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【産婦人科医監修】妊娠中の肌荒れがひどい。いつからいつまで続くのか
妊娠中の肌荒れ対策と受診する病院について
Profile
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。
妊娠してから肌荒れがひどいと感じるようになった人はいるのではないでしょうか。肌荒れは妊娠の初期症状として現れやすい症状の一つです。妊娠中の肌荒れはいつから始まっていつまで続くのでしょうか。妊娠中の肌荒れの症状と原因、何科を受診したらよいのかについて解説します。
妊娠の肌荒れ症状
妊娠してから肌荒れがひどいと肌トラブルに悩んでいる人は少なくないでしょう。妊娠中の肌荒れにはどのような症状が見られるでしょうか。
- ニキビ
- 吹き出物
- 肌のかゆみ
- カサカサになる
- シミ
- そばかす
- 湿疹
- くすみ
妊娠中に増えるホルモン「プロゲステロン」には、シミのもとになる色素細胞を活性化させてメラニンを作り出す働きがあります。メラニンが増えるとシミやそばかすができやすくなります。
妊娠中はアゴや口周り、頬、鼻の頭、生え際などにニキビや吹き出物が特に出やすくなります。顔だけではなく、腕や背中などの全身に症状が出る人もいます。
また、男性ホルモンにはニキビを増やしたり、体毛を濃くしたりする作用があるといわれていることから、ニキビが増えたり、肌荒れがひどいと産まれてくる赤ちゃんの性別は男の子などといわれていることもあるようですが、肌荒れが赤ちゃんの性別を見分ける医学的な根拠はありません。
妊娠による肌荒れの原因
妊娠中に肌荒れが起こる原因は以下のようなことが考えられます。
ホルモンバランスの変化
妊娠初期には女性ホルモン「プロゲステロン」が大量に分泌されます。「プロゲステロン」は、皮脂分泌を活発にするため、脂っぽさを感じたり、にきびや吹き出物ができやすくなります。
栄養バランスの偏り・水分不足
妊娠初期につわりがひどいと食事をとれなくなったり、同じものばかり食べて栄養バランスが偏る妊婦さんもいるでしょう。
また妊娠中は、羊水や胎盤など多くの水分が必要になります。普段通りの水分補給では体内の水分不足になります。
栄養や水分不足は乾燥や肌荒れにつながります。
睡眠不足
つわりや体調不良で夜に寝られず睡眠不足になる妊婦さんは少なくないでしょう。睡眠不足が続くと、成長ホルモンの分泌が抑えられます。
成長ホルモンには、皮膚の再生や修復、新陳代謝を促進する働きがあり、成長ホルモンの分泌量は睡眠中に増えます。
睡眠不足は、肌をきれいに保つ成長ホルモンが抑制されて、免疫力も低下するため肌荒れになりやすいです。
便秘
妊娠すると増える女性ホルモンのプロゲステロンには、胃腸などの消化器官の動きを鈍らせる働きがあるため、妊娠中は便秘になりやすくなります。
便秘で体内に老廃物が溜まった状態は肌荒れの原因になります。
ストレス
妊娠中はホルモンバランスが崩れて自律神経が乱れやすくなります。妊娠中イライラしやすくなるのはこのためです。
また、日々変わる体調や出産に対する不安などからストレスを感じる人多いでしょう。
ストレスで肌荒れが症状として現われる場合があります。
肌荒れはいつからいつまで続く?
肌荒れの症状はつわりやホルモン分泌が増える関係で、妊娠初期の時期に特に感じやすくなります。
胎盤が完成する妊娠中期頃になると、女性ホルモンの「プロゲステロン」の分泌が妊娠初期と比べて安定してくるので、肌荒れや赤み、かゆみなどの乾燥症状が落ち着いてくる人もいるようです。
しかし、つわりやホルモン分泌には個人差があるため、出産が終わるまで肌荒れを感じる人もいます。
肌荒れがいつから始まっていつ治るかについては妊婦さんによって違いがあるため、一様にはいえません。
妊娠中の肌荒れは何科を受診する?
妊娠中の肌荒れは、妊婦健診で相談するとよいでしょう。
かゆみや赤みがひどいときや症状がだんだん悪化してくる場合は、我慢せず早めに受診しましょう。
症状によって肌トラブルの専門家である皮膚科を紹介されることがあります。
ひどいかゆみや赤み、乾燥に市販薬を使いたくなるかもしれませんが、市販薬には妊娠中には控えた方がよい成分が含まれている場合があるため自己判断では使わず、受診することが大事です。
肌荒れ対策
妊娠中にできる肌荒れ対策にはどのようなことがあるでしょうか。
乾燥を防ぐ
乾燥は肌荒れの原因になるため、肌を乾燥させないように保湿することが大切です。妊娠して肌質が変わる人もいるため、スキンケアを見直すよい機会です。香料や防腐剤が含まれている化粧品は控えて自分に合った化粧品とスキンケアが重要です。
また、室内の乾燥を防ぐため加湿器を使用したり、洗濯物を室内干しにしたり、濡れたタオルを室内に干すこともよいでしょう。
水分補給
妊娠中は、お腹の赤ちゃんの成長に必要な血液や羊水などを作るために、普段より意識して水分を摂る必要があります。
また、つわりの吐き気や嘔吐で体内の水分が不足すると口の中が乾いたり、肌が乾燥しやすくなります。
こまめな水分補給を心がけましょう。
睡眠を十分とる
肌をきれいに保つために必要な成長ホルモンは寝ている間に特に多く分泌されるため、睡眠をしっかりとるようにしましょう。
睡眠がとれていないと疲労感を感じやすくなったり、自律神経が乱れがちになります。
つわりなどで夜に十分に寝られなかったときには、昼寝の時間を作るなど工夫するとよいです。
妊娠中は特にしっかり肌荒れ対策をしよう
妊娠してから肌荒れや肌の乾燥など肌トラブルに悩んでいる人はいるでしょう。妊娠中は、ホルモンバランスの変化やつわりなどの影響から肌荒れを起こしやすくなります。
肌荒れがいつから始まるかについては個人差がありますが、つわりの関係で妊娠初期に肌荒れを感じている妊婦さんが多いようです。
ホルモンの分泌が安定してくる妊娠中期頃になると、肌荒れが治まってくる人もいるので、妊娠中の肌荒れは、保湿や水分補給、十分な睡眠をとるなど対策をとって様子をみてもよいでしょう。
しかし、ひどい肌荒れや症状が悪化する場合には市販薬で治そうとせず、受診して正しい治療法で治すことが大切です。
監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)
Profile
杉山太朗
信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。