「妊娠せず」の知らせのたびに職場のトイレで静かに泣いた…43歳新聞記者、十数年遅れの「不妊治療」の現実

「妊娠せず」の知らせのたびに職場のトイレで静かに泣いた…43歳新聞記者、十数年遅れの「不妊治療」の現実

保険適用前は採卵のたびに20万円が飛んでいった

不妊治療の実態はどのようなものなのか。43歳で不妊治療を始め、流産も経験し、48歳で第1子を出産した読売新聞記者の遠藤富美子さんは「妊娠しなかったという知らせを受け取り、そのまま職場に戻るのがつらかった。当時は自費診療で、助成金ももらえず、口座残高がみるみる減っていった」という――。 ※本稿は、遠藤富美子『48歳、初産のリアル 仕事そして妊活・子育て・介護』(現代書館)の一部を再編集したものです。本稿の内容は2025年6月末時点のものです。

不妊治療のステップ

ここでは不妊治療の基本的な部分の用語について、おおまかに説明したい。

不妊治療では多くの人が最初にトライすることが多いのは、医師に排卵日を予測してもらい、女性が最も妊娠しやすい時期に性交渉をする「タイミング法」だ。

次なるステップには、子宮内に直接精子を注入する「人工授精」がある。

これでも妊娠が難しい場合、高度生殖補助医療とされる「体外受精」に進むことが多い。

体外受精では、体外で精子と受精させる前に、多くの卵子を確保することが重要になる。医師は、卵子の入った「卵胞」と呼ばれる袋の大きさを測ったり、血液検査で女性ホルモンの数値を調べたりして、女性に卵子を採取される準備が整っているか確認する。

排卵誘発剤を使って多くの卵胞を育てる「卵巣刺激」を行うクリニックも多い。

採卵は卵胞に針を刺して卵子を吸い出す

「採卵」の手術では、医師は超音波で卵巣を見ながら、その中にある卵胞に針を刺して卵子を吸い出す。

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出所=『48歳、初産のリアル 仕事そして妊活・子育て・介護』

採卵の痛みへの対応として、各クリニックでは局所麻酔をかけたり、細い針を使い無麻酔で行ったりと様々な対策をとっている。採卵で採れた卵子は精子をふりかけて受精させるほか、精子の動きが悪い場合などには、精子の中から動きと形の良いものを一つ選んで、顕微鏡を見ながら卵子に精子を直接注入する「顕微授精」も行われる。

受精卵はクリニックで培養させ、胚培養士が細胞分裂の状態を観察する。

採卵の翌日には、正常に受精できたかどうか確認できる。

数日間培養させて細胞分裂が進んだ胚を、採卵と同じ生理周期に子宮に移植する方法を「新鮮胚移植」という。

受精後に細胞分裂が進んだ胚をマイナス200度近い超低温の液体窒素の中で凍結保存し、女性の子宮の状態が良好など、条件が整ったタイミングを見計らって融解して移植する方法もある。これは、「凍結胚移植」と呼ばれる。凍結させると成功率が高くなるとされ、日本では凍結胚移植は広く普及している。

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2025.09.05

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