【産婦人科医監修】妊娠中のむくみの原因と解消法

【産婦人科医監修】妊娠中のむくみの原因と解消法

むくみやすい部位や妊娠時期は?

2019.02.20

Profile

杉山太朗

杉山太朗

田園調布オリーブレディースクリニック院長/医学博士/東海大学医学部客員講師/日本産科婦人科学会専門医、指導医/母体保護法指定医/女性ヘルスケア専門医/日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡・子宮鏡)/日本内視鏡外科学会技術認定医/がん治療認定医

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

妊娠前はむくみを感じていなかったのに、妊娠したらむくみがひどくて悩んでいるママは少なくないかもしれません。妊娠中のむくみの原因と解消法について解説します。また、むくみやすい部位と妊娠中のむくみやすい時期も併せてご紹介します。

妊娠中のむくみの原因

妊娠中にむくみを感じる人は多いようですが、妊娠するとむくみを感じるには以下のような原因が考えられます。


体重増加

お腹が大きくなるとお腹周りや足の付け根が圧迫されてリンパの流れが悪くなり、足がむくみやすくなります。

長時間立ちっぱなしでいたり、同じ姿勢でいると激しいむくみを感じるかもしれません。


血液量の増加

妊娠すると、お腹のなかの赤ちゃんに血液を送るため、血液量が増えます。

妊娠後期は血液の量が特に増えるため、よりむくみやすいと言われています。


冷え

暖かいくつした
iStock.com/elenaleonova

身体が冷えると、血流が悪くなり、むくみやすくなります。身体の末端はほかの部分と比べて冷えやすいので要注意です。


運動不足

お腹が大きくなると、身体を動かしづらくなり血流が滞ってむくみが起こります。

妊娠中にむくみやすい部位

妊娠中にむくみを感じやすいのは以下の部位です。


  • ふくらはぎ

妊娠中期や妊娠後期になると、子宮で腹部が圧迫されて足に負担がかかり、足やふくらはぎにむくみを感じます。夕方は特にむくみやすく、靴を履いているときに痛みを感じる人もいるようです。

手や指もむくみを感じやすい部位であり、指輪がとれなくなったり、顔のむくみが目でみて分かるくらいになることもあります。

むくみやすい時期

妊娠中のむくみは、妊娠初期よりもお腹が大きくなる妊娠中期、妊娠後期に感じる人が多いようです。

お腹が大きくなると、お腹周りや足の血管が圧迫されてむくみやすくなります。

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妊娠中にむくみがあると赤ちゃんや出産に影響はある?

むくみがひどいとお腹のなかの赤ちゃんや出産時にリスクがないか心配になるかもしれません。
むくみ自体が赤ちゃんに影響することはありません。ただし、体重が増加しすぎたり、妊娠高血圧症候群になったときは赤ちゃんに影響する場合があります。

専門家も以下のように言っています。

尿タンパクが出ていない、貧血がない、高血圧がない、起床時は少しは良くなっている。であれば、まずあまり心配なさそうに思います。 日中、数回横になって足の血液を心臓に返してあげて下さい。 着圧靴下は、朝、一番足の細い時間から使い始めると良いですね。

出典: AskDoctors

むくみ解消法

むくみを解消するためにはどのような方法があるのでしょうか。


食生活を意識する

りんごとバナナ
iStock.com/RapidEye

塩分を摂りすぎると身体に水分が溜まりやすくなってむくみます。

カリウムはむくみ解消の作用があるので、塩分を控えめにして、カリウムを多く含むバナナやりんご、グレープフルーツ、トマトジュースを摂取するとよいでしょう。

塩分を摂りすぎてしまったときにはカリウムの含まれた食品を積極的に摂ると、むくみの改善につながるかもしれません。


マッサージをする

リンパの流れが悪くなるとむくみやすくなります。マッサージをしてリンパの流れをよくするとむくみが改善される場合もあります。

心臓から遠い手の指や、足から付け根に向かってマッサージしていきます。妊娠中は肌が敏感になっているので、オイルを使うのもよいでしょう。

マッサージ中に、お腹の張りや違和感を感じたら途中でもやめましょう。


着圧ソックスを使用する

着圧ソックスは特殊な生地で、履くと足に圧力を加えてむくみの改善が期待できます。

むくみを感じてから履くのではなく、お腹がまだ大きくなる前から履くと妊娠中のむくみの予防ができるかもしれません。圧力で足がつってしまったという妊婦さんもいるようなので、履き始めは圧が弱いソックスを選ぶとよいでしょう。


適度な運動

妊娠してお腹が大きくなり、動くことが大変になると運動不足になる妊婦さんは多いでしょう。

妊婦さんでもできるウォーキングは、ふくらはぎの血管に刺激を与えて、新陳代謝がよくなって血液の流れが改善されます。

1日20~30分程度のウォーキングで足のむくみやだるさを改善できるかもしれません。

しかし、体調が優れないときやウォーキングの途中でお腹の張りなどを感じたときには無理せず休むことが大事です。


水分を十分とる

水分の摂りすぎはよくないですが、妊婦さんは羊水を作るために普段より水分が必要になります。

水分不足になると血液が凝縮されて身体のなかの老廃物が蓄積されて、血液やリンパの流れが悪くなってむくみやすくなります。

水分をとるときは一気に飲むのではなく、少しずつこまめに飲むことがポイントです。

ノンカフェインで利尿作用のあるルイボスティーやたんぽぽ茶は妊婦さんも安心して飲めるのでおすすめです。


身体を冷やさない

身体が冷えると血流が滞ってむくみやすくなるため、夏でも冷房の効いた部屋に長時間いると激しいむくみを感じる場合があります。

室内にいるときも靴下を履いたり、冷たいものよりも温かい飲み物を飲むなど身体を冷やさない工夫が大切です。

むくみ解消法で妊娠中のむくみと上手に付き合おう

足をマッサージする妊婦さん
iStock.com/TanawatPontchour

妊娠すると、体内の血液が増加したり、お腹が大きくなって運動不足になるので、むくみを感じやすくなります。妊娠中期、妊娠後期はお腹がさらに大きくなって体重が増加するため、強くむくみを感じる場合があります。

むくみを強く感じる前に着圧ソックスを使うなどむくみ解消法を取り入れておくとよいかもしれません。

塩分を控えた食事を心がけてこまめな水分補給と、マッサージやウォーキングなどの適度な運動でむくみを改善しましょう。

しかし、体調が悪いときやお腹の張りなどを感じたときは無理をしないで休むことが大切です。


監修:杉山太朗(田園調布オリーブレディースクリニック)

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杉山太朗

杉山太朗

信州大学医学部卒業。東海大学医学部客員講師、日本産科婦人科学会専門医、母体保護法指定医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。長年、大学病院で婦人科がん治療、腹腔鏡下手術を中心に産婦人科全般を診療。2017年田園調布オリーブレディースクリニック院長に就任。患者さんのニーズに答えられる婦人科医療を目指し、最新の知識や技術を取り入れています。気軽に相談できる優しい診療を心がけています。

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