少子化対策に累計130兆円投入したのに出生数は33%減った…日本が年収500万円では子供を持てない国になったワケ
政府の子育て支援は「金持ちファースト」にほかならない
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なぜ少子化対策の予算を増やしているのに出生数が減り続けるのか。独身研究家の荒川和久さんは「的外れな少子化対策を続けているからだ。政府が進めた給付政策は結果として、子育てコストのインフレを引き起こし、お金持ちしか結婚し子を持つことができない状況を引き起こした」という――。
深刻化する少子化の「本質課題」とは
婚姻減、出生減が止まりません。
既に発表された2025年5月までの人口動態速報によれば、5カ月間累計で婚姻数は4.3%減、出生数は3.8%減です。このまま推移すれば、2025年の出生数は65万人台に突入する可能性もあります。
出生減は婚姻減によります。最近は、政治家もメディアもようやくこの本質課題を認識するようになりましたか、まだそこの部分の深刻さが広く伝わっていない気がします。婚姻が増えない限り、増えないまでも減少を抑えない限り、出生数は下げ止まりません。出生率世界最下位の韓国も、すでに実質出生率1.0を切ってしまった中国も、婚姻減によって生じた結果です。しかも、それは、20代の婚姻減に尽きますが、それは日本でも同様です。
2024年の人口動態概数においては、別の衝撃的な数字も発表されました。
20代前半(20~24歳)の出生数4万2754人に対し、40代前半(40~44歳)が4万3463人で、40代前半の出生数が20代前半のそれを初めて逆転しました。これは40代前半の出生率が増えたという晩産化によるのではなく、20代前半の婚姻数が激減したことにより、その年齢での第一子出産が減ったためです。
「晩婚化」は起きていない
今、日本で起きている少子化について一旦整理しておきましょう。
年代別の初婚率で見ると、男女とも20代の初婚率が極端に減っていることがわかります。しかも、2003年から2013年の期間では男女ともほとんど減少していないのに対し、2013年から2023年の期間で急激に減少しました。
晩婚化などといまだに悠長なことを言う有識者がいますが、晩婚化などは起きてはおらず、年齢別初婚率で見ても、35歳以降で初婚率が増えていないことがわかります。女性に関しては、2003年から2013年にかけて多少晩婚化の傾向がみられましたが、2023年には元に戻っています。男女とも20代はもっとも結婚意欲の高い年代ですが、そこを未婚のまま過ぎてしまうとそのまま生涯非婚につながりやすくなります。