娠に気づかずに飛行機に乗ってしまったときの対処法についてご紹介します。
妊娠超初期や初期の飛行機について
妊娠してからも仕事や帰省、旅行などで飛行機に乗る機会がある人もいるでしょう。なかには妊娠に気づかずに旅行に行っていたという人もいるかもしれません。
妊娠超初期の飛行機の利用はお腹のなかの赤ちゃんに影響はあるのでしょうか。
妊娠超初期に飛行機に乗る場合の制限はある?
国内線の飛行機会社では、妊婦さんが飛行機に乗るときに以下の搭乗規定があります。
- 出産予定日の28日以内に飛行機に乗るときには医師の診断書や同意書の手続きが必要
- 国内線では、出産予定日の7日以内の場合は、医師の同伴が必要
- 国際線では、出産予定日の14日以内の場合は産科医の同伴が必須
妊娠後期になると、飛行機を利用する際に細かい規定がありますが、妊娠超初期や妊娠初期には特に規定ありません。
しかし、妊娠超初期や妊娠初期は胎盤が未完成で赤ちゃんが不安定な状態です。体調が変わりやすく、流産を引き起こす可能性もあるため妊娠中の飛行機の利用には注意が必要です。
妊娠超初期に飛行機に乗るときに気をつけること
妊娠超初期や妊娠初期に飛行機を利用する場合、配慮が必要です。
体調が安定しない
飛行機は離陸と着陸時に気圧や酸素濃度の低下が起こります。気圧の変化や酸素濃度の低下によって耳鳴りや頭痛が起こる場合があります。
特に妊娠超初期や妊娠初期のときは、頭痛を感じやすく、貧血症状が起こって体調が悪くなることがあるので注意が必要です。
エコノミークラス症候群
長時間飛行機に乗ると同じ姿勢で座っている時間が長くなり、血流が悪くなります。血管のなかで血液のかたまりができて血管が詰まってしまうエコノミークラス症候群という病気があります。
妊娠すると、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量や血液量が増えることなどから血液がかたまりやすく、血栓ができやすくなります。血栓ができて肺の血管につまると胸の痛みを感じたり、呼吸困難に陥る可能性もあります。妊婦さんは血流が悪くなりやすいため、エコノミークラス症候群にならないように特に注意しましょう。
つわりが悪化する場合がある
飛行機は乗っているときには窓を開けられないため、風通しが悪くなります。においに敏感になりやすい妊婦さんは、飛行機のにおいや多くの人が乗っている飛行機のにおいに吐き気を感じる人もいるかもしれません。
密閉された飛行機の空間は、つわりの症状が悪化する可能性があります。
脱水症状
妊婦さんは、出先や乗り物のなかではトイレが近くなるからと水分を控えようとする人もいるかもしれませんが、定期的に水分をとらないと脱水症状になる可能性があります。
血栓ができるのを予防することにもなるので、水分をこまめに摂って、トイレにも行きたいときには行くようにしましょう。
リラックスできる服装を選ぶ
飛行機は、長時間同じ姿勢で座っているため、洋服はゆとりがあってリラックスできるものを選びましょう。
機内の空調が寒い場合も考えられるため、体温調整ができるようにカーディガンなどの羽織物を用意しておくとよいです。
妊娠に気づかずに飛行機に乗ってしまった場合の対処法
妊娠超初期は、妊娠に気づかずに飛行機に乗ってしまい、あとから妊娠していたことに気づいて胎児に影響がないか不安に思う人もいるかもしれません。
妊婦健診で問題がなければ、心配ないですが、気になることがあれば医師に相談することが大事です。
妊娠超初期に飛行機に乗った場合、放射線の影響で流産しやすくなるか
飛行機は放射線を浴びる量が多くなります。国際線は国内線と比べると飛行機に乗る時間が長くなる場合が多いため、浴びる放射線の量が増えるといわれています。赤ちゃんは、大人と比べると放射線を受けやすいといわれていますが、飛行機に乗ったときに浴びる放射線はお腹のなかの赤ちゃんに影響を与える量ではないといわれています。
妊娠初期の被ばくは50mSv(ミリシーベルト)未満であれば胎児の奇形発生率に影響しないと言われています。
年間800~900時間程度勤務する平均的な航空会社の勤務体制では、年間2~3mSv(ミリシーベルト)程度なので、飛行機に乗ることによる胎児への影響は考えにくいといえます。
妊娠超初期は十分な対策をして飛行機を利用しよう
妊娠超初期や妊娠初期はまだお腹もそれほど大きくないため、旅行や帰省などで飛行機を使ってもよいのか考えるママもいるでしょう。
妊娠超初期に飛行機に乗ってはいけないという規定はありませんが、妊娠超初期や妊娠初期は胎盤がまだ十分に出来上がっていないため赤ちゃんも不安定です。ママもつわりが悪化したり、体調を崩しやすい時期でもあります。妊婦さんはエコノミークラス症候群にもかかりやすいため、妊娠超初期での飛行機の利用はなるべく控えた方がよいでしょう。
仕事や帰省などでどうしても飛行機に乗る場合には、リラックスできる余裕のある洋服で、こまめな水分補給を心がけて脱水症状にならないようにしましょう。妊婦さんは身体を冷やさないように上着を多めに持って行ったり、飛行機の中の冷え対策もしっかりしましょう。
妊娠に気づかずに飛行機に乗っていた場合は、その後の妊婦健診で異常がなければ心配ないですが、気になることがあれば医師に相談することが大切です。
監修:杉山 太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
Profile
杉山太朗
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。