だから酷暑でもピンピンしている…「93歳の栄養学者」が週3で食べる「熱中症を防ぐコンビニ飯」
「エアコンの効いた部屋でゆっくり」だけでは逆効果
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全国各地で40度以上を観測するなど、危険な暑さが続いている。熱中症のリスクを下げるには、どうすればいいのか。93歳の栄養学者で、女子栄養大学副学長の香川靖雄さんは「エアコンの効いた部屋にこもっているだけでは、かえって熱中症のリスクを高めてしまう。適度に汗をかき、運動と栄養のある食事を摂ることが必要だ。その際にぜひおすすめしたい、コンビニで買えるメニューがある」という――。
今年の夏は“危険な暑さ”が続いている
みなさん、今年の夏は例年に比べても暑い日が多い印象ですが、いかがお過ごしでしょうか。今回は、暑さも厳しい中でしたので、自宅からリモート取材を受けました。オンラインは不慣れなため接続までに30分以上かかってしまい、大変お手数をお掛けしてしまいましたが、貴重な経験となりました。
さて、話を戻しますが、気象庁の「各地点の観測史上1位の値」(2025年8月21日時点)のランキングを見ると、上位5地点は2025年となっており、今年がいかに暑いかを物語っています。9月、10月と、まだまだ残暑も厳しそうです。
第1位 伊勢崎(群馬県) 41.8度 2025年8月5日 第2位 静岡(静岡県) 41.4度 2025年8月6日 第2位 鳩山(埼玉県) 41.4度 2025年8月5日 第4位 桐生(群馬県) 41.2度 2025年8月5日 第4位 柏原(兵庫県) 41.2度 2025年7月30日 |
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なぜ、各地で最高気温を更新するほどの暑さになっているかは気象の専門家にお任せするとして、私は栄養学の観点から、この暑さにどう対応するのがよいかについて考えてみたいと思います。
暑い夏に注意すべきは「熱中症」です。
高齢者は熱中症になりやすい
熱中症対策としていの一番に挙がるのは「水分補給」。人間は眠っている間も汗をかくことで水分を体外に放出してしまいますので、就寝前と起床後にはしっかりと水分を摂取することをおすすめします。高齢者はのどの渇きを自覚する前に、特に夏場はのどの渇きを自覚しなくてもこまめに水分補給することが大事です。
熱中症は年齢を問わず発症するため、小さな子どもから大人まで誰もが予防策を講じるべきですが、救急搬送された人数で圧倒的に多いのは高齢者です。昨年2024年の5月から9月にかけて、熱中症で緊急搬送されたのは9万7578人でした。そのうち高齢者(満65歳以上)は5万5966人となっており、全体の6割弱となっています(消防庁「令和6年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況」)。
また、図表1は昨年と今年(速報値)の熱中症が原因で緊急搬送された人数を比較したものになります。ほぼ昨年並みと言ってよいとは思いますが、北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県といった年平均気温が比較的低い地域においては今年のほうが多くなっています。
高齢者が熱中症になりやすいのは体内の水分量の少なさや身体機能の低下などが要因として挙げられます。「自分はまだ若いから大丈夫」とか「自分は我慢強いからエアコンは使わない」と考えずに、しっかりと対策をとることが肝要です。
では、暑い季節には外出するのを控えて、エアコンの効いた部屋でゆっくりするのが正攻法のように思えますが、実はそうとも言い切れないのです。